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Studio Live for “SAINOU”を観て

TK from 凛として時雨

ライブハウスの空間は非日常でありながら日常を生き抜く力を貰えたり、ステージ上で演奏する大好きなミュージシャンを観ているはずなのに自分自身と向き合うような気持ちになる不思議な場所だ。

8月8日。TK from 凛として時雨がスタジオライブを行った。4月に発売された約3年半振りのフルアルバム”彩脳”のレコ発であり、予定していた過去最多11箇所に及ぶツアーは延期のアナウンスがされている。

演奏を生で観れないことは仕方ないと理解していても憤りがあったが、配信でも新しい音に触れられることに違いはない。逡巡した結果、感覚を研ぎ澄ます為に部屋の生活感を排除し、明かりを落として配信時刻を待った。

オープニングで7台のカメラが録画を開始する映像が映し出される。これが生中継ではなく録画し編集されたものだと気付いた。

最初に演奏されたのは「Fantastic Magic」「kalei de scope」。さらに「flower」で’君に会えた’とギターピックで指を差すTKとカメラ越しに目が合う。画面越しに観る人々を意識したような歌詞が登場する3曲が冒頭を飾った。

「copy light」は私にとってコロナ禍の混乱のなかアルバム発売より早く配信やMVで聴く機会があり心の支えになってくれた曲だ。

‘その血だけが描ける心を 脆い透明人間に渡さないで’
’その声で叫んで その目で泣いて 生きていくのはこんなにも痛いけど’

何年もライブで馴染み深い曲だったが又吉直樹さんが作詞を監修したことにより輪郭がはっきりとした。心を鋭利に刺してくるけど優しく奮い立たせてくれる歌であり、この配信でも感情を歌声に乗せるTKの姿をとても美しいと思った。

“彩脳”から、この配信ライブでサポートピアニストを務めるちゃんMARIとの共同作「インフェクション」。
スタジオで撮影されているとは思えないほど照明の演出が鮮やかな「鶴の仕返し」。
「凡脳」「蝶の飛ぶ水槽」「彩脳-TKside-」と初めてライブで演奏される曲が多く登場したが、音源より完成度が高いと思うほどだった。

ツアーの延期がアナウンスされてからこれまでにドキュメンタリーの配信がされており、そこにはレコーディングの様子やツアーのリハーサル演奏も収められていた。

いったいどれだけ用意してこの配信ライブに至ったのかと思うと胸が熱い。ライブアレンジでの熱量と高い演奏力。さらに照明の演出も加わって温度さえ感じられるようだ。

「memento」は都会での孤独を歌っており、ライブがなく引き籠るしかない自分と歌の主人公を重ねた。
最後に演奏されたのは「katharsis」。東京喰種:reの主題歌であり主人公の心情を歌ったものだが、前曲の流れで自分自身に重ねてしまった。
‘例えば目が覚めて「すべては幻だ」って 奇跡めいた妄想を叶えて欲しいんだ’
から始まり、
‘輝く未来よ 君に会いたいよ’
という歌詞もあり。タイトルの通りカタルシスを迎える最後には閃光のような光を感じた。

ライブ映像を配信でするということについてTKが考えを巡らせ、磨き上げられた音と映像を届けるという方法を選んだこと。配信を観ている私たちに寄り添いさらに未来で会おうと語りかけるような選曲。楽曲の素晴らしさで心を満たしたが、ひっそりと優しさにも触れられたような気がした。

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