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もう、いっかい ズボンズを爆発させよう

衝動のロックンロールをシャットダウンさせた後に効く ZOOBOMBSの傑作 Mo'Funky

1997年にデビューした日本のロックバンド、THE ZOOBOMBS(ズボンズ)のその時のアルバム「SUPER FANCY OF ズボンズ」と「Welcome,Back To Zoobombs!」を、僕は18歳の時に聴いていた。今になって”Highway A Go Go”という曲を聴いてみても、最初の時の衝撃とロックンロールへの衝動がよみがえる。

もしもズボンズを知らない人は、ZOOBOMBSを検索してプロモーションビデオやライブ映像を見てみるのが一番いい。”Highway A Go Go”は、ライブも勿論良いけれど、オリジナルのスタジオバージョンがなんといっても最高だ。途中から面白くて痛快すぎて笑けてくる。狂いすぎて笑える、そういうのがマジのロックなんだと思う。ロックの神が降りてきてる。なんか目が熱くなって泣けてくる。
もしもロックをわかったつもりになって、ロックンロールでないものをロックンロールと呼んで憚らないのだとしたら、僕らはズボンズに土下座しなきゃならない。それくらいの曲だ。土下座はせずとも、ロックの神に手を合わせるとしたらまるで宗教みたいじゃないか、必死のライブ中にDON Matsuoの前で手を合わして拝みでもしていたら、ピート・タウンゼントよろしくギターでぶん殴られるかもしれない。それも本望といえばそうか….(ドン・マツオはナイスダンディーです)(ドン・マツオは呼び捨てじゃないです)(ドンのDONは敬称です)(ドンのDONはDON VAN VLIETのDONとも違います)(ドン・マツオはズボンズのキャプテンです)…..さあどんどん行こう!

“グリグリの目玉のような混乱の中へ行こう”

“Highway A Go Go”のライブバージョンを見てみても判るが、リズムが入ってきた時の爆発力は半端ない。ズボンズのバンドはギターを主要としたロックではあるだろうけれど、本当はリズムとグルーヴのバンドだ。僕は長年の間、思いちがいをしていたのかもしれないと今さらながら気づいている。
例えば、ZOOBOMBSのライブ映像を検索してみると、”Pop In Sessions”というのが出てくる。僕は最近になってそれを観た。そう思えば、自分は1997年以降のズボンズの音楽を何ら知らないのだった。当然のように、曲名はわからない。だが、曲の名前など何でもいいのだと思ってしまった。早口で言葉を繰り出して歌っていくドン・マツオの声の破片しか聞き取れないのだとしても、これはめちゃくちゃかっこいいぞ。スピード感、リズムのグルーヴ、連打と決め手の一撃、必殺の爆発スイッチが入った時の爽快爆裂な気分。ロックンロールは初期衝動じゃない。ロックンロールをやっている者が突き動かされているのはそのような単純さではない。ロックンロールに初期衝動があるとしたらそれは聴き手に与える影響力ということだろう。俺たちもやろう。俺にもなんか出来る。聴き手にはそういう衝動を起こさせるかもしれないが、もしも当人が衝動でロックンロールをやっているとしたら、そんなのはつまらん。このライブ映像を観て感じた。ロックンロールのグルーヴを追究していった先にあるのは、必然なのか終局はサイケなのだと思った。とりあえず何でもいいが、ズボンズのグルーヴは凄いぞ。

よく調べると、この曲は”South Central Rock”というらしい。なんにもわかってない間抜けの自分に落胆する。そしてこの曲が収録されているアルバムは、1998年の「LET IT BOMB」だった。1997年に僕はズボンズに挫折したのだった。それ以降のズボンズの音楽の事は当然知らない。聞いてもいなかった。音楽は知らないけれど、ズボンズとドン・マツオのインタビューは読んでいたかもしれない。ドン・マツオの発言に出てくるのはローリング・ストーンズの事だった記憶がある。1990年代後期にローリング・ストーンズの事を語っているのは珍しいことではあったかもしれない。他のミュージシャンからローリング・ストーンズについての見解を発見することは少なかった気がする。その当時、自分の聴きたい音楽の傾向としてあるのは、1990年代のその時代にあるポピュラーミュージックにおける、時代の回顧的発見と音楽的影響力だった。ブライアン・ウィルソン、ヴァン・ダイク・パークス、ジミー・ウェッブ、バート・バカラック、トッド・ラングレン、カート・ベッチャー、ロバート・ワイアット、マイルス・デイヴィス、ジェームス・ブラウン、フェラ・クティ、名前を頻繁に見かけたのはこの辺りだった気がする。よくわからない。思い出せるのはそれくらい。
雑誌のなかの何かの記事でドン・マツオがローリング・ストーンズのライブ盤「Love You Live」を紹介していた気がするけれどよく思い出せない。自分自身がローリング・ストーンズをあんまり聴いていないというところもあったのか、ストーンズで好きなアルバムというか、CDで持っていたのは「LET IT BLEED」「IT’S ONLY ROCK’N’ROLL」「Exile On Main St」ぐらいだった。僕がそのとき興味を持っていたのは、STONESというよりは、FACESだった。

ズボンズの真骨頂を知るには、ローリング・ストーンズを理解する必要があるのかもしれない。けれど、最初にズボンズを聴いたとき、意識していたのはそこじゃなかった。もしもその当時ストーンズをもっと好きだったならズボンズをちゃんと追究していたかもしれないと思うと残念だ。僕は20年を無駄にしただろうか。

そもそものきっかけ、ズボンズの存在を知ったのは、雑誌に紹介されていたところからだったのだろう。1997年当時、ズボンズの音楽を表現するときに必ず使われていたのは、”和製ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン”という例えだった。その時代のロックの世界で話題沸騰だったのは、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンだったのだろう。ジャンクブルース、ガレージロックンロール、パンクなロカビリーロックンロールサウンドへのルーツ回帰。そういった、今の時代へも続いてきているであろう或る志向の発火点が、ジョン・スペンサーの登場期だったのかもしれない。
僕は、1996年に話題になっていたアルバム、The Jon Spencer Blues Explosion「Now I Got Worry」のCDを手にして聴いていた。そのときの自分の音楽嗜好は1960年代のブルースロックだったのだ。ジョン・スペンサーのアルバムのなかでも”Wail”という曲が大好きだった。けれどもこれはロカビリー色が濃いロックンロールだと思う。アルバム全体の印象は自分の思っていたようなブルースの”エクスプロージョン”ではなくて、パンクとジャンクなサウンドだと感じた。ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンが活動を始めたのはそれよりも数年前91年の事だとは知らなかったし、その時はそこを辿ってもいかなかった。結局のところ一枚きり、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンとは縁がなかったということかもしれない。20年経ってみるともう一度聴いてみたくはある。ずっと気になっていたジョン・スペンサー関連のアルバムは2001年の「SPENCER DICKINSON」だったのだけれど、それもここ数年になるまで聴いていなかった。1970年代のアメリカ南部ロックに名を残すジム・ディッキンソンによるプロデュースと、彼の息子ルーサーとコディー・ディッキンソンと組み合ったジョン・スペンサー、スペンサー・ディッキンソン、いったいどういうロックンロールが展開されているのだろうと期待していた。名前がかっこよかった。ちょうどその2000年頃に、ジム・ディッキンソンの1972年のアルバム、JAMES LUTHER DICKINSON「Dixie Fried」のCDを聴いていたからなのだろうか、それよりも凄いことが起こっているにちがいないと信じていたのだ。今聴くと、まあまあかっこいいと思う。(偉そうですみません)(ジョン・スペンサーはナイスダンディーです)(ジョン・スペンサーのジョンにHは要らないです)(ジョンのジョンはJONです)….Be Cool!
Don’t Fight It!
それはそれとして、翌2002年のブルース・エクスプロージョンのアルバム「Plastic Fang」はロックンロールの傑作だと思う。文句なしにかっこいいぞ。レコードで見つけたら絶対買う。

しかし最初の1997年当時、ジョン・スペンサーとズボンズを聴き比べてみて、凄いと思ったのは、ズボンズだった。決め手はやはり、”Highway A Go Go”の強烈さに尽きる。それでもズボンズの音楽に挫折したのはどうしてだったのか。やはり世に憚る”和製ジョン・スペンサー”という、どうでもいいカテゴリー化とその表現だったのかもしれない。もちろん、その時代にズボンズもジョン・スペンサーに影響を受けてはいたかもしれないし、意識をしてはいただろう。今思うのは、そこで自分は道を見誤ったのだと思う。ズボンズの実像を知らないまま、脱いだら脱いだままの形で洗濯機にも入れずに部屋の片隅、記憶の片隅に留めていたのだろう。それで最近、偶然にズボンズのライブ映像を観て、20年前に脱いだままのズボンを穿き直してびっくりした。サイズはぴったり違わなかったが、ズボンズはギターバンドじゃなかったし、多くのロックンロールリバイバルのひとつではないとわかった。ズボンズは、和製の”ジョン・スペンサー”なんかじゃないのだ。そしてそれらに追随するガレージロックンロールバンドでもなかった。僕は今の今までパンツ一丁で過ごしてきたのかもしれないと思って急に恥ずかしくなった。ズボンの下のそれも恥ずかしブリーフだったのかもしれない。スリムなズボンをかっこよく穿いてもチャックが全開だったらチラ見の中身が恥ずかしいのと同じだ。

ところで僕は20年ぶりにズボンズの音楽を聴いている。まだ今のところ、1998年の「LET IT BOMB」だけだけれど、これからも聴いていくだろう。
「LET IT BOMB」を実際に聴いていると、ローリング・ストーンズの影響力が垣間見られる瞬間がいくつもあるのがわかった。ある時はストーンズの”Miss You”、ある時は”Sympathy For The Devil”、あるいはストーンズの名作「メイン・ストリートのならず者」のようなブルースの多彩さ、1980年代近くのダブサウンドへの接近、初期のストーンズが取り上げてもいるオーティス・レディングの曲”That’s How Strong My Love Is”のカバーなど、いろんなところでストーンズが感じられる。カバーといえば”Gimme Some Money”という曲は、映画「スパイナル・タップ」で演奏されているものらしいが、これはブルース・エクスプロージョンのメンバーがかつて在籍していたバンド、ハネムーン・キラーズによるカバーもあるから、そこは意識したのだろうか。想像でしかないのだけれど。
ローリング・ストーンズは素晴らしいバンドだ。けれど、ズボンズもそれを越えるくらい素晴らしい演奏をしている。ヒップホップの時代の影響もあるのだろう、高音質ではないローファイ感覚、こういうのを聴くと無性に、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「There’s A Riot Goin’On(暴動)」が聴きたくなるし、マイルス・デイヴィスの「On The Corner」を取り出してきたいと思う。ひとつの音楽が別の音楽を呼んでくる感覚、そういう音楽って良いよね。

それはともかく、繰り返して聴きたくなる「LET IT BOMB」は素晴らしいアルバムだ。20年以上続くズボンズ史上、重心ともなる傑作曲、”Mo’Funky”がアルバムのなかでも一番の聴きどころだろう。この曲と共にある”Mo’Dub”の2曲は、日本に於けるダブサウンドのミキシング、フィッシュマンズや他にも数々のレコーディングエンジニアとして知られるzAkという人が携わっている。そうだとすれば、「LET IT BOMB」のアルバムのなかでもメロウなソウルを表現する”Pleasure Drop”を続けて聴いていくと、まるでフィッシュマンズの感覚を思い出している自分がいる。フィッシュマンズのヴォーカル、佐藤伸治さんは1999年に亡くなった。僕はその時代、ラジオで彼の追悼とも言える番組の放送を聴いていた。ずっとフィッシュマンズの音楽が流れていた日の夜の感触を忘れることはない。全然関係ない。
いや、全然関係ないと言い切れるだろうか。同じ時代を生きた感覚と感触だ。
“Pleasure Dropでハートを洗え”という歌詞が気に入った。よろこびのしずくで心を洗え、って、素敵じゃないか。ドン・マツオのヒップホップのリズム感、ラップの言葉遣いがまた素敵だ。アルバムとして、いろんなリズムの付け方、曲の配置も素晴らしい。音楽を通して聴いてみると、よく判るのがリズムの追究、グルーヴの求道心なのだと思う。やはり、ZOOBOMBSはグルーヴのバンドだ。痛快な言葉はそこに乗るのだ。
 

「Mo’Funky(pt.1)」 DON Matsuo/Zoobombs

“真夜中にかけるブーガルー
ごきげんなヤツを知ってる
然るべき処置をとってる
そうSoul Showの始まりを告げよう
形はまずこう次はもう
そう好きにやればいいでしょう
太陽を塗りつぶす方法を
キミに教えたげよう
真夜中にかけるブーガルー
片耳の奴は知ってる
クソみたいなウソツキのセリフを
妄想の中に投げ込んでくる
“I was born,babe,long ago,Man”
絶望の中に楽しみを見つける癖をもってる
左手にガイコツの銅像右にダイヤのボロ
Baby,俺を開き裂け目をのぞけ
そこはダークゾーン
そしてマディ・ウォーターズは言う
「お前は忘れてないのかよ?」と
I say “Yea” that’s right

Baby,Blow me out!
You need to get Mo’Funky

真夜中にかけるブーガルー
中心に何が残ってる然るべき処置をとってる
そうSoul Showの始まりを告げよう
形はまずこう次はもう
そう好きにやればいいでしょう
Just say baby,”Mo’Funky”
Oh,ママ!呪文をかけてくれよ
その中で悲鳴をあげよう
ママ、風の中の答えはバラバラに引き裂かれてたよ
ママ誰が全て知ってる?
ママ誰が全て知ってる?
ママ誰が全て知ってる?
ママ誰が全て知ってる?
You need to get Mo’Funky
Mo’Funky ”
 
 

ロックはファンキーだ。
ファンキーは持続力だ。
継続は力なり。
導火線はきみの手にある。

ZOOBOMBSを
もう一回爆発させよう。

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