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わたしが一番好きな5人組のこと

『東京事変2O2O.7.24閏vision 特番ニュースフラッシュ』を観て

「ライブもフェスもなくて、なっとしとん?」

最近、地元の友達から方言まじりで聞かれた。そう、ここ半年くらい、今まで定期的に行っていたライブやフェスの類が全部なくなってしまった。本当ならこの夏もフェスの2つや3つ行っていたかもしれないが、私のスケジュール帳は真っ白。おかげでこの半年だけでもお金はとても貯まったものの、逆にお金以上の何か、を失っている気がしていた。

昨日、かつて私が青春を捧げた偉大なるバンドのライブ配信があった。

実を言うと、このコロナ騒ぎが始まってから、私は一番の趣味である音楽に対する熱を失ってしまっていた。ひと昔前の自分だったら、この状況に対して、悔しいとか、でも何とかしてライブに行けないかとか(実際この状況でも開催されているライブはあるよう)、いろいろと考えたり行動したりしていたかもしれない。けれど、今の自分はそうする気にはなれなかった。趣味以上に大事なものは自分や周りの健康だと思っていたから、「仕方ないよね」の一言で済ませようとしていた。

でも、それは大人になったようで、“本当は自分の気持ちに向き合ってなかっただけではないか”ということに気づいたのはつい最近のこと。

このライブ自粛の半年間、今まで一緒にライブやフェスに行っていた友人から連絡をもらったり自分からも連絡したりして、あまり乗り気ではなかったオンラインライブをいくつか観た。リアルタイムで鑑賞し、その後オンラインで彼らと感想を語り合うという経験を通して、私が確信したのは“好きなものを誰かと共有できないと意味がない”ということ。一緒に楽しむことができる仲間がいてこそ、私の趣味は成り立っていたのだ。自分の知らない音楽を教えてもらって幅が広がったり、同じ曲でも他の人が自分とは違う感想を持つことを知ることでより深みが増していったり。そして何より、そうやって音楽を通じて誰かとつながることに私は深い喜びを感じていた。実際、初めましての人でも久しぶりの人でも、音楽が好きという共通項があればすぐに打ち解けることができる。私にとって、音楽を通した人とのつながりは人生の大事な要素の一つだ。

話は戻って。

昔あんなに熱狂していたバンドのライブ配信を前にして、離れていた期間があったのと(実際にはそのバンドはしばらく解散していた)、コロナ禍でも音楽を届けようと活動していた彼らの気持ちについていけず、もやもやしていた私は“別れた恋人と復縁するってこんな感じなのかな”と思ったりもしていた(復縁したことないけど)。

でも、かつて一緒に参戦していた友人から「ライブ配信後にオンライン打ち上げしよう」と誘われて、やはりちゃんとライブを観て自分の気持ちと向き合うことを決意した。

そして迎えた当日。朝から友人と連絡を取り合って開演時間を確認した後、普段通りの生活をしながらも少しずつ気持ちを高めていこうと、追えていなかった最新の曲を聴いたりしてライブまでの時間を過ごした。

開演時間がやってきて、パソコンの前にスタンバイした私はいつものライブのように緊張するでもなく、フラットな感じだったと思う。ほどなくしてメンバーたちが登場。画面の前に現れた彼らはいつもの配置で立っていて、いつものようにお揃いの衣装を身につけていた。仲良しか!と、思わず心の中でつぶやいてしまう。(余談だけれど、活動終了前にメンバーの一人が「大人が集まってこんなに仲が良いのも珍しいと思う」って言ってたのがずっと印象に残っていて。でも本当にそうなんだと思う。ちなみにそのメンバーが今回のライブで一番楽しそうに見えた)

冒頭からまんまと私の心を掴みにかかってきた彼らは次々と曲を繰り出してきて、もう3〜4曲目くらいのときには早くも私は降参してしまったような気持ちになった。彼らの本気度は画面越しでもきちんと伝わってくる。というかカメラが近いだけに演奏中の表情や飛び散る汗まで、全部がよく見えた。画面の向こうでは粛々と、それぞれがそれぞれの役割通りに歌って楽器を弾いて。コロナ前と何ら変わっていない。変わったのは客席からの声援がないことと、曲間に補助をするスタッフたちがみんなマスクをしていることと、ドラムセットの前に透明のシールドがあったことくらい。

“任務を全うせよ”

ライブで披露された一曲の中の歌詞が画面に表示されたとき、ハッとした。彼らにとっては、目の前にお客さんがいてもいなくてもやることは同じ。それぞれの任務を全うするだけだ。もともと個々で活動していた人たちが集まってできたバンドなので一人一人の個性が非常に強く、以前から私は彼らのことをバンドというより“プロの音楽家集団”だと思っている。この日の彼らはまさしく、プロとしての姿を見せてくれていたように感じた。そんな中でも時折メンバーが見せる笑顔は実に微笑ましく、思わずこちらまで笑みがこぼれてしまう。もう私は“彼らが笑顔でいてくれさえすればいい”と思った。

ライブを観ながら思い出す、過去の思い出。中学の終わりに彼らのデビュー曲を聴いて衝撃を受けたこと。高校では彼らの真似をしてコピーバンドをしたこと。解散は私が大学を卒業する年で、“社会人になってもライブに行けるのか”という学生時代の一番の悩みは思ってもみない形で解決した。ときには授業をさぼって夜行バスで遠征し、ライブ中に誓った“帰ったら勉強頑張る!!!”という思いを胸に、眠い目をこすりながら京都駅の八条口でバスを降りていた、懐かしい日々。いつもライブ中には気持ちが高まって、これから頑張りたいことや自分の夢がくっきりと頭の中に浮かぶ。日常にこんな機会はそうそうない。ライブがなくなって失った何かは、こんなふうに感情を解放しながら自分を見つめ直す機会のことだと思う。

“思い出迷子は負けの始まり”

“今を実感する者だけが勝つ”

過去のことを思い出していたら、こんな歌詞が。いろいろあるけど、頑張ろう。そう思わせてくれたライブでした。同じ時代に生きられてほんとうに幸せ。ありがとう東京事変!

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