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想定外の中に生きる

Base Ball Bear 「LIVE IN LIVE 〜IN YOUR HOME〜」によせて

私が最後にBase Ball Bearを見たのは2019年の12月、名古屋で行われた公演だ。2019年はツアーで色んなところに行って仲間達と沢山のライブを見た。
2020年は社会人としての生活がスタートする年たったけど、変わらず仲間達と色んなところに行ってお酒を飲みながらその日のライブの感想をぶつけ合うんだろうと思っていた。

2020年7月現在、私は今年一回もBase Ball Bearを生で見ていない。
ここ5、6年そんな年はなかった。

今年2月にはベボベの最新作、C3のリリースイベントがあった。しかし、2月に国家試験が控えていた私はギリギリまで悩んでそのイベントに行かない選択をした。
本当に残念で悔しかったけど、またすぐにライブで彼らに会えると思っていたから我慢できた。

しかし、3月に行われる予定だった対バンツアーは延期となった。
その時の正直な気持ちは「まぁそうだよな」。
音楽ライブだけに限らず、多くのイベントが中止・延期に追い込まれていた時期。ベボベだけが、ベボベのファンだけが辛い思いをしているわけじゃないのは分かっていた。
それに今この時期に開催してどこのだれとも分からない、ベボベのことなんてよく知りもしない大勢の誰かから、大好きなバンドが叩かれなくて良かったとどこかホッとした気持ちもあった。

そんな「私の」いつもの生活が送れない時間が続く中で社会人としての生活だけはスタートした。
コロナの影響で毎年1ヶ月程度行われる研修は行われず、右も左も分からないまま現場に送られた。
毎日怒られて、呆れられて、何も出来ない自分に落ち込んで、それなのにまた明日から頑張ろうと思わせてくれるライブはなくて。正直心も体も限界だった。

知らない土地の電車を調べる時間、離れた場所に住む仲間達と合流する瞬間、物販列に並びながら何を買うか最後まで迷っている時間、開演前のそわそわザワザワとした時間、会場が暗くなってXTCのMaking Plans for Nigelが流れ出す瞬間、ベボベが目の前にいて音楽を響かせる時間、仲間達と笑い泣きしながら肩を組んで会場を去る時間。
全部全部大事なもので、今の私に1番必要なものなのに、今すぐには手に入らなくなってしまった時間だ。

そんな中スマホの画面に通知画面が浮かび上がった。
LIVE IN LIVE 〜IN YOUR HOME〜の始まりだ。

LIVE IN LIVE(以下LIL)はこれまでも行われてきた、ベボベのライブシリーズだ。これまでと違うのがそのLILが私の家まで届けられることだ。
正直、映像配信自体に目新しさはなかった。それでも私にとっては、ベボベがそれをやってくれることに大きな意味があるのだ。誰だって大好きなバンドの今まで見たことない演奏姿は見たいだろう。ましてやそれが昨年末から求めていたものなら尚更だ。

そして8週間後の今、今回のLILは紛れもなく「ライブ」であったと私は思う。

毎週、今日は何の曲だろうとソワソワする時間は、ツアー初日の開演を待つ時間であった。
画面の中の3人の姿を目で追う時間は、ライブ中目が足りないと嬉しい悩みに悩まされる時間であった。
MCだけの動画を見る時間は、毎回長いことでお馴染みのあのMCを見ている時間であった。
動画を見終わった時間は、ライブが終わり興奮と感動と寂しさが残るあの時間であった。

この8週間はいつだって進み続ける私の大好きで尊敬するバンドが、今最大限にできることを考えて提供してくれた大切な時間だった。

「失くしたものを数える作業より想定外の自分を愛しなよ」
そのバンドがこんな風に歌うのだから、私だって想定外の自分を、今の時間の中に生きる自分を愛していきたい。

またライブハウスで仲間達と集まり、目の前で愛するロックバンドの音楽を全身に浴びることができるその日まで、新しい生活の中にいる自分と向き合っていこうじゃないか。

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