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BUMP OF CHICKENと「また」会える日まで

記憶にはない、宝石になった日

2020年7月12日。
 

BUMP OF CHICKENのツアー、aurora arkの初日公演から1年。
 

様々な人の様々な思い出がTwitterのタイムラインに溢れた。
 

「美しかった」
「魔法のようだった」
「寂しい」
「会いたい」
 

色々な形の愛情が溢れる中、私の記憶にはないそのキラキラした空間や愛おしい時間を羨ましく思うと同時に、そこに居られなかった事実を少しだけ悲しく思った。
 
 
 

ちょうど1年前、aurora arkのツアーが始まった頃は、
仕事もプライベートも、何もかもが上手くいかなくて
目の前に山積みの問題にも目を背けて、
辛いから見たくないのに、
見ないようにするから余計に心に引っ掛かって、
何をしていても心が晴れることはなかった。
 
 

大袈裟ではなく、本当に「地獄」だった。
 
 
 

私はBUMP OF CHICKENのライブに行ったことがない。
目の前に山積みだった問題、
それに目を向けるくらいなら、
自分の気持ちを取り繕う方が楽だったから、
彼らの音楽が大好きだという気持ちもずっと隠していた。
 

だから
中学生の頃から聴いているのに、
ずっとずっと大好きだったのに、
一度もライブに行ったことがなかった。
 

けれど、山積みの問題を泣きながら、
もう無理だと絶望しながら、
長い時間を掛けてひとつひとつ取り除いた先に、
彼らはまた現れてくれた。
 

ずっとそこに居てくれた、という方が正しいのかも知れない。
 
 
 

「これからは、絶対に彼らのライブに行くんだ」
 
 
 

そう思い、言葉として口に出せるようになった頃、
aurora arkのツアーは終わりを迎えていた。
 
 
 

そしてその頃、同時に不穏な空気が漂い始めた。
「新型コロナウイルス」
 

聞いたこともない、目にも見えない「何か」が
急速に「日常」を奪っていった。
 

仕事や学校が休みになり、
大勢の人が集まるイベントは軒並み中止。
多くの人が大きな影響を受け、
正しい対応も、対策も分からないまま、
目まぐるしく「日常」は変わっていった。
 

「新しい生活様式を」と声高に叫ぶテレビの中の人を見ながら
口に出したら現実になりそうで怖くて、
決して口には出すものか、と思いながら、
私の心の中に小さな、それでも大きな波紋を作る感情が生まれた。
 

「私は、本当にBUMP OF CHICKENに会いに行けるのだろうか」
 

こんなことになるなら、もっと早く
こんなことになるなら、もっと多く
こんなことになるなら、もっと、
 

何の、誰の目も気にせず、
彼らに、彼らの送り出してくれる曲に触れていれば良かった。
 

そう思った瞬間に、涙が溢れた。
悲しくて、悔しくて仕方がなかった。
 
 
 

でもまだ、そうと決まった訳じゃない。
自分ではどうすることも出来ないことは
なるべく悪い方には考えないように。
 

彼らの音楽に側にいてもらいながら、
自分で気持ちの舵取りをしながら、
先の見えない毎日を過ごした。
 
 
 

そして迎えた2020年7月12日。
aurora arkの初日公演から1年目のこの日。
 

Twitterのタイムラインには、
aurora arkやBUMP OF CHICKENに対する感謝、
暖かい言葉、ライブを懐かしむ気持ちが溢れていた。
 

自分の記憶にはない、キラキラした時間。
文字と動かない写真でしか知らない、あの空間。
体感したことのない興奮と寂しさ。
だからこそ増す憧れと羨望心。
 

まるで宝石箱のような眩しさだった。
 

けれど、目に入る全ては、自分の記憶にはないもので
暖かな気持ちになると同時に、やはり少し悲しかった。
 

自分のせいで、自分がそこにいられなかった事が悔しかった。
 

けれどそれと同時に思った。
ライブどころか彼らの音楽に触れられない期間があったこと、
その頃を思えば、今この時のなんと幸せな事か。
 

「そこに君が居なかった事
そこに僕が居なかった事
こんな当然を思うだけで 今がこれ程」
 

「そこに僕が居なかった事
今は側に居られる事
こんな当然を思うだけで 世界中が輝くよ」
-BUMP OF CHICKEN R.I.P.
 

だからといって、ライブに行くことを諦めた訳ではない。
でも不安が完全に消えた訳でもない。
 

けれど。
 

彼らが送り出してくれた曲が、
私の中には溢れんばかりに鳴り響いている。
 

それだけは変わらないのだ。
 

自分ではどうしようもない事を考えるよりも、
考えてもどうしようもない事で心を削るよりも、
彼らの音楽と、その音楽から受け取れるメッセージを大切にしよう。
 

彼らが「全ての力」で送り出してくれた音楽を。
「届いて欲しい」と祈るような気持ちで送り出してくれた音楽を。
「どこにいる聴こえるかい」と問いかけ続けてくれる音楽を。
 
 
 
 
 

いつか彼らに会いに行ける日が来るまで。
 
 
 
 
 

彼らはこのコロナ禍において、沈黙を貫いている。
そのことに対して少し寂しさを感じても、
すぐに持ち直すことが出来るのは、
彼らがこれまでに私たちの元に送り出し続けてくれた曲が
間違いなく側に居てくれると身をもって感じることが出来るからだ。
 

先の見えない「未来」のことを憂うよりも、
彼らが歌い続けてくれる「今」を精一杯。
 
 
 

1度も会ったことのない彼らに
「また」会えるその日まで。
 
 
 

「飛んでいけ 君の空まで
生まれた全ての力で輝け」
-BUMP OF CHICKEN 流れ星の正体

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