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2017年9月21日

Aya (26歳)
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GRAPEVINEと私

日本のロックシーンの底力

思えば、私の原点はGRAPEVINEだった。
中学生になり、色々な音楽を聴いていくなかで出会った。
3年生の頃、たまたまラジオから流れてきた「放浪フリーク」。
ポップな曲調にどこか気だるい歌声。この相反する要素を含んだ曲に私は、何故だか不意打ちを食らったかのように嵌ってしまったのだ。

そして、急いで近所のTSUTAYAへと駆け込んだ。
放浪フリークが収録されたアルバム「deracine」を借りてみた。

一言目の感想。
「………濃い。濃すぎる。私には無理だ」
それがGRAPEVINEをまともに聴いて初めて抱いた正直な思いだった。

それから一年は、おそらく聴かなかったと思う。
それはまるで、熟成させたワインのようにある日、ふたたびderacineをなんとなく聴いてみた。そこにはなんの脈絡もなかった。

すると、全曲が束となって私の心を突き抜けるのだ。ときにやさしく身につまされるような歌詞があり、ときに激しく中学生だった私の複雑な思いを抉ってくるようなナンバー。

何故?何故、今まで放っておいたのだろう。
私は深く後悔の念に苛まれた。と、同時に、ここから、GRAPEVINEへの深い深い愛情が生まれた瞬間だった。

deracineだけでなく、過去の作品も貪るようにして聴いた。
こんなに素晴らしいバンドだったのか。こんなにかっこいいバンドだったのか。新譜も毎回チェックするようになった。

そして私は大学生になり、上京し、GRAPEVINEのライブに足繁く通うようになった。

ライブ自体行くのが初めてだった私は、色気を漂わせた大人の雰囲気たっぷりのいぶし銀5人の登場に目を見張った。

観客の目までしっかり見て、こちらの目のやり場に困るほどセクシーなボーカルの田中さん。決して目立とうとはしないが、時折ニヤリとはにかむ様子で飄々とギターを弾くアニキこと西川さん。この人がいなければきっとGRAPEVINEの名曲は生まれていないのだろうという天才肌の作曲家にしてドラマーの亀井さん。何故?!というくらいスタイルが良すぎるどこか元GRAPEVINEのベーシストでありリーダーの西原さんに面影が似ているサポートのベース金戸さん。助教授やらイサオスキーやら田中さんにいつも色々な名前で呼ばれるサポートのキーボード高野さん。

5人が揃って、はじめてGRAPEVINE。
感動だった。ライブは騒がしいと思っていた固定概念が覆されて、むしろ自分のペースで楽しめる。
GRAPEVINEのライブは、やはり、ときにやさしく、ときに胸を抉ってくるようだった。
この5人が大好きだ。CDを聴いて、そして、ライブに行き、ずっとずっと思っている。
 
 

ボーカルの田中さんは、とあるインタビューで過去にこんなことを言っていたことがあるらしい。

「楽しい、とか、悲しい、とか、音楽を即効性のあるものとして使いたいんじゃないですかね。でもなかにはもっと複雑な気持ちを抱いている奴がいて。そういう奴が聴くんじゃないですか?GRAPEVINEを」

今、まさに日本のロックシーンは、飽和状態にあるような気がしてならない。

騒ぎたいなら、騒げばいい。楽しめればそれでいい。
そんな風潮があるのは確かだ。

私はそこで、なにが本当でなにがそうではないのか。
そんなこと、決めるのはリスナー自身であると思ってはいるけれど、GRAPEVINEが指し示すロックに、私はこれからどんなことがあっても、揺るぎない底力を感じて、ずっと追い求めていくのではないかと思っているのだ。

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