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米津玄師という迷える羊

「優しい人」では傷付けない

8月5日、米津玄師5thアルバム「STRAY SHEEP」が発売された。死ぬほど売れたシングル曲「Lemon」から、快進撃に次ぐ快進撃。出す曲全てあらゆる記録を塗り替え、ほとんど独走状態だったと言ってもいいんじゃないだろうか。
だけどそれらは私にとって、そして多くの人にとって、ただ一時の流行りの曲ではなく、自分の胸にいつもしまっておきたいような、苦しい時にそっと背を押してくれるような宝物となっている。そんな宝物たちと肩を並べる新曲たち。リリースされる前から楽しみで仕方なかった。
7月30日に発売された音楽雑誌ROCKIN’ON JAPANのロングインタビューで、アルバムに収録される曲「優しい人」について米津さんは「はたして世に出していいんだろうかということですごく悩んだ」「歌詞の中に、結構虐げられる人間というのが出てくるわけであって。(中略)現在進行形でそういう、同じような目に遭ってる人間がいたとしたら、その人にとってはすごく暴力的な表現になってしまうんじゃないかなっていう」と話していた。それでも世に出したい欲求が勝ったこの曲が、STRAY SHEEPの中で一番聴きたいと思う曲だった。
誰もが持つ嫉妬や後暗い感情がそこにはあった。
私はババ抜きであぶれて取り残される人間だ。
小さい頃から人と同じことをするのが苦手で、一人で保育園を抜け出したり学校をサボったりしていた。仲のいい友達にも家族にも恋人にも心を開けない。生きづらいという意識がずっとあった。今もだ。人間に向いていないとさえ思う。だけどこの歌詞で傷付きはしなかった。自分がそういう人間だということも、そういう人間を見て安心する人間がいることもとっくに知っているから。
むしろ、最後の曲「カナリヤ」の方が深く刺さった。

いいよ あなたとなら いいよ

二度とこの場所には帰れないとしても

あなたとなら いいよ

歩いていこう 最後まで (カナリヤ/米津玄師)

優しいメロディーと優しい歌声。温かい愛のうた。
とてもとても美しい曲だ。
SNSでも、「包み込まれるような幸せな感覚になった」
という感想をいくつも見た。
私はそうなれなかった。
こんな自分が、「あなたとなら いいよ」と言えるくらい誰かを愛せる日が来るのだろうか、言ってもらえるくらいに信頼してもらえる人間になれるだろうか。
そんな感情が溢れて、自分がとても醜く思えた。

あの子と違う私を治して

あなたみたいに優しく

生きられたならよかったな

優しくなりたい 正しくなりたい

綺麗になりたい あなたみたいに(優しい人/米津玄師)
 

いつか、カナリヤを聴いて素直に温かい気持ちになってみたい。共感してくれる人は少ないだろうけど別にかまわない。それでいい。温かい気持ちになれる人が多い方がいいに決まっている。幸せな方がいいに決まっている。
米津さんの曲で傷付くことは彼の責任ではない、私の選択だ。それに米津さんの曲で救われた喜びの方が遥かに大きい。世の中がコロナ禍になって、音楽は不要不急だなんて言われたらしいが、そんなわけあるか。音楽は人を救うのだ。
他の曲についても語りたいけど、語彙力がなさすぎて恐ろしいので、またの機会にしておきます。
STRAY SHEEPというアルバム、まだまだ聴き込んでいる最中だけど、間違いなく私の宝物になるだろう。
素晴らしい音楽をありがとう、本当にありがとう。

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