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TOTALFATの止まらないパンクロックとライブハウス

自粛要請が発表されたツアー初日、MONOEYESとともに

2020年2月26日、電車に揺られながらSNSで目にしたニュース。

政府からスポーツ、文化イベント等について大規模な新型コロナウイルスの感染リスクがあることを考慮し、今後2週間は、中止、延期または規模縮小等の対応を要請する、といったイベント自粛要請が世間に唐突に突きつけられた。
そして、瞬くうちに様々なイベント、そしてライブが中止、見合わせになっていく事態を目にした。

しかし、私はライブハウスに向かっていた。
収容最大人数約200人程度の小汚いライブハウス、千葉LOOKに。

この日は2019年10月22日にKuboty(Gt)が脱退し、新たに3ピースとして再スタートを切ったTOTALFATが全国でライブハウスツアーの狼煙を上げる初日であった。
2020年1月22日にリリースした10thフルアルバム『MILESTONE』を引っ提げ、まさに3人の門出とも言えるべき日を目にするべく、向かった。
その上、このツアーは対バン形式ということもあり、TOTALFATの門出を私達とともにMONOEYESが祝福(というよりは背中を思いっきり押しに)するという、ツアー初日から間違いなく音楽の大爆発を起こす化学反応を想像せざるをえないラインナップ。私は興奮を抑えきれずにいた。

結論から言うと、このライブは予定通り決行されたものの、ツアーはこの日以降全公演が中止になった。

出来ることなら…願わくばずっとこの時間が終わらないでほしいと何度も思い、そしてこんな状況だったからこそライブハウスの中は、夢の時間だと改めて思った数時間の出来事である。
そして、20周年を目前にこれまでの経験と新たに見出したルーキーマインドの象徴となったアルバム『MILESTONE』とともに見せてくれた3人のTOTALFATの新たなる可能性を目にした。

対バン相手とはいえ、限りなく広がるMONOEYESの音楽は千葉LOOKの空間を熱気とそして溢れんばかりの幸福感で満たしていた。
天井の低いライブハウスで、あの空間にいた誰もがきっと普段抑えきれないのに抑えなきゃいけない、誰にもわかってもらえないなんともいえない気持ちをMONOEYESの音楽で爆発させているような。そんな衝動に駆らざるをえなかった。

『Run Run』を始めとしたエネルギッシュな疾走感のある曲達が、『Two Little Fishes』のようなキャッチーでメロディックな曲達がみるみるとオーディエンスの熱量を上げていったのを間近で体感し、そしてとにかく気持ち良かった。

ライブハウスだからこそ、なのか
音源じゃなくて、”生”だからこそ、なのか
やはりライブに代わるコンテンツなんてこの世には存在しないかもしれないと、つい先程、イベント自粛期間が始まる予兆の宣言をされたにも関わらず、思ってしまったのであった。

ライブハウスに来ることが間違った選択となってしまうような事態になってしまった今、それでもこの日のMONOEYESのライブは
間違っていない、それでいいんだと改めて思わせてくれた。
TOTALFATの門出だけでなく、紛れもなく私達の好きなように生きる”バカみたいな”生き方を彼らは誇らしく思わせてくれるようだった。

TOTALFATは再び3人で拳を合わせ、ギター、ベース、ドラムが合わさった1発目の爆音から新たな挑戦を始めた。
『MILESTONE』1曲目に収録されている、『Heros From The Pit』が奏でられた瞬間、1人減ったとはいえ、新たに3人の私のパンクロックヒーローはまたさらに強い結束を固め、自分達の新たな道を切り開こうとしていた。

「俺もほんとはやめようと思った」

Jose(Vo/Gt)が吐露したこの一言に、Kubotyの脱退はバンド最大の転機ともいえば最大の危機と言っても過言ではなかったことも一瞬で悟った。
迷いもあれば苦労もあった。それでも…それでも、ここまで音を鳴らすことを止めなかったTOTALFATの音楽は、どこか吹っ切れて進化していたのは一目瞭然だった。

MONOEYESで熱々になったライブハウスをみるみるうちにヒートアップさせ、誰もが体を踊らさずにはいられないTOTALFATの代表的キラーチューン『夏のトカゲ』、『PARTY PARTY』や『Room45』さらに『World of Glory』など、3ピースになっても彼らの音楽が鳴ってしまえば、誰もが心から楽しめるあの空間は間違いなくそこにはあった。
『My Game』や『ALL AGES(Worth a Life)』アルバムの中でも新たに3ピースとなった彼らの骨太なナンバーたちもすっかりオーディエンスに馴染み、ツアー初日とは思えない熱量であった。

Punk Rock never stops!
今の彼らはきっと誰にも止められない。止まることを知らない。

間違いなく、TOTALFATが示した「今」は、進化と自由を手にしていた。その上に抱えた後悔と新たな気持ちを全面に見せてくれた。彼らが放つパンクロックはいつもエネルギッシュで不思議と力を漲らせてくれる。
これまでの経験は確かなもの、そしてまた決意と覚悟を決めてそれぞれの正解を確かめるために、彼らのMILESTONEを示していくツアーとなるはずだったのであろうか。

それでも彼らは止まってはいない。再びライブハウスの通常が戻ってくれば、新たに進化を手にして強さを手にして、私達を奮い立たせてくれるであろう。改めて、これからのTOTALFATが楽しみで仕方がないと思えるライブであった。

中止になってしまったツアー各地にも足を運ぶつもりでいただけに、残念ではあったが、この日のライブ以来、TOTALFATに関わらず他アーティストのチケットを手にしていた公演までも全て中止となり、ライブはこの日を最後に今年は行けていない。

だからこそ余計に未だに鮮明に思い出す。

そして、MONOEYESやTOTALFATのような最高な空間を作り出してくれるアーティストがいるからこそ、絶対にライブハウスをこの世から無くしたくないと強く願う。

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