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米津玄師の音楽が体現する時代性、シンクロニシティ

米津玄師『感電』とドラマ『MIU404』についての覚え書き

  2020年6月26日(金)、ついにドラマ『MIU404』の放送が開始された。そして、今日7月3日は、とても楽しみにしていた第2話の放送日だった。

 第1話で米津さんが手掛けた主題歌『感電』を初めて聴いた時、自分が勝手にイメージしていたバリバリのギターロックサウンドとはかけ離れたものだったので、正直1回目はよくのみ込めなかった。「えっ、ジャズにファンクにヒップホップ?」とかなりびっくりした。でも、落ち着いて、2回目以降リピートしていくうちに、イントロかっこよすぎる、バンドの演奏かっこよすぎる、米津さんの歌声かっこよすぎる、志摩と伊吹かっこよすぎる、星野源さんと綾野剛さんかっこよすぎるで、感激した。そして、耳をダンボにして聴き取った歌詞も、正確にはまだわからないけれど、やっぱりかっこいいと思ったし、様々な解釈や考察を生み出しそうな、そしてものすごくドラマの世界観とリンクしているような言葉が沢山出てきていると感じた。手作りのカレーやスープやおでん、チーズケーキのように、できたてよりも、1日寝かせたほうが味が馴染んでおいしくなる感じ、そして飽きずに何度も食べたくなる感じ。米津さんの音楽はあんなにもかっこいいのに、どんどん味が出てくるスルメのような作用を持っている。

 以前から感じていたのだが、米津さんの音楽や表現、歌詞や発する言葉は、”synchronicity(シンクロニシティ)”や”coincidence(コーインシデンス)”という言葉を想い起こさせる。シンクロニシティもコーインシデンスも、意味のある偶然の一致や、偶然に2つの出来事が同時に起きること、巡り合わせ、を意味する言葉だ。

 まだサウンドや歌詞の全貌はわからないけれど、『感電』という楽曲そのものが、『MIU404』というドラマのストーリーや登場人物とリンクしているのはもちろん、それ以外の様々なものとリンクし、シンクロしているのをすでに予感させている。

 『MIU404』というドラマも、一話完結型で、24時間の間に同時進行で異なる事件や出来事が起こっていくが、それらは偶然起こったように見えても、すべてに意味があって繋がっている。その様々な繋がりに気づくか気づかないかで『感電』という曲の聴こえ方が変わってくるのと同じように、ドラマのストーリーの見え方も変わってくるし、自分自身のものの見方、世界の見え方も変わってくるのではないか、と気づかせてくれる。

 『MIU404』の第1話では、あおり運転の取り締まりから事件が始まっていき、意外な方向へと展開していった。1話の最後では、麻生久美子さん演じる隊長の口から、「新しく”あおり運転罪”が作られることになりました」とアナウンスされていた。現実でもまさに、6月30日にあおり運転厳罰化のための改正道路交通法が施行され、ドラマの世界と完全にシンクロしている、と感じた人も多いのではないだろうか。第2話はさらにシリアスで、胸が痛くなる結末だった。日々テレビや新聞で目にする、やるせなくなるような事件のニュースと重なる部分があり、いろいろと考えさせられるストーリーだった。 

 『MIU404』においても、米津さんの音楽においても、時代性や同時性がとても重要な意味を持っている。米津さんは、今までのインタビューでも、自身の音楽と「時代の流れ」との関係性について言及していた。

「昔から普遍的なものを作りたいっていう気持ちが強くて。時代の流れだとかをどうにかして体現できる人間でありたい。それが一番刺激的で美しいと思うから。」(ROCKIN’ON JAPAN 2017年11月号より引用)

「だから、今の時代ってものにすごく興味があるし、世の中ってものにもとても興味があるんで。世の中に興味があるって変な言い方だけど(笑)。」(ROCKIN’ON JAPAN 2019年10月号より引用)

例えば、2019年9月にリリースされた『馬と鹿』も、ドラマ『ノーサイド・ゲーム』や日本で開催されたラグビーワールドカップ、ストイックに挑み続けるスポーツ選手たちの姿や、それを取り巻く熱狂と、ものすごくリンクしていた。また、そのカップリング曲の『でしょましょ』でも、社会のニュースとリンクしながら、時代の中に潜む狂気や異常な世界と距離を置きつつ、冷静に調和を保って生きようとするスタンスが表現されていた。『感電』も、時代の流れを敏感に感じ取りながら、ドラマの世界観や登場人物たちの関係性をものすごい精度で射抜いた楽曲となっているのではないか、と感じる。

 私個人の本当に個人的な話においても、今思えば『MIU404』に関連したシンクロニシティを強く感じる出来事があった。

 まず、去年の9月6日に、菅田将暉さんのZepp DiverCity Tokyoでのライブに行った時の話。菅田さん自身が気負わずに楽しんでいるのがものすごく伝わってくる、かっこつけてないのにめちゃくちゃかっこいいライブだった。菅田さんは、『まちがいさがし』を歌う前のMCで、4畳半くらいの個室で米津さんと語り合った時のエピソードを話してくれた。菅田さんが、「米津玄師はあんなにもすごいのに、自分はまちがいさがしの間違いの方に生まれてきただなんて。」というようなことを言っていたのを覚えている。歌声にも気持ちがこもっていて、大事に大事に歌っているのが伝わってきた(その6日後の9月12日にYouTubeにアップされた『馬と鹿 radio』を聴いて、米津さんもそのライブに行っていたことを知った)。私は2Fスタンディングで一番後ろの端の方に立っていたのだが、ライブが終わって出口に行こうとした時、ライブを観に来ていた綾野剛さんが目の前を通り過ぎて行くのが見えた。あまりにも印象的なことが多すぎる、感動的で不思議な1日だった。その時から、私の中で、綾野剛さんと米津玄師さんが繋がった。

 そこからしばらくして、2019年10月17日に星野源さんが初めてのインスタライブをする、というニュースを見て、私は星野さんをインスタでフォローし始めた。そして、星野さんのインスタライブがあってから少し経った後、星野さんと米津さんがインスタで相互フォローになっていることに気づき、心のテンションが爆上がりした。私は、前述の星野さんのインスタライブがあったのと同じ日に、星野源×MARK RONSONのWヘッドライナーライブのチケットが当たっていたのだが、のちに発券開始日がきて発券したチケットを見ると、「¥8,800(税込)スタンド 8列8番」という数字の並びが出てきて、これ絶対星野さんと米津さんが繋がっていくということだな、と勝手に感動していた。2019年12月10日に横浜アリーナで行われたそのライブは、本当にすごかった。星野さんとMark Ronsonのお互いへの、そして観客のみんなへの、そして音楽への、愛とリスペクトがすごく伝わってきて、とても感動的なすばらしいショーだった。そして、星野さんも、米津さんも、それぞれが、唯一無二の音楽家なのだ、ということを強く感じた。

 そして、そこからしばらく経った2020年3月16日、米津さんが綾野剛さんと星野源さん主演のドラマ『MIU404』の主題歌を担当することが発表された。私は驚くよりも、「やっぱり!なるべくしてそうなったんだ」とめちゃくちゃ納得して嬉しくなった。まるで、すべての点と点を線で結ぶと星座が浮かび上がってくるような感覚だった。綾野剛、星野源、米津玄師という、俳優として、音楽家として、それぞれが最先端を走る3人のすごい方たちが、完璧に繋がった。

 ここまでとりとめもなくいろいろと書いてきたが、兎にも角にも、早く『感電』の全貌と歌詞が知りたくて、ダウンロードの開始日(7月6日)がとても待ち遠しい。そして、『MIU404』も、毎週本当に楽しみで、今年は楽しみがいっぱいの夏になりそうだ。

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