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2017年9月22日

s63 (29歳)
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29歳からのGRAPEVINE

音楽から離れかけているあなたへ

ときにあなたは幾つになるだろうか。
もし私と同じ29歳(くらい)であれば、中学生に心酔したロックバンドの新曲のリリースに気付かない、思い返してみればもう何年もライブに行ってないどころか、イヤホンも部屋の隅っこで絡まったまま・・・なんて方も多いのではないか。
それもそのはず。平日は家と会社の往復、休日は自宅で寝溜め。そんな社会の歯車と化した我々に、音楽雑誌の表紙を飾るようなバンドは非常に冷たい。こんなにも退屈な日々を生きる我々が「彼ら」が歌う愛だの勇気だのを鬱陶しく感じて遠ざけてしまうのは、肉の脂身で胃がもたれるくらい普通のことだと思う。音楽にも対象年齢というものがあるのだ。
 

そんなあなたに聴いてほしいロックバンドがある。
GRAPEVINE(グレイプバイン)をご存知だろうか。
 

今年(2017年)20周年を迎える中堅、いや、もはやベテランの域に達したロックバンドだ。活動が鈍化する同世代バンドが多いなか、グレイプバインはほぼ毎年アルバムのリリースとツアーの開催を怠らない稀有な存在だ。
彼らは自分たちの活動を「レコーディングとツアーを繰り返すだけのルーティン」と話すが、20年間の時間をかけて繰り返されてきた”ルーティン”は、回を重ねるごとに錬度を増してきた。私がグレイプバインを追いかけはじめて10年以上経つけれど、「最新作が最高傑作」を地でいくバンドだと、胸を張って言える。
そう、20周年を迎えた今からファンになったとて全く遅くない。来年も、そして再来年も最高傑作を届けてくれるに決まっているのだから。

では、このバンドの楽曲が我々アラサー世代が聴くに足る品質かどうか、ライブ定番曲となっている「CORE」という曲を例にとって説明させて欲しい。曲の展開に併せて綴るので、YouTubeのフル尺MVを流しながら目を通していただければ幸いである。

まず、寂寥感のある歌いだしにバンドが入ってくることで、ドクドクと血液が巡るようにグルーヴが回るのが分かるだろうか。流行の「キメ」が多い騒々しいアレンジではなく、洋楽由来の古き良きロックンロールにガッツリ軸足を置いている彼ららしい音である。
ここまで聴くとなんとも酒が進みそうな”オトナな”音楽であると思われるはずだが、『♪ずっと待ってたのさ』から始まるサビでは邦楽由来のメロディアスさが耳を引く。決して「洋楽かぶれ」にならないという意思のあらわれであり、日本人のツボを突ける優れたメロディーメーカーを抱えていること証左だ。
ここから普通のJ-POP式曲構成であれば所謂”2番”に移行するところだが、なんとラスト手前まで大サビを呑み込む形で2分半ものジャムセッションが続く。”戻らない”ことでサビの熱量を落とさずに雪崩れ込んだ長尺のセッションはトリップ必至。是非とも好きな酒をアオりながら聴いて欲しい。
もうここまでで100点なのだが、最後には衝撃の”ラストシーン”が用意されている。この曲は全体を通してマイナー調の”悪役”な曲だが、ジャムセッションと入れ替わる形で唐突に登場する電子音が”悪役”を超える”真犯人”として全てを攫っていく”ドラマ”が展開されているのだ。曲のストーリーはメロディと歌唱のみで紡ぐに非ず。曲構成とアレンジは、ときに言葉よりも雄弁に語るのだ―――

いかがだろうか。曲構成にしろ演奏にしろ、様々な見えないルールに則って提供されているゆえに親しみやすい”邦ロック”も楽しいが、グレイプバインは「日本人好みのメロディ」の一点を押さえるのみで非常に自由度が高い。ロックはもっと多彩で、真摯で、イジワルで良いはずだ。グレイプバインを聴かないままイヤホンを捨てるなんて、とんでもない。

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