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TOTALFATは希望そのもの。

とあるバンドの再出発と共に

TOTALFATを知らない人へ。
TOTALFATはとにかくパワフルでポジティブで”陽キャ”という言葉が代名詞に使われるくらい前向きなバンドである。

TOTALFATを知っている人へ。
辛い時悲しい時苦しい時にTOTALFATを聴いて元気を貰ったことがないだろうか。背中を押して貰った事がないだろうか。
 

私は今まで何度もTOTALFATに助けられてきた。”音楽に助けられる”。良く使う言葉だが本当に”助けられて”きたのだ。何か悲しい出来事があると”こんな時TOTALFATならなんて言うかな”と考えてTOTALFATの音楽を聴く。そして百発百中で前を向かせてくれる。悲しみに溺れていても彼等の音楽を聴くと笑顔になれる。
そんな彼等は前代未聞のこの事態に、エンターテイメントが大ピンチに陥った今に、どんな事を考え何をするのだろうか。その答えとTOTALFATの真の明るさを配信ライブのレポートと一緒に伝えたい。
とあるバンドの再出発も、共に。
 
 
 
 

ミラーボールがキラキラと回りSEの「S58’」が流れるとメンバーが登場。1曲目の「Give It All」で145日ぶりのライブが幕を開けた。この曲は昨年10月22日に脱退したKuboty(Gt.)のラストライブを終えた夜、日付が変わると同時にリリースされた楽曲である。4人で歩んできた大切な日々と新たな幕開けのゴングを鳴らした楽曲であり、新体制への覚悟が詰められた”20年目ルーキー”の渾身の1曲。ファンにとってもTOTALFATにとっても大切な楽曲でスリーピースになってからは「Give It All」でライブが始まっている。初心忘るべからずといった感じだ。

そして2曲目にお祭り騒ぎの「PARTY PARTY」3曲目にエネルギッシュな「ALL AGES(Worth a Life)」。無観客をものともせず果敢に攻めていく。まるで本当にファンがいるみたいだった。頭上を拳を突き上げながらダイブしていくファンや感情の高揚を思うがままに発散しているフロア、汗を飛び散らせて笑顔で歌い叫ぶ空気感が手に取るように伝わってくる。小さな画面の先には確かにライブハウスの熱狂があった。

4曲目「My Game」そして定番曲の「夏のトカゲ」を終え、年中ひっきりなしにライブハウスを沸かせていた彼等が久しぶりにステージに立った喜びを語る。そして新曲の「My Secret Summer」披露。夏の海やドライブに似合いそうでラップ調に詰め込まれたリリックがとても心地よい。ライブが無く色味に欠けた今年の夏はこの新曲を聴いて過ごそう。

そしてライブは中盤に差し掛かり「Summer Frequence」と「スクランブル」を立て続けに演奏。「スクランブル」には《戻ることの無い時の流れを 走って進めよ》という歌詞がある。最近”あの時のライブに戻りたいな”とか”マスクもつけずに人と三密していた時期に戻りたい”と考える事が多い。でも戻ることのない時を羨むより、日常を取り戻す為にも走って進み続けようぜ!とTOTALFATが笑顔で肩を叩いてくれる。彼等に”暗く留まる選択肢”は無い。続く「晴天」でも《深い長い暗い夜から抜け出せるチャンスがあるかも》《それなら今から走って迎えにいくよ》《悲しみはもう必要ない》《君と幸せを分かち合いたい》と歌ってくれている。伝わるだろうか、この一点の曇りもないストレートな歌詞。どの曲も全身全霊全力投球である。

人には誰しも落ち込んでいたい夜や今はちょっと放っておいて…前を向く方が辛いから…と思う時があると思う。どんなに明るいJose(Vo/Gt.) Shun(Vo/Ba.) Bunta(Dr./Cho)の3人だって同じ人間。そりゃ暗く沈む夜だってあるだろう。でも彼等はそういった悲しみや葛藤、悔しさから逃げる為に明るく振舞っているのではない。マイナスの感情に目を向けて受け止めた上でプラスに変換している。悲しみに涙を流し、悔しい時に悔しいと叫びそれでも前へ前へ、と己を鼓舞している。そこから生まれる音楽はいつも私の心を熱くするのだ。無責任に背中を押しているのではない。まずは自分達の曲で自分達の背中を押しているんだ。だからこのストレートな歌詞に説得力やパワーが溢れる。

そして10曲目、自粛期間中に作られた「夜明け待つ」。様々な不安を抱えている人達に寄り添いながら《当たり前が奇跡だと気づけた僕たちの今日がどうか明日を導けるように》と歌う。素敵だ。この状況でさえもそう捉えるか…さすがだな…そうなよな…と大きく頷いた。
そしてこの曲に「待ち合わせはライブハウスで」という素敵なキャッチコピーが添えられた。《何を奪われたとしても この灯火は消させない》という歌詞に、想像以上の猛威を振るうウイルスから大切なライブハウスを守り続ける強い意志が感じられる。この曲がある限り、今日の事を思い出すだろう。希望に縋りたい気持ちや配信ライブのもどかしさ、複雑な感情を抱くこの毎日を思い出すだろう。《さあ夜明けを待とう 信じよう》そう歌う彼等を照らす照明が朝日の様で、3人が美しく輝いていた。

「宴の合図」、そして血の通ったグルーヴを確認しながら「Hello & Goodnight」「Life Like Movies」を楽しそうに奏で終えて、ピースフルな空気の中、Shunは少し切なげな表情で話し始めた。

自粛期間で自然とTVやネットの情報を見る時間が増えたこと、そして悲しいニュースが飛んでくること。

「何よりも嫌なのは人が死ぬこと。それはコロナ関係なしで、どうにか続けさせたい命だったと友達でも何でも無いのに思ったりする時間がある。これは逆にコロナがくれた自問自答の時間なのかもしれない。」

「もし、何か背負ってるものとか追い詰められている状況があったりしたら、なかなかライブハウスには来るのは難しいかもしれないし、寄りかかれないかもしれないけど、俺達バンドマンやミュージシャンは常にあなた達を支えるために言葉を吐いている。音楽を届けている。」

辛い気持ちや失われた命にこの曲を送ります、と歌ったのは「This Life」。音楽という形も無ければ薬でもない存在が、命や生きること、とあまりにも難しく大きすぎる事象に真っ向からぶつかっていく。
恐らく皆色々な事を思い浮かべて聴いていただろう。《背負い過ぎた荷物なんて もう捨ててさあ楽になろう》《誰だってそんな強さ持ち合ってないよ》そう言って欲しかった人が沢山いると思う。《僕らひとつになって 命を確かめ合って 歩き出すよ Tonight どんな事があって 時代が過ぎ去ったって》その言葉で涙を流す人が沢山いると思う。

続く「We’re Gonna Make a Bridge」を歌い終えた後「この様な状況下で全てがゼロになった時に残ったのは”TOTALFATをやりたい、バンドをやりたい”という答えだった」とShunは涙ながらに話した。鼻も詰りながら「俺が笑いたくて、この曲を作ったんだよ!」と「Smile Baby Smile」を泣きながら笑顔で、凄く良い表情で歌った。人間臭くてカッコつけてなくて等身大だった。
元気づけてくれる音楽は山程あると思う。でもTOTALFATの明るさは彼等にしか生み出せない、悲しみや悔しさを濾過した感情がある。

ライブはあっという間に最後の曲。大切な場面で必ずやる「Place to Try」で《君はひとりじゃない》と歌った。このシンプルで真っ直ぐな言葉がどれだけ沢山の人に希望を与え多くの苦境を救ったか。この曲を聴くと私の中で色んなシーンが思い返される。友達と肩組んで泣きながら聴いたり、1人で顔を覆って泣いたり。時には新体制となったメンバーの為に大声で歌ったり。この曲を聴いて思い出すシーン全てが誰かを救う瞬間の詰め合わせだった。「Place to Try」に限らずTOTALFATの音楽やライブにはそういう効果がある。

TOTALFATが自分達を鼓舞させる様に歌い叫ぶ姿、そして何より色々な荷物を抱え悩んでいる1人一人に全身全霊で歌を届ける姿は、希望そのものだ。何があっても音楽を止めず進む姿に多くの人が勇気や元気を貰ったはずだ。それはファンだけではなく、仲間のバンドだって絶対に背中を押されている。その証拠として、最後に、とあるバンドの存在を語りたい。
 
 
 
 

時間を戻すことTOTALFATのライブの前。
実はサプライズでオープニングアクトがいた。全く告知されていなかった。ワンマンライブだと思って画面の前にはTOTALFATのファンが待っていたはずだ。そこにオープニングアクトとして登場したサプライズゲストはなんと、「BIGMAMA」。

昨年の年末にリアド偉武(Dr.)が脱退を発表し5人体制で出来る最後のツアーを回っている最中、コロナに巻き込まれリアド偉武のラストライブも延期に。ラストライブは調整して必ずやるとアナウンスされているもののリアド偉武は事実上”脱退”という形になった。それ以降、HPでは「4人を中心に新体制での活動になります」とコメントがあり、まあこんな状況な事もあって、何となく宙ぶらりんに感じたのが正直なところ。だが、そのBIGMAMAが登場してきたのだ。あまりにも桁外れなサプライズに脳内が混沌とした。
ドラムセットに座ったのは謎の被り物をした人物。(終演後に正式なアナウンスがあり、サポートドラマーとして、
Bucket Banquet Bis(バケット・バンケット・ビス)にお願いすることになったそうだ)
正真正銘BIGMAMAの音楽が鳴り響いた。注目の1曲目は未来への希望の光を歌った「セントライト」。そして「MUTOPIA」、ライブで盛り上がり間違いなしの「荒狂曲”シンセカイ”」。開始早々”うわぁ本当にBIGMAMAのライブだ……”と鳥肌が立つラインナップ。宙ぶらりんなんて思っていた自分を叱責したい。メンバーは凛とした表情で何も色褪せない最高の音楽を鳴らした。結局全8曲を演奏した後、更にサプライズでTOTALFATの「Overdrive」を見事にカバーし颯爽とステージを降りた。一瞬の出来事に感じた。

転換中に両バンドのトーク動画が配信され、笑いや下ネタを交えながら楽しそうに話していたがお互いの新体制の話やBIGMAMAがドラマーを見つける為に2日で14人ものドラマーとセッションした秘話も明かされた。そして今回の対バンはBIGMAMAからお願いした事、「ピンチの時に熱くなってくれる人達が本当に心の支えだった」と多くのバンドマンに助けられてきたこと、そしてTOTALFATの良い背中を見てきたこと等を話していた。
 

TOTALFATは希望そのもの。これまで20年間、等身大で強制的じゃない自らも鼓舞させる明るさや希望を沢山の楽曲に詰め届けてきた。その姿はファンだけでなくバンドマン達の背中も押している。BIGMAMAだけじゃない。TOTALFATが新体制になる時様々なバンドが手を差し伸べていた。沢山の人達がTOTALFATに助けられていたんだろう。
そして前代未聞の今、そんな彼等は目の前のウイルス云々だけでなくその先の”命”にフォーカスし悩んでいる人達を支えたいと力いっぱい音楽を届けてくれた。
 

私はこれからもTOTALFATの音楽に寄りかかって前に進む原動力を貰おうと思う。この音楽がある限り私は絶対にウイルスなんかに負けない。そして笑顔で必ず約束を果たすんだ。TOTALFATとの約束を。
そう、”待ち合わせはライブハウスで”。

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