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「それ」を見る日まで

back number 清水依与吏が「水平線」に込めた想い

私がback numberのファンクラブに入ったのは、中学2年生のとき。
それからずっと私の青春はback numberに彩られてきました。
彼らの楽曲を聴くと、当時の光景はもちろん匂いまで鮮明に蘇ってきます。

そんな私もこの春大学生になり、親元を離れて一人暮らしを始めました。
しかし、大学には通えずサークル活動は休止されているため、先輩はおろか同回生の友だちすらできません。
慣れないオンライン授業をこなしながら、ただバイト先と家を往復するだけの日々。

「こんなはずじゃなかった。」

最初はそんな寂しさや不満を感じていました。
しかし、人間というのはよくできた生き物で、繰り返されるうちに慣れていきます。このつまらない生活も当たり前になり始めてきていたとき、

「back number 新曲 『水平線』公開」

8月18日0時ちょうど、その文字はスマホの画面上部に現れました。1年半近く新曲を出していなかった彼ら。なんの前触れもないその知らせはあまりにも唐突でしたが、私は反射的にその通知を押していました。通知はYouTubeのサイトにつながっており、動画は独りでに再生されました。

頭の中の整理はついていないままでしたが、どこか懐かしさを感じさせるようなメロディに乗せて流れてくる縦書きの歌詞に、私は自然と惹き込まれていきました。

【水平線が光る朝に あなたの希望が崩れ落ちて
風に飛ばされる欠片に 誰かかが綺麗と呟いてる】

【耐える理由を探しながら いくつも答えを抱えながら悩んで
 あなたは自分を知るでしょう】

まるで私の心を見透かされているようでした。
慣れきったと思い込むことで蓋をしていた負の感情、心の奥の方まで行き渡っていたその霧を一瞬にして吹き飛ばしてくれるかのような、そんな感覚に陥りました。

そして、去年のツアーの依与吏さんの言葉が頭を過ぎりました。

”良い日には、良い歌なんていらねえんだよ。
気の合う仲間と、美味しいものと、酒があればそれだけで幸せなんだよ。
でも、悪い日は違うでしょ?
誰にでもあるじゃん。
クソッタレみたいな1日が。
この日は、絶対、今日という最低最悪な1日は
俺の人生の中でいらない1日だったって、
そう思う日もあるじゃん。
そんな時にこそ音楽は必要なんだよ。
でも、そういう時って、
何聴いても他人事にしか思えないんだよね。
「頑張れ。」「応援するよ。」って、
お前に俺の悲しみが分かるのかよ。
って、俺はそう思っちゃったんだよね。
でも、そう思った俺たちが作る歌だからこそ
最悪な日に聴いた時に
「あ、なんだろう、この人たちの歌、
なんかよく分かんねえけど
元気出るっていうか励まされるな。
この人たちがこう言ってるんだから
今日という最悪な1日もこの先の人生で
『あぁ、あの1日が今に繋がってるのかな』
って思える日が来るのかな、、」
って。
そういう心の1番深いところで繋がれる
そういう意味で日本一のバンドに俺たちはなりたい。”

まさに、そのことを体現している曲だと感じました。
ポンっと表面的に背中を押そうとする訳ではなく、
手の届かない心の深いところで寄り添ってくれているような、そんな曲。

「水平線」は、インターハイが中止になったことを受け、開催に向けて尽力してきた生徒たちがback numberに手紙を送ったことがきっかけで生まれた楽曲であり、本来インターハイの開会式が行われるはずだった18日に公開したというものであること、YouTubeだけの限定公開でリリースの予定はないということが概要欄に記されていました。
そして依与吏さんのコメント。

”俺たちはバンドマンなので
慰めでも励ましでも無く音楽を
ここに置いておきます。”

便箋のように縦書きに歌詞を並べることで高校生からの手紙の返事であるとしながらも、あくまで音楽を”置く”だけで受け取ることを強いる訳ではいない。
彼の優しくて繊細で真っ直ぐな人柄が痛いほどに表されている文章だと感じました。

今までの曲とリンクしているような歌詞も要所要所で感じられ、どれだけ有名になっても、依与吏さんの信念は何一つ変わっていないんだなと。表現者としてそう在り続けることはとても難しいことだと思うけれど、私もそんな風に生きたいとこの楽曲を通して強く感じました。

back numberは、私にとって傘のような存在です。
明けない夜はなくても、晴れない朝はやっぱりあって、そんなとき傘のように守ってくれるのはいつだって彼らの楽曲で。
そして「水平線」はこれから先、私を含めたくさんの人の傘になってくれると思います。

【悲しい声で歌いながら
いつしか海に流れ着いて
光って あなたはそれを見るしょう】

何年後かに「水平線」を聴いたとき、私はどんな記憶や匂いを思い出して、どんな気持ちになっているんだろう。「それ」の意味に辿り着いて、このどうしようもない日々は無駄じゃなかったと思えているのかな。

そんなことを考えながら、今日も繰り返し繰り返し再生ボタンを押しています。

1日も早く「水平線」をライブで聴ける日が訪れますように。

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