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2017年9月19日

enogu (28歳)
82
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plenty

あの日から。

 
 

もう9年くらい前。
わたしがライブハウスに行きはじめのころに出会ったバンド。
上京したての10代。ライブハウスが怖いところだと思っていたわたしが勇気を出した先にあったのは、味わったことのない雰囲気、人、音楽に溢れていた。
知り合いもおらず、ライブはいつも後ろの方。居場所がないような不安な気持ちでいっぱいだった。目当てのバンドだけが救いだった。
そんなとき、急に始まった彼らの演奏。MCもほとんどなく、淡々とすすむセットリスト。なんだか当時のわたしには不思議なバンドだった。こころに突き刺さったわけではないのに、もらった”後悔”の音源は何度も繰り返し聴いた。そしてフライヤーを見てワンマンの日付を確認していた自分がいた。
それが始まり。
 
 

ライブはいつもこころが苦しかった。
なにかを突きつけられているような。
どこか見透かされているような。
涙が出そうになって、堪えて、また込み上げて。
 

それでも、とてもあたたかかった。
 

どうしてこんな気持ちになるのか分かっていた。理由は分かっていたけど、向き合いたくなくて気づかないふりをしていたもの。
かれらは率直に、でも優しく、教えてくれているようだった。だから、大好きだった。
 
 

ライブハウスに通い慣れて、
彼らとは違うジャンルのライブにも通うようになり、友達ができた。顔見知りができた。ライブハウスで会えばみんなで汗をかいて騒いだりお酒を呑んだり。ライブの楽しみ方を知った。当時のわたしにはなによりそれが楽しかった。
 

比べて彼らのライブは楽しくなかった。
汗もひとつもかかなかった。
それでも、彼らのライブには通っていた。
ひとりで静かに見るライブも、やっぱり好きだった。
 
 
 

時々江沼さんと話した。
彼はとても優しい人だった。
儚そうで、でも強い人だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

あるとき、吉岡さんが抜けた。
plentyがplentyじゃなくなってしまったような気がして、しばらくライブに行けなかった。
 
 
 

それを機に、少しずつ、少しずつ、、
彼らから離れていった。
だんだんと名前を聞く機会も増え、どんどん有名になってきているのが分かった。
なんだか嫌だった。
くだらない意地がそのときはあった。
なんだか悔しくて、昔の曲ばかり聴いていた。
 
 

ふと新しい曲を聴いたとき、
自分が馬鹿らしくなって笑ってしまった。
彼らは彼らだった。
一回り強くなった、変わらないplentyだった。
 
 
 

それから今日まで、何度かライブを観てきた。
カウントダウンライブはなんだか初めて楽しかった。
 
 
 
 
 
 

正直なところ、最近の曲は知らないものも多い。
わたしの青春で、止めてしまっていたから。

解散の発表があったとき、
絶対に解散ライブには行こうと決めた。
だけど、知らない曲を知ろうとはしなかった。知らずに今日を迎えている。
 
 

それはおとなになった私の二度目のくだらない意地。
解散してから聴くときめている。
そうすれば、これからも。そんな気がするから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

こんな日は雨でよかった。
この目に焼き付けてこようと思う。

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