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知らぬうちに望まぬうちに

いつかまた聴ける曲に アジカン

別れは望ましい形ではなかった。どうにか立ち直ろうとしていたがお互いに嫌気がさしていたことは確かである。
 

「終わったことは仕方がないし、うじうじしてるのは気持ち悪い。前に進もう、自分の人生において過去の人を思うことは次に来る幸せを遠ざけるだけだ」
 
そんな適当なことを思いながら煩わしい人間関係から逃げるように日々を過ごした。気にしないことは得意だし何があってもヘラヘラしているのが自分らしさだと誰に言われたわけでもない自分像を守っていた。

時間がある程度ながれ、自分の中から相手の存在すら消してしまって気にすることがなくなっていた。我ながら薄情な奴だと思う。ある日、バイトからの帰り道スマホの麻雀ゲームをやりながらいつものように音楽をシャッフルで流していた。ソラニンが流れた。有名だしサークルのライブでも何回も聴いてた曲だが自分としてはそれだけの曲のはずだった。

何かがひっかかった。何かを思い出した。嫌な思い出だ。
まだ好きだったころの思い出だ。

馬鹿みたいな予定で行った沖縄からの帰りの飛行機で、2人でスマホで見たソラニンの映画を思い出した。自分と違い感情が豊かな人で映画を見て泣いていた。それを見て2人で笑った記憶。
自分ですら忘れていた。
 

音楽には確かに力がある。しかし、それが望む形にだけ働くとは限らない。自分のなかから消そうとしていても不意に思い出させる。望んでいなくても何かと結びつけられていることもあると実感した。

おそらく自分はこの曲をしばらく聴くことはないだろう。でも一生ではない。いつか、誰でもいい。友達でも恋人でも家族でも他人でも。誰かが自分のなかでソラニンに新しい思い出や印象を付けてくれるその日までさよならになる。

きっと相手はもう自分のことは忘れてうまく生きているだろうし、自分もどーにかするよ。

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