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ちゃんと「反抗」してる?

Charli XCXの場合

反抗って、いつも成長の合図だと思う。思い返せば自分もやっぱり中二辺りで先生やら親やらに反抗してから、自分の中でチャプターが変わった思いがどこかにある。だから「反抗期」って善悪で片づけられない何かがあるんじゃないかと思っている。

「UK出身のポップスター」という誰もが羨む称号を手にした後も、Charli XCXは世界への「反抗」を決してやめない。Icona Popとの”I Love It”やIggie Azaleaとの”Fancy”、映画からの”Boom Clap”といった特大ヒットを連発しても尚、彼女の長めの反抗期はまだまだ続いている。
長らく待たれた3作目のセルフタイトルアルバム、”Charli”でも反抗期真っ只中である。

このアルバムは、彼女のこれまでをパーソナルかつダイナミックに描いた映画と(ベタな例えであるのは重々承知だが)言っていいと思う。”Vroom Vroom”辺りから始まったPCミュージックのプリンス、A.G.Cookとのタッグでグッと強まったその「フューチャーポップ」路線。
実質的な前2作”Number 1 Angels”と”POP 2”が、「DIY感が残る80年代のフューチャリスティックな映画」だとしたら、今作は「VFXも予算も使いまくりのハリウッド超大作」といったところだろうか。

全体のダイナミックかつ複雑なサウンドは、映画も目じゃない程に没入感MAX。これは映画でいうところの、ディズニーもびっくりなVFXに当たると思う。
まず1曲目”Next Level Charli”なんて、止めどなく押し寄せてくる音の波に鳥肌と涙が止まらなくなる。頭にクレジット持ってくる映画ばりに、こちらのテンションと期待を煽りまくる。その辺りの音の作り方は妥協もなければ容赦もない。13曲目”Shake It”で聴こえる、水の中で歌っているようなサウンドエフェクトには度肝を抜かれたし、5曲目”Click”のアウトロなんてもう完全に聴き手なんかに媚びていない。普通なら少し抑えて、聴き手が聴きたい/聴きやすい音楽を提供するのがポップスター。だがもうそんなレベルじゃなく、彼女は違うレベルに自分たちを連れて行こうとしてるのだ。彼女はもう乗っけから「ネクストレベル」なのだから。でもそこは流石Charli姉さん、Troye Sivanと乗りこなす様に歌う”1999”や、前作収録の”Track 10”をアップデートして、パーティーやスタジアムで絶叫間違いなしの勢い溢れるLizzoとのアンセム”Blame It On Your Love”など、キャッチーなシングルヒットもバランスよく配置していて、抜け目なし。

外向きに大きく伸びる音に反比例する様に、歌詞はかなり内向き。彼女のこれまでを描いたパーソナルな歌詞は、彼女の日記を覗き見しているみたいでそわそわ&どきどき。7曲目”Thoughts”では、”Driving ‘round in Hollywood,I can only think ‘bout you”と現実に一気に引き戻してから、”Did I f*** it up?/Are my friends really friends now or they far gone?”なんて赤裸々かつ素直に悩む姿を見せる。今までのポップスターから、等身大の20代後半に差し掛かった大人の女性としての悩みを打ち明ける。そんな疎外感からか、次曲”Blame It On Your Love”では、見つけた愛に対しても逃げ出してしまう弱さや怖さを覗かせる。そんな姿はどこか身近で、共感すら覚えて感情移入してしまう。どこか否定的だった前半に対して、アルバム後半の”I Don’t Wanna Know”や”Official”では、現実を受け入れている様にも見える。今までの煌びやかなロケーションとは打って変わって暗闇の中ふたりきり。「知りたくない」とは言いつつも、パートナーに過去や本心を打ち明けて欲しいと切に願う。本当は全て知っているけれど。そんなふたりを見守って、気付けばいつしか応援してしまっていた。”Official”ではお互いの欠点やこれまでの目を背けたい出来事に目を向けて、もう一度やり直すことを決めたふたりがゆっくり歩き出すところが見えて号泣。本人曰く「一番自信がない曲」らしいけれど、自分はまっすぐで愛おしくて大好きなパートだ。数多くの客演(というかキャスト)のおかげで風通しが良く、内向きになり過ぎないバランスの取り方にも感動。

こんなにポップなのに、ちゃーんと随所で反抗要素を出してるのも興味深い。そもそも2曲目のシングルヒットしたキレキレダンスチューン”Gone”では、パーティーを抜け出して全てが始まっているところにメインストリームに囲まれた「現実への反抗」を感じずにはいられない。ただ彼女の反抗は、ただつらつらと現実への不満を並べるのではない。「私は私の道を行くわ!」と行動を重ねて、恋愛や友情を通して自分を見つけていくのだ。そんでもって最後の最後、前半では1999年にタイムスリップしたかと思えば今度は”2099”にぶっ飛ぶ。”Got visions, levels, they don’t get me””Don’t make decisions for me, you don’t know nothin’”と未来でもしっかり反抗中。これは「いつの時代でも私は私。」という彼女なりの意思表明じゃないだろうか。

このアルバムを聴く度に、「自分は現実に甘んじて満足してないか?」と問いただしている。もっともっと、反抗しようじゃないか。自分らしくいこうじゃないか。自分たちには、Charli XCXがついている。

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