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2017年9月14日

ヱ (13歳)

星野源の「繋がって、続いてゆく」音楽

六畳一間の大阪城ホールでの一夜

7月23日。
星野源のアリーナツアー2017『Continues』大阪城ホール二日目の夜。
正直、もうほとんどのことは覚えていない。
セットリストだとか、トークとか、全て心地良い曖昧さに浸っている。
ただ、「本物の音楽」を魅せられた時のブワッと立つ鳥肌、胸のざわめきはしっかりと私に刻み込まれている。

星野源が教えてくれたこと。
それは、「音楽は続く」ことだ。
この世に存在する全ての音楽はひとつ残らずルーツで繋がっていて、互いに影響を受け、与え、その時代の人の心を映し出し、変化を遂げる。
 

高校の同級生と創り上げたインストゥルメンタルバンド「SAKEROCK」から、
ファーストシングル「くだらないの中に」
名が知れ渡るようになった8枚目のシングル「SUN」
社会現象を巻き起こした9枚目のシングル「恋」
そして、ついこの間発表された10枚目の「Family Song」

星野源の音楽を辿れば、病気など数々の挫折を乗り越えた壮大な歴史を紐解ける。
ギター一本で歌う、寂しさが漂う楽曲たちから、意味もない歌詞でノリノリになれるポップス。
そう見ると、「音楽性が変わった」と感じるかも知れない。
しかし私は音楽性では無く、星野源自身の成長に伴い、楽曲も進化を遂げたのだと思う。
アルバム「YELLOW DANCER」はやっとの思いで掴めた、追い求めていた音楽のカタチなのかも知れない。
尊敬して止まないマイケル・ジャクソン、YMOの細野晴臣、子供の頃から側にあったブラックミュージックやネオソウル。
今までの人生に大きな影響を与えた音楽をたっぷり吸収し、真似ではなく「自分のもの」に昇華する。
それがどれだけ難しいのか安易に想像がつく。
「イエローミュージック」という新しいジャンル。
どこか懐かしくも、初めて味わう、ムズムズして思わず腰が動いてしまうような、不思議な感覚だ。

2013年 化物「誰かこの声を聞いてよ」

2015年 SUN「君の声を聞かせて」

この歌詞を見れば分かる通り、彼自身も過去に生み出した音楽に影響されていて、その繋がりを大切にして、新しいサウンドを創りあげてるのだ。

「続く」という意味の"Continues"。
ツアーに行って初めて、このタイトルを理解できた。
どこまでも遡る、まるで宇宙のようにスケールの大きい「音楽の旅」を魅せられ、その奥深さに更に引き込まれる。
高揚して思考回路がぐちゃぐちゃになっていても「とにかく今、凄いことを体験してる。日本の音楽シーンの中での決定的なシーンをこの目で見ている」なんてずっと幸せを噛み締めていた。
 

奈落の底から這い上がり、今、こうしてステージの上で一人歌い、踊り狂う。

煌びやかなライトの中で何万人の人間を魅了し、そのままセンターステージに移動。
そのとき、大阪城ホールが一気に狭くなった気がした。
ギターの軋む音に乗せた想いを飲み込んだ会場は、本当に六畳一間のような、なんとも言えない空間だった。
 

一瞬だったような、一生だったような、そんな3時間が終わりを迎えようとする。
誰よりもお辞儀が深かった。
涙を飲み込む観客にか、ひたむきに追い求めてきた音楽にか、それ以上の壮大な"何か"に向けていたのかは、私に知る余地も無い。

ただ、その姿はたしかに、マイケル・ジャクソンそのものに見えた。

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