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イヤフォンの向こう側

Reol「1LDK」から思う音楽と現実

音楽好きなあなたは今、イヤフォンを耳に付けながらこの文章を読んでいるかもしれない。
あなたのイヤフォンの向こう側ではどんな情景が見えるだろうか。

イヤフォンの向こう側を歌う歌詞がある。

“イヤフォンの向こうへ 三分と少しの間だけ
全能感、革命的な気分でいさせて
そういつだって指先ひとつで [再生]
ありふれた生活 殴り込んであなたは
クソみたいな現実を たった一小節で変えて

超越したの、1LDKで”

-Reol「1LDK」(アルバム『金字塔』)

この上なくストレートな歌詞を叫ぶように歌うReol(れをる)。
彼女が作詞作曲し歌う「1LDK」の終盤の歌詞だが、聞いた瞬間救われた気分になった。

何を救われたのか?
的確には表せない。
ただ、それは現実と理想の板挟みになって生きる事に対してだと、ふと思った。

音楽には助けられてきた。
まだ23年しか生きてないが辛い、苦しい現実を励ましてくれた。
そこにはいつも理想の自分と現実の自分がいて、なかなか理想に近付けない現実に嫌気が差している。
この頃もそうだ。どうしようもない現実に悶々とする日々だ。

それでも耳にイヤフォンを付け好きな音楽を聞く。一曲3,4分、瞬間的とも言える時間、幻想的な世界にいる間はとても気持ちが良く現実逃避している。

イヤフォンの向こう側の世界が広がる。

理想とは違うどうしようもない現実を生き、瞬間的に幻想的な世界に浸る。
この繰り返しだ。
音楽がないと生きていけないと言っても過言ではない。

ただ、ここまで来るまでの「1LDK」の中盤には次のような衝撃的な歌詞がある。

“芸術(アート)なんて音楽なんて
歌をうたったからなんだって
絵を描いたって足しにならないから辞めちまえば

芸術なんて音楽なんて音楽なんて
音楽なんて音楽なんて音楽なんて もうくたばれ
芸術なんて音楽なんて何もなくっていなくなって
価値をつけて選ばれなくて

憧れだけ”

-Reol「1LDK」(アルバム『金字塔』)

音楽を愛し、音楽を職業にする歌手がこんな詞を書いていいのかと衝撃的だ。
そしてストレートだ。
彼女自身も理想と現実の狭間に悩んでいると思われる描写だ。
さらに、“憧れだけ”という部分に人に評価され選ばれる苦悩を感じる。我々一般人にはない苦悩があると思われるし、これはアーティスト本人にしか分からない感覚だと思う。

そのような苦悩の中、次のように続く。

“イヤフォンの向こうで 歌う声に焦がれている
劣等感、厭世的な気分で朝を待って
こんな思いを知っても 鼓膜の上であなたが
クソみたいな現実だとしても光らせた”

-Reol「1LDK」(アルバム『金字塔』)

(※厭世的:人生や世の中をはかなむ傾向にあるさま。(三省堂 大辞林 第三版,weblio辞典))

絶望の中に希望を感じる。
音楽はどんなに苦しく厳しい現実でも救ってくれるのだと感じた。それは無条件なのだ。
そして、冒頭で紹介した歌詞に続いて、曲はフェードアウトしながら終わる。

ちなみに、同じアルバム曲「HYPE MODE」は“あたしは天下無敵”、“人生は無計画 なんでもありのBad Girl”、“楽しい以外いらないよ 無様に踊ってよ”等、まさにイヤフォンの向こう側の世界を表していると感じるため面白い。

「1LDK」は何度聞いても救われる気分になる。
音楽は現実を生きさせてくれる。
これからも現実と理想の板挟みになって生きる事が続くが、毎度音楽に救われていくだろう。
そんなシンプルだけど忘れてはいけない大切な事を「1LDK」は再認識させてくれた。

今日もそれはイヤフォンの向こう側で現実を光らせてくれる。

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