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偉大なる公約数・槇原敬之

あるいは私たち5人の公倍数かもしれない

バンドを組んでいます。アマチュアの市民バンドですが、かなり熱心に練習をしています。

いまは諸般の事情があり(こうした社会情勢ということもあり、また私個人の都合もあり)、ほとんど「顔を突き合わせてのセッション」はできていないのですが、各自が個人練習・研究に費やしている時間にメンバーの人数を乗算し、さらに「熱意」という係数をかけたら、かなりの数値が出ると思われます(なんだかよく分からない数式かもしれませんが)。

上手いか・上手くないかは、自分たちが決めることではないでしょうが、熱心か・そうでないかで市民バンドを二分するなら、間違いなく「熱心なほう」に入ると自負しております。不肖わたくしはベーシストなのですが、猛特訓で腱鞘炎にならないようにと、ドラマーから注意されたほどです。体つきは貧相ですが、指を動かす筋肉だけは、相当に発達しているはずです(もっとも最近は「力を抜く奏法」を会得しつつありますが)。

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当バンドは5人から成ります。年齢も居住地もライフスタイルもバラバラです。ビールが大好きなメンバーもいますし、アルコールは一滴も受け付けないというメンバーもいます(私です)。練習後は一服しないと落ち着かないというヘビースモーカーもいますし、半生でタバコを一度も吸ったことがないというメンバーもいます(私です)。つねに楽観的で余裕があり、笑顔で演奏するメンバーもいれば、セッションで自身がミスをする悪夢を見るという、じつに悲観的なメンバーもいます(私です)。

以上のように異質な面々が、破局をむかえず、歩みを伴にできている理由としては、①熱量が同じである、②それぞれに優しさ(思いやり)がある、③単に馬の合う5人が巡り合えた、などが考えられますが、④レパートリーに槇原敬之さんの楽曲が入っている、というのが大きいように感じます。少なくとも私は「世界に一つだけの花」を奏でるたびに、その歌詞を心に染み込ませています。

<<この中で誰が一番だなんて>>
<<争うこともしないで>>

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槇原敬之さんは、紡ぎ出した歌詞によって、<<比べたがる>>のをやめるよう促し、結果としてひとつの市民バンドに(私という拙いベーシストを抱えるアマチュアバンドに)「思想的な公約数」のようなものをもたらしてくれています。「世界に一つ」のバンドである以上、何ら恥じることはない、驕りたかぶってもいけない、たとえプロフェッショナルには遠く及ばなくとも<<一生懸命になればいい>>、そんな思いが我々の心には植えられています。

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前述のように色々な意味でバラバラの5人が、どうして志を共有するようになったのかは、メンバー各位のプライバシーを守るために書かないでおこうと思います。ただ私は、本記事を書くことで、槇原敬之さんの(歌詞だけでなく)メロディーもが、普遍性を持つ公約数的なものであると主張してみたいので、いかにメンバーの音楽的なルーツが「異なっているか」を述べる、いくぶん妙なメンバー紹介をしてみたいと思います。

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ヴォーカリスト(バンドマスター)は「雑食」というか、いい曲なら何でも歌いたいという貪欲な人間ですが、強いてルーツをあげるなら演歌、歌謡曲ということになるかと思います。(楽器は弾けませんがオリジナル曲の作詞・作曲も担っています)

ドラマーは、おもにメタリカの楽曲を聴いて育ったので、こちらのルーツはヘヴィメタルということになるでしょう。(全パートをこなせるマルチプレイヤーであり、機材のセッティングにも心を配るという屋台骨です)

ギタリストはレッド・ツェッペリンの楽曲をコピーすることで腕を磨いてきた人間なので、ルーツはロックということになるかと。(心に刻み込んだ無数のフレーズに、持ち歩く無数のエフェクターを掛け合わせる、生粋のメロディメーカーです)

キーボーディストは長年、ショパンを愛聴し、弾いてもきたので、ルーツは間違いなくクラシックです。(絶対音感を持ち、ピッチのブレを敏感に察知する「歩くチューニングメーター」でもあります)

ベーシスト(不肖わたくし)はスピッツの大ファンですので、ルーツはパワー・ポップということになるかと思います。(これといった「特殊能力」は持ちませんが、このように文章を書くのが好きです)

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ここまで嗜好の異なる5人に「一緒に、この曲をやるか」と思わせてくれたという意味で、槇原敬之さんの生み出した旋律は、容易にカテゴライズすることのできない「偉大なる公約数」と称せるのではないかと考えます。5人それぞれのハートに火をつけ、日々、練習・研究に向かわせているという意味では、各自の潜在能力を引き出す、道の果てに見える「公倍数」とも称せるかもしれません。

<<小さい花や大きな花>>
<<一つとして同じものはないから>>

そう、だから、きっと5人は今後も、励まし合いながら進んでいけるのではないかと、少なくとも私個人は考えています。

※<<>>内は槇原敬之「世界に一つだけの花」の歌詞より引用

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