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誰がその鐘を鳴らすのか

欅坂46の物語の終焉、私たちが心に刻むべきこと

耳を澄ますと聞こえてくる色々な『声』や『物音』
人は誰もその『喧騒』に大事なモノを聞き逃している

『ねぇ…ちょっと静かに』

ほんの少しで良いから自分の話じゃなく
他人の話を聞いてみて欲しい

冷静になろうって合図をくれれば良いのに…

もし地球上の片隅に巨大な鐘があったのなら
世界中の何処にいても聞こえるのに…

争う事起きそうになった時
知らせてあげよう言葉では無く
誰でも解るように心に響かせるんだよ

だけど問題は『誰がその鐘を鳴らすのか?』
この世の中に『神様』はいるのかい?会った事ない…
その綱を奪い合ってたら今と何も変わらないじゃないか!
側の誰が誰であっても鳴らせば良いんだ!
信じるモノが例え違ってても
そう『平等』にーーーーーーーー。
 
 

強い表現が連なった歌詞と圧倒的なパフォーマンスを通して世の中に強烈なメッセージを発し続けてきた欅坂46の物語が2020年10月をもって終わることが告げられた。

最後のシングル表題曲は「誰がその鐘を鳴らすのか?」(8月21日配信限定リリース)。7月16日に開催されたオンラインライブにて初披露されたその楽曲は、まるで夢を道半ばで諦める形となった彼女たちの、遺言のようなものだった。

全身全霊でその刹那のパフォーマンスに臨む欅坂46は、使い果たされるパワーが莫大であるがゆえに、とても安定しているとはいえなかった。所属メンバー全員が漏れなく出演するライブは稀、メディアと大衆からの期待に応えるべく描かれるダークな世界観は、その脆さをより際立たせた。

それでも、彼女たちは彼女たちなりに解釈した楽曲がもつ意味やメッセージを、全力で、全身で、常に表現し続けてきた。
「グループの名前が一人歩きし、耳を塞ぎたくなるようなことに頭を悩ませた日(7/16のライブ内でのキャプテン菅井友香のスピーチより)」も、そのメッセージと向き合うことをやめなかった。

権力者に迎合する世の中へのアンチテーゼ、断片的な情報だけでレッテルを貼ることへの反抗、得体の知れない誰かから一個人に向けて発せられる鳴り止まない誹謗中傷への反発。時に彼女たちは為されるがままに生きることに憧れ、二律背反な世界に開き直りながらも、全員の敵となることで自ら1人が犠牲になろうともした。

そんな物語の紆余曲折からも、誰か1人でもいいから救いたい、誰か1人でもいいから変わって欲しい、そのためにはなにができるのか、悩み、もがき、苦しみ続けている、そんな葛藤が伝わってきた。

ただ、世の中は易しくなかった。
デビュー当初から表現の中心的役割を担ってきた平手友梨奈をはじめとした、相次ぐメンバーの脱退や卒業、そもそも表現することが許されなくなった新型コロナウイルスの流行。
メンバーが次々と離れていく組織に対しては疑問の目が向けられ、それを覆す唯一の手段だったパフォーマンスのチャンスが彼女たちからは奪われた。

彼女たちが夢見た、「愛しかない世界」は、実現することなく物語には終止符が打たれることとなった。

もしこの世界に、世界中の人々がその音を聞くことができる鐘があるとしたら、そしてその鐘を鳴らすことができたら、世界から醜い争いはなくなるのだろうか。世界は愛で溢れるだろうか。それは誰にもわからない。ただ、きっと誰もがその音を聞いた時、一瞬足を止め、その方角を見上げることは確かではないか。
その一瞬、世の中に争いはなく、誰もが同じ方向を見ている。
彼女たちはその鐘を探し続けていた。だが、見つけることはできなかった。

そんな彼女たちから放たれる最後のメッセージ。
誰が鐘を鳴らすのか、鐘を鳴らすことができる神様はいるのか、そもそも鐘は存在するのか。わからない。でも、一歩立ち止まることはそんなに難しいことではない。一歩立ち止まれば、大事な何かが聞こえてくるかもしれない。私たちに鐘を鳴らすことはできなかったけど、それでも、立ち止まることはできる。そんなとき、なにを考え、なにを感じ、なにを変えることができるのか、向き合ってみよう。

同じ時代を生き、彼女たちの一挙手一投足に目を奪われ、その強い姿勢からたくさんのことを学んだ我々は、この遺言を心に刻み込まないといけない。

自分の身の回りから、世界から、争いごとや不平等をなくすことは容易いことではない。
でも、もしかしたら、その鐘は、私たちのすぐそばにあるのかもしれない。

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