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2017年9月20日

ミズキ ヨウ (36歳)
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出会ってくれて、ありがとう。

9.10 KEYTALK横浜アリーナで見えた“10年”の過去と今と未来

2017年9月10日。
横浜アリーナの会場を出た時、吹いた風は少しひんやりとしていた。
ああ、今年の夏が終わったんだなと感じたその日の夜の事をここに記したい。

この日、横浜アリーナでKEYTALKのワンマンライブ<10th anniversary KEYTALK 横浜アリーナ ワンマンライブ 俺ら出会って10年目〜shall we dance?〜>が行われた。
メジャーデビュー10周年でもなければKEYTALKのバンド10周年でもない、メンバー4人がバンドとして音を鳴らし始めて10年を祝したライブという、第三者に説明するには若干ややこしい10年祝いのライブである。

KEYTALKは2007年に今のメンバーが集まり、<real>というバンド名で活動を始めた。2009年、realはKEYTALKとバンド名を変え活動を進めていくわけだが、その後の快進撃は今ここで改めて紹介しなくても大丈夫だろう。

2015年、バンドとして目標に掲げていた日本武道館ワンマンライブを大盛況で成し遂げ、その後も止まることなくライブ・CDリリースを続けてきた彼等が今回挑む舞台は、横浜アリーナだった。
収容人数は約17000人、武道館を越えたバンドとしてもキャパシティー最大のワンマンライブ。
この発表を初めて聞いた時、私は驚きよりもワクワクしていた。
会場の大きさ云々よりも、KEYTALKは横浜アリーナでどんなライブをするんだろう!という楽しみが完全に勝っていた。

迎えたライブ当日は、比較的涼しいと言われた今年の夏の評判を嘲笑うかのような暑い日だった。晴れバンドと呼ばれる彼等の10年を祝うには抜群の天候に、会場へ向かいながら既に口元が緩んだ。
会場前には沢山のファンがライブスタートを待つ熱気に満ちていた。
武道館の時も思ったが、何か特別なライブを待つファンというのは、皆思い思いに感情が溢れ出している。その感情にこちらまで想いが肥大してしまう。
肥大した17000の想いは、会場に入ると更に濃密なものになっていた。
チケットは発売即日完売。誰もがKEYTALK初めての横浜アリーナライブに期待値をぐんぐん上げて待っていたのだ。

10年前のヒット曲が流れる場内の音と照明がフッと消え、皆が正面のステージを手拍子で煽る中、急に後ろから驚きの歓声が上がった。
メンバーが客席最後尾から登場したのである。
初っ端からやられた!と思うのと同時に、お客さんとハイタッチしながらステージに向かうKEYTALK4人の姿に、不覚にも音を聞く前からグッときてしまった。
馬鹿でかい横浜アリーナ、最後尾ともなると肉眼では小さな姿となってしまう会場。
だけど彼等はまるで、小さなハコのライブハウスのようにお客さんを掻き分けながらステージへと進んでいた。

『いつものように』楽しそうな顔をしながら。

そして4人が眩しそうに客席全体を笑顔で見渡した後、1曲目“Summer Venus”のイントロが鳴り響いた。

ライブは新旧の曲を万遍なく織り込まれたセットリストだった。
武道館のセットリストはその時代毎のライブ定番曲が多数披露されたベスト的なセットリストだったが、今回は武道館ライブ後にリリースされた曲がほぼ半分を占めていた。このセットリストも感動した。
メンバーが夢だと公言していた武道館が、ゴールではなく新たなスタートであったことを、このライブではっきりと証明された事が本当に嬉しかった。
ライブ初披露の曲も多く、“SAMURAI REVOLUTION”の口上部分は世の中を煽りながらも、私達ファンを鼓舞し引っ張り上げる力強さを感じ、“ミルクティーは恋の味”では曲に沿ったアニメーション映像と歌声と音色が溶け合って、会場全体が甘ったるいくらいの優しさに包まれていた。
武道館のような派手な演出は少なかったが、その分大きな会場の隅々にまで音や歌声、何よりメンバーの想いが伝わるように配慮されていたように思う。

そして、武道館で客席からのサプライズでメンバーを驚かせた“バイバイアイミスユー”演奏時は、メンバーから武道館サプライズのお返しとして再び会場最後尾から登場し、より近くで演奏してくれた。武道館から2年の時を経たバンドとファンの相思相愛シーンでもあった。

MCは主にライブのテーマとなっている<出会って10年>という話題が多かった。
メンバーチェンジ一切なく10年を共に過ごしてきたKEYTALK。10年前の出来事も、まるで昨日あった話のように笑いながら話す彼等の姿を横浜アリーナの客席から見ている。その光景は奇跡みたいだなと思った。
出身地も違う同い年の当時10代後半の男の子4人が出会った10年前。ファンからみて性格も違うし、聞いてきた音楽も様々。そんな彼等が4人で歩んできた10年。ターニングポイントは4人しか分からない部分もあるだろう。KEYTALK以外のバンドを経てきているメンバーもいる。決断の時も多々訪れていたと思う。
色んな想いがあっただろうし、もしかしたら...なかったかもしれない。
あくまでも想像。
10年後、横浜アリーナの大きな舞台の上で昨日の事のように思い出話に花を咲かせて笑いあっている光景。私達はもしかしたら、とんでもない奇跡の光景を見ているのではないだろうか。
そんなことを思いながらその光景を見届け、10年前の曲をと演奏されたのは、“view”という曲だった。

4人が出会って間もなく作られたその曲は、荒削りで、好きな音楽の影響をモロに受けてて、今の演奏力でも何故か拙く感じて、でも、紛れもなく今のKEYTALKが見える曲で、胸がいっぱいになった。

そして、この日彼らは何度も未来の話をしてくれた。
2年後はKEYTALKになってから10年、出会って20年ライブもしよう、20年後も30年後も一緒にバンドしようぜ、そんな言葉を沢山くれた。

バンドはナマモノだ。
解散・脱退・活動休止のニュースを見ないときのほうが少ないかもしれない。
私も、沢山の大好きなバンドの終わりや別れを何度も何度も体験してきた。
好きだった分だけ、傷はいつまでも深く残っている。
日常は続いても残された傷は一生消えない。

だからこそ、KEYTALKが語る未来の話がとても嬉しかった。
さも当たり前のように10年後の話をする彼等のファンであることを心から誇らしく思った。

保証はない。バンドはナマモノという考えは変わらないから。
でも、KEYTALKなら!
今、彼等が想像する10年後、20年後、30年後の未来も見事に見せてくれるのではないだろうか。

<そう簡単に揺るがない思いがちょっとでもあるなら そこらのギター掻き鳴らして歌えばいいじゃない>
(KEYTALK スポットライトより抜粋)

アンコールで歌ってくれた私がKEYTALKで1番好きな曲、スポットライト。
武道館で聞きたかったけどやってくれなくて、心残りだった曲。
“夢を叶えた瞬間”を見せてくれた武道館より大きな横浜アリーナで、目が眩みそうなくらいのスポットライトを浴びながら楽しそうに音を鳴らし、高らかに歌うKEYTALKの姿に、
“過去を経て未来へと進む今の景色”を見せてもらった気がする。

最高のライブだった。

会場に着いた頃の暑さが嘘みたいに涼しい風が吹く終演後の横浜アリーナの前で、
沢山の『またね!』の声が聞こえた。特別なこの日のライブの為に遠方からきたファンだろうか、方言混じりの言葉で久々の再会から別れを惜しむ声も多かった。
KEYTALKの出会いを祝う空間には、KEYTALKをきっかけに出会った人達も沢山いた。
この日来れなかった人も勿論沢山いたのだが、SNSに目をやると、行けなかったけれど特別なこの日のKEYTALKライブを祝う言葉が並び、ライブの感想を見て楽しむ人達が溢れていた。
KEYTALKが出会って10年目のライブは、KEYTALKというバンドを通して沢山の出会いも溢れていた。
 

涼しい風がライブでかいた汗を冷やす。今年の夏が終わり、季節が動くのを感じた。
 

寺中友将、小野武正、首藤義勝、八木優樹、出会ってくれてありがとう!
KEYTALKをありがとう!
 

KEYTALKに出会えて、良かった。
そう思えた、2017年最後の夏の夜の話。

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