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優しいパンチで、やっと覚めそうな目

ヒグチアイが届けてくれる、今年の夏の感じ方~東京にて~

毎日とにかく、暑い。
生きてるだけで軽く意識を失いそうだ。

TVに映るえらい人たちが会見で言っていた
「東京からの越県を控えて」という言葉を聞くだけで
「げえ、こっちだって行かないよ!べ~(舌を出して挑発)」と思ってしまう
ひねくれた都民だから余計にイライラする。

お盆の短い休みのあいだ、日中に動くのを極力控えて
毎日家でぼーっとラジオを聞いていた。
ヒグチアイのこの歌に出会ったのも、そんな昼下がりだった。

***

渋谷も変わっていくね
オリンピックがひかえているから
張りぼての元気などを纏って
サラリーマンが肩をぶつける

ライブハウスができてはつぶれて
名前が変わってまた戻って
解散したバンドは友だちじゃないけど
わたしのこと 歌ってた

ロックバンドから見える東京 ホームレスから見える東京
ピンヒールのOLの東京 どれも嘘でどれも本当
誰かの作った方程式じゃない 新しい答えを作ろうよ
最初で最後 きみだけの きみだけの東京にて

(東京にて/ヒグチアイ)

***
 

そっか、今年はオリンピックが開催されるはずだったんだと思う。
ごちゃごちゃが多くて、すっかり忘れていた。

もしこんな暑い日に、オリンピックが開催されてたら
どんな夏だっただろうなと考える。

今みたいにひとりでTVを見てたかもしれないし
たいして詳しくない競技の金メダルを口実に
好きな人を誘って、どこかの飲み屋にいたかもしれない。
 

***

バスターミナルできみに
手を振ったのはいつだったっけな
見送るのが苦手だと言って
背中を向けて逃げたセンター街

あの子ともあの子ともあの子とも
潜ったこの赤い提灯の下
神様仏様ぼくはちゃんと
今この人を愛しています

(東京にて/ヒグチアイ)

***
 

東京オリンピック開催が発表された2013年の9月8日。
その日は、当時付き合ってた恋人と旅行に来ていた。

発表中継の「TOKYO」の文字で鳥肌が立ったけど
それと同時に、2020年には彼と一緒にいないんだろうなと
直感してしまったことが悲しかったのを覚えている。
 

***

ロックバンドから見える東京 ホームレスから見える東京
ピンヒールのOLの東京 どれも嘘で本当
誰かの作った方程式じゃない 新しい答えを作ろうよ
最初で最後 きみだけの きみだけの

会社をやめたサラリーマン 笑い方を忘れた芸人
引っ越し手伝いにきた父親 結婚したい派遣社員

(東京にて/ヒグチアイ)

***
 

2020年8月、オリンピックが延期された今年の夏。
わたしは”ピンヒールのOL”としてひとりで東京で生きていて、
結局別れてしまった彼は、”優しいパパ”になって東京を生きている。
 

***

見えてるものは一緒でも 違う方法で見つけたものだろ
最初で最後 きみだけの きみだけの東京にて

(東京にて/ヒグチアイ)

***

夏バテで、ぼんやりとした気分。
ひとりぼっちで消えてしまうような孤独。
先の見えない将来への不安。
いま、誰のことも愛していないというさみしさ。
毎日このままでいいのかな?と不安になることが多かった今年の夏。

この「東京にて」という曲を聞くと、うじうじとしている自分に
「やり方を間違ったって良いんだから!ま、生きてみなさい」と
真正面から優しいパンチを受けたような爽快感に包まれる。

今日、明日、その次の日―
ダメになってしまいそうな日常でも、どうにかこうにか続けていれば
ふっと振り返った時には、どこかのシーンが大切な思い出になっているのかもしれない。

とにかく、なんとも思い通りにならない夏だったけど。
「東京にて」感じたこの猛暑を、いつか愛しいものとして思いだせるといいな。

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