3898 件掲載中 月間賞毎月10日発表
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

迷いながら、人間らしく。

どんな時も隣で寄り添ってくれるバンド、The Cheseraseraへ。

『The Cheserasera 2020 夏の幻像 ワンマンライブ』
が2020年8月3日に開催された。
大好きなThe Cheserasera(以下、ケセラ)の生配信ライブ。沢山の期待とほんの少しの心配を持ち、開演を待っていた。

「心配」の正体はその3日前、2020年7月31日の夜。
Vo.宍戸さんは定期的にWeb配信をしてきたが、この日は告知なしで突如Instagram配信を行なった。

「新曲の歌詞がうまく書けない。皆だったらどうする?」

その時彼は、私たちファンにそんな悩みを打ち明けた。
その他はいつも通りの何気ない明るい雑談もあり、
最後には「今日から頑張って歌詞書くね」と話し、配信は終了した。

辛い時悲しい時、私はいつもケセラの、宍戸さんの歌詞に、数えきれない程励まされてきた。
だけど改めて気づかされた。音楽家も1人の人間であり、悩みや苦悩と戦いながら生きているのだ、という事を。
 

私がケセラに出会ったのは2015年頃、Webで「今年ブレイクしそうなバンド特集」の様なものをたまたま見つけ、一通り動画を見ていた。
その時に出会ったのがケセラの“東京タワー“だった。
疾走感があり、だけどどこか哀愁漂うサウンド。切なさがじわじわ押し寄せてきて、すぐに楽曲の虜になった。
何より、曲に乗せて奏でられる歌詞に胸が熱くなった。
大人になり、色々な経験を積み、慣れや諦めが増えてきた。それなのに、偶にどうしようもなく寂しくなる。孤独を感じる事も増えていた。
私が住んでる付近には東京タワーの様なものは無いが、
会社からの帰り道、夜道を歩き、空を見上げながらこの曲をよく聴いた。それだけで少しだけ、心の隙間を埋められてる気がした。

2017年、ケセラの音楽に完全に虜になるきっかけの楽曲に出会った。
30歳手前になり、周りの同年代の結婚・出産の話を度々聞く様になった。
だが私自身の恋愛はズタズタだった。自分の恋心はいつも重かった。失恋なんてした時は、まるで世界の終わりの様に病んでしまっていた。
他にいい人がいるよ、なんて言われても乗り気になれない。紹介されても素直に楽しめない。傷ついて立ち止まって、傷つけて立ち止まって。昔から何も変わらない。成長できてない。
・・・だけど心のどこかで思っていた。
恋愛で成長するってなんだろう?
傷ついてるのに平気って嘘つくこと?
裏切られても許せってこと?
わかんないや。

そんな頃、ケセラが“I Hate Love Song“という楽曲を配信した。一見、明るめの曲調だが、歌詞は皮肉まじりの失恋ソング。
《あんなに愛した後で
まっすぐ前だけ向いて
シラフで生きていられる事の方が
ドラマだったよ》
まるで私の心の内を吐き出す様なフレーズの数々に、驚きが隠せなかった。
同時に、自分の恋愛感のモヤモヤが少しだけ剥がれた様な、晴々しい気持ちになれた。辛いものは辛い。嘘はつけない。きっとそれでいいんだ。変わることのできない私を許してくれるように思えた。
 

思い返してみても、ケセラに出会った時から今まで、
宍戸さんのリアルな歌詞に沢山助けてもらった。
だから、彼のスランプには、いちファンとして勝手に心配してしまっていた。
どうかケセラらしい、そのままのステージを見せてくれるだけそれだけで十分だから。
そんな想いと共に、8月3日の生配信ライブを迎えることになった。

先日まで長かった髪を短く切って登場したVo.宍戸さんと、Ba.西田、 Dr.美代さんのメンバー3人が向かい合って奏でる、夏らしい軽快なサウンド“Escape Summer“でライブが始まった。
今回の配信ライブのコンセプトは「季節」。夏から始まり、秋になり、冬が訪れ、そして春が来る。そんな季節の巡りを表していた。まるで私たちの生活そのもののセットリストだった。

最終ターンで、出来たばかりの新曲が披露された。
「何にしようかな、変わるかもしれないけど・・・”2020年、宇宙の旅”」と悪戯に笑いながら仮タイトルを発表した宍戸さん。
3日前のあの時に話していた曲なんだろうか。
目の前で奏でられる音楽を聴いていると、そんな事はどちらでも良くなった。
爽やかであり、だけどどこか芯がしっかりしている、
切なくて、温かくて、優しい。
そして、初めて出会ったあの東京タワーの様に、景色が、情景が真っ直ぐに思い浮かぶ。

《そのいち 今までの僕にさよならを
そのに 思い切り深く息を吸う》
終わりからの始まり。
そんな事を歌ってるように聴こえた。
大人でも、まだまだやれることがある。
やり直せる。始められる。
この曲が、また私の背中を押してくれるんだろうな。

今日の宍戸さん、髪をバッサリ切って、今までで一番穏やかで優しい表情で、画面の先の私たちをまっすぐ見つめていた、そんな気がした。
その笑顔を見て、本当によかったと、涙が溢れた。
やっぱり宍戸さんの歌詞、大好きだよ。

“最後の恋“の冒頭で
「音楽が好きだー!」と叫ぶ宍戸さん。
この曲がリリースされた時のことはよく覚えている。
バンドの現状、メンバーだけで撮影したMV・・・SNSで宍戸さんが赤裸々に語っていた事があった。
こんな素敵な音楽を作るバンドの苦悩に直面して、当時、本当に衝撃敵だったことを覚えている。
悔しかった事も沢山あっただろう。
だからあえてこの曲で「音楽が好き」と心から叫んでくれたのが嬉しかった。

ラストは自分にとっても大事な曲、
「最低で最愛で、やっぱり最低なラブソング」(宍戸さん談)である、“I Hate Love Song“が披露される。
先程までは季節のや景色の温かさを感じさせる、柔らかいステージだったが、
それとはある意味対照的で、尖っていて、攻撃的だった。

《頭の中ではわかっていたって
納得できない事もあるさ
これで終わりでもないし
割と希望とかあるし
愛するココロは捨てないでなんて》
・・・・・・・・
《笑わせんなよ!!!》

通常のライブではオーディエンスが叫ぶシーンだが、今回は無観客の為、宍戸さん1人の声が響き渡っている。
そんな、今までで一番皮肉めいた《笑わせんなよ》に最高に鳥肌が立った。
でもどうしてだろう、こんなに怒りの感情全開なステージなのに、先程までの切なく温かい楽曲達のステージを聴いた時と、どこか似た感情が芽生えている。
まるで、私たちの最低で最愛な恋愛の痛みを、代弁し発散してくれている様だった。
 

配信ライブが終了し、改めて感じた。
やっぱり私はケセラの人間らしい歌詞が大好きで、
その世界観を表現するあのサウンドが大好きだ。
ケセラの音楽はいつも、自分の現実の苦悩に手を伸ばし、隣に寄り添い、居場所になってくれている。
これからも私はきっと、迷って、転んで、乗り越えて・・・を繰り返す人生なんだろう。
どの瞬間も人間らしく、全力で、The Cheseraseraの楽曲と共に歩んでいきたい。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい