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音楽は人の心を動かす魔法

ザ・モアイズユーにまた会いに行きたくなる理由

いいライブって何だろう?
この問いを自分なりに考えて出た答えは、「その人たちにまた会いに行きたくなること」だと思った。2020年8月25日、この夜の出来事を私はきっとずっと忘れない。
 
 

19時59分。開演時間1分前。徐々に心臓の音が高まる。
だけど、いつものライブ参戦とは少し違う。
私はスニーカーを履いていないし、肩にタオルはなく、手首にラババンもない。隣に友人はいないし、ざわめきも聞こえない。別々の場所からそれぞれパソコンの画面を見つめ、裸足で椅子に座っている。そう、ここは自宅。今日はオンライン生配信でのライブ参戦なのだ。

本来であれば5月に配信EPをリリース、5月6月にリリースツアーが開催される予定だったが現状を踏まえて中止となり、急遽開催されることとなった配信ライブなのだ。
残念なお知らせの連続に正直寂しかったが、この嬉しいお知らせに胸が躍った。
 
 

画面の中の影が動く。メンバーが一人ずつ登場しそれぞれのポジションに着く。はじめて見る3人が向かい合うスタイルでのライブ。拍手は聞こえない。カメラワークが切り替わる。
(あ、はじまる)
固唾を呑んで画面を見つめた。

青白い照明にメンバーのシルエットが照れされて、ギター本多、ベース以登田、ドラムオザキそれぞれの音が響き重なる。
 
 

オープニングナンバーはこの季節にぴったりな『花火』
夏の終わりと恋の終わりを歌った実体験を元にした切ないラブソングだ。
>最後に涙を浮かべて君が僕に笑いかけた
>今夜だけは 今夜だけは
>今夜だけは君のそばにいたいんだ
>花火の音 2人は夏の終わりを見てた
(『想い出にメロディーを』より)

ボーカル本多のハスキーで優しい歌声と切ない歌詞に胸がギュッと締めつけられる。力強いドラムの音はまるで目の前で上がっているかのような連続花火を思わせる。ベースの音が火薬の残り香のような余韻を残す。いつもと同じ、私の大好きなザ・モアイズユーの音だ。
 
 

「はじめようか、俺たちが大阪のザ・モアイズユーです。どうぞよろしく!」
一気にテンションを上げて、『光の先には』が始まる。上手くいかない現状を変えたくてだけど弱い自分たちを受け入れたそのままの姿で進んでいきたくて書いた曲だ。
>手を伸ばした光の先へと
>今僕らは走るよ

>見つけ出した答えの先には
>何があるのかわからないけど
>僕らがここにいることがそう答えなんだ
(『想い出にメロディーを』より)

思い描いた夏とは違ったかもしれない、ツアーも初出演予定だった大型夏フェスも全部中止になってしまった。それでもこんなことでは諦めない、今できることは何か、足を止めることなく前へ前へと進んでいくという3人の決意を見せつけられたような気がした。最後に追加された「走るよ」と力強く歌うアレンジが、まるで心の声のようだった。

歓声も拍手もないステージからどんな景色が見えているのかを私は知らない。
本多が画面越しのみんなへ問いかけた。
「聴こえてるか」
(聴こえているよ、届いているよ)
私はただじっと画面を見つめていた。
 
 

「まだまだ行こうぜ!」とハイテンションで『fake』が続く。頭3曲でこんなに飛ばして大丈夫なのかと心配になるくらい、いつも以上に熱量あふれる激しい動きに目が離せない。好きな人に別の好きな人がいるという主人公の心情と青と黄色反対色の照明がリンクしていた。
 
 

最初のMC。一息ついて3人は言った。
「ついに来たぜ、この日が」
「待ち焦がれたね、8月25日」
「くっそ楽しいね」
汗を拭いながらも、その表情は清々しく、瞳ははじめて楽器を手にした少年のようにきらきら輝いていた。
「配信ライブなんですけども、僕らは関係なくいつも通り思いっきりやって帰るだけなんで、皆さんぜひぜひ楽しんでいってください。」
 
 

「画面の前でも手拍子よろしく!」そう言って始まった『旅は続く』
本多が叫ぶ。「進んでいこうぜ、前に。俺たちとあんたらの旅は続いていく。」
ララララララララララ♪
楽しそうに笑顔で歌う以登田とオザキのコーラスが響き渡る。
「よかったら歌ってくれー!」
ララララララララララ♪
「サンキュー」そう言って本多もとびっきりの笑顔になった。
>さあ旅立とう走りだしたまま
>僕らの旅続いていく
>君が背中を押してくれた
(『暮らしの隅から』より)

柔らかくて温かい空気感にまるでいつも通りライブハウスにいるような気がした。画面越しの手拍子、声を出して歌った人、手を上げた人、見守っていた人、きっとみんなの声や想いがちゃんと届いていたのだろう。
 
 

そして続く『トーキョー・トレイン』夢を追って上京する友人を見送る曲だ。
心地よいリズムと別の場所でお互い頑張ろうぜと背中を押してくれる歌詞、一緒に見たいつかの夕日を思わせるオレンジ色の照明がマッチして優しい気持ちにさせてくれた。
>君に届けよと僕は歌うから
>僕のこの歌が届けよと
>「君よ元気でいてね」
(『想い出にメロディーを』より)

会えないみんなを想っているかのようにメンバー同士が優しく微笑み合った。
 
 

優しく寄り添うバラード『桜の花びら』が続く。出会いと別れ、喜び悲しみ期待不安…いろんな気持ちを抱く春、大切な人との門出を思い出す曲だ。
メンバーそれぞれのソロ画像がハモる場面に合わせて重なる。普段のライブでは決して見ることのできない、配信ライブならではの映像演出に驚いた。映像と照明と優しい歌声の重なりがとても綺麗だった。
>出会いと別れ 繰り返して生きてく その中で
>いつかきっと僕らはまた会えることを信じてる
(『想い出にメロディーを』より)

3人の想いがひとつになる。画面越しのみんなの想いもきっとひとつだ。そう、信じてる。
 
 

「(ツアーが)中止になってしまったんですけど…残念。でも諦めずにやっていきますんで。どんどん新曲も作ってまた全国各地回って皆さんの元にモアイズユーの音楽届けていける日を願ってバシバシやっていきますんで、これからも応援の程よろしくお願いします。」
そう言うと気合いを入れ直し、ギターをかき鳴らした。
「やっちまおうかー!新しいモアイズユー聴いてくれー!」と、曲名も言わず、新曲の演奏が始まった。(8月26日配信『すれ違い』)
感想を一言で表すなら「めちゃくちゃかっこいい!」ダンサンブルなロックナンバーに恋に臆病な男の歌詞。モアイズユーらしさもありつつ、重くて太い今までの楽曲にはない新しいモアイズユーが詰まっていた。
 
 

ステージが暗転する。一筋の光が差し込む中、本多の歌声のみが響き渡った。
>このまま僕らが壊れてしまう前に
>その涙より早く走れと、
>振り向かずただ
(『暮らしの隅から』より)
『涙よりはやく』はバラードではない。こういうCDを聴くだけとは違うライブならではのアレンジは欲を言えば目の前で見たかったな、と思うほど曲の魅力が引き出されていて素敵な演出だった。そして、曲中の激しいギターフレーズは、まるで心の叫びのようだった。
 
 

一息ついて本多が力強く言った。
「あきらめへんぞ、何回も何回も俺たちはあなたに歌う。今日はありがとう。大阪のザ・モアイズユーでした。また会おうぜ。」
そして、ラストナンバー『何度でも』が始まった。今まで出会えた人たちへの感謝の気持ちを歌った曲だ。ラストナンバーにこの曲を選んだことがモアイズユーらしいなと思った。
>踏み出すことで 傷付くことが
>増えることは 今も怖いけど
>答え求め この道を進むと決めたのは 僕なんだ

>今この場所で歌うことの意味
>ずっとずっと見失わぬように
(『想い出にメロディーを』より)

「この道」「この場所」と、今いる場所を力強く指さしていた。演奏しながら3人が何度も見つめ合って笑い合っていた。こんな情勢の中でもライブができるという喜び、歌を届けたいという想いが溢れていた。
 
 

>何度も何度も何度でも
>あなたのことを思い出すから

>きっと最後の最後の最後まで
>もらった言葉忘れないから
>あなたが涙こぼした時はこの歌
>届けたいから
(『想い出にメロディーを』より)

歌詞の「あなた」の中に私もいた。
嬉しくて涙があふれた。
 
 

決して楽しいことばかりではない音楽人生の中で、モアイズユーの3人が音楽を諦めなかったことには感謝しかない。配信ライブが当たり前になっていくことが寂しくもあるけれど、それぞれの考え方があると思うし、いろんな答えがあって正解だと思う。
配信ライブでもモアイズユーの想いはちゃんとまっすぐ私の心に伝わった。「今のザ・モアイズユー」を目撃することができて嬉しかった。熱量あふれるライブながらも、温かくて楽しくてとても幸せな時間だった。忘れられない想い出がまたひとつ増えた。

私はこれからも3人が演奏していて歌っているモアイズユーの曲を聴き続けたいし、いつになるかはまだわからないけれどきっとまた何度でもモアイズユーに会いに行こうと思った。音楽は人の心を動かす魔法だ。モアイズユーのライブを見ると元気になれる。常に今の自分たちには何ができるのかを考え、前へ前へと進んでいる。頑張れとも大丈夫とも言わず、そっと寄り添ってくれて、自分のタイミングで歩むきっかけをくれる。
そして、「弱さを強さに」その言葉の意味を教えてくれた。

この日の配信ライブがどれだけの人の心に届いたのかを私は知らない。でも、モアイズユーを好きな人、この配信ライブをきっかけに興味を持った人、これから好きになる人、いつかみんなと一緒にモアイズユーの3人とライブハウスで笑い合える日を願っている。

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