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2017年9月15日

ヱ (13歳)
108
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誰だって「主演の女」になれるんだ

椎名林檎からもらったもの

とにかく自分に自信がない。
バカ真面目、神経質、物事を深く考えすぎる、上手く笑えない…なんて並べだしたら文字数を使い果たしてしまいそう。
内向的な考え方を辞めなきゃ、と自分が一番分かってる。
だけど改心しようとした時にはもう、見えない鎖で自分自身を縛りつけていた。

その鎖を一瞬のうちに溶かしてくれたのは、他でもなく、椎名林檎だった。
衝撃だった。
生温い毎日を送ってた私にとっては、消防車のポンプで冷水を思いっきりかけられたような感覚だ。

元々母がファンで、幼い頃はよく聴いていた。
特に NIPPON のミュージックビデオを観て、小学生ながらも「こんなに格好いい女性はどこいるの?」と憧れを抱いていたが、家で曲があまり流れなくなってからは、私も次第に関心をなくした。

今回は違った。
いつも通りモノトーンな学校での一日を終え、なんとなく動画サイトで、「あっ。懐かしい。」くらいの気持ちで再生ボタンを押した。
 

クソやべぇ
 

一瞬の出来事だった。
淡く、鋭く、何色とは確実に言えないようなたくさんの音が、光を伴っているかのように飛び込んできた。
眩しささえ覚えてしまう。
初めての感覚に面食らいながらも、その目まぐるしさに必死についていこうとする。今にでも容赦無く振り落とされそうな勢いだ。

その、音の波の真ん中に、椎名林檎がいた。

何故だか全く下品に感じない色気。口角を少し上げた微笑みはたしかに美しかった。でもそれ以上に、恐怖を感じた。
絶対にこの世の者ではないだろう、と本気で思わせる妖艶さ。
魔女のような、白狐のような。
1秒たりとも目が離せない。
他の動画を観てみる。
そこでアップテンポなメロディに乗せて踊るキュートな彼女は、全くの別人に思えた。
スマホの画面に吸い付くように見入っていた。

オーラが違う。
こんなにも品があって、気高くて、それでも女の子らしさがあって、不思議な空気を纏った女性を初めて見た。
どうしても惹きつけられる。
心を劈くような、優しく抱きしめるような、繊細な、大胆な、高尚な、そんな歌声にも圧倒され、心を強く揺さぶらされた。
小学生の頃に抱いた憧れが何倍にも膨らんで戻ってきた気がした。

いつしか椎名林檎は私の「理想の女性像」になった。
それからほぼ毎日、辛くて逃げ出したくなるときは、必ず「主演の女」を聴いている。

"ヤりかた次第で必ず楽しめるのよ
何故ならほら人生の主役はあたし
最優秀賞受賞!"

そうだ、私の人生の主役はあたしなんだ。
誰かの脇役になんてなるもんか。

ボロボロになった自尊心のカケラを縫い合わせてくれる、これからもずっと大切にする一曲だ。

大人になって思い返しても、椎名林檎に出逢ったのは、人生の中でビッグバン級なハプニングと認識するだろう。
私を縛り付けていた鎖を一瞬で溶かし、忘れかけていた「自信」を取り返してくれたからだ。
どれだけ暗い気持ちでも、差し伸ばされた手の先には、いつでも彼女にしか織り出すことができない音楽が光っていた。
 
 

その光の勢いに任せ、明日はもう少し
胸を張って生きれる気がした。

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