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彼らの音楽は、いつも側にいた

BUMP OF CHICKENの存在

音楽は強烈な存在だと思う。
まず、音楽を好まない人がいない。ジャンルを問わなければ、世界中のあらゆる人に好かれている。
曲を覚えてしまうと、何かの弾みに頭の中に流れてくるときがある。好きでそればかり聴いているときの出来事を、その曲が流れると、よかったことも嫌だったことも鮮明に思い出す。
何かをしながらでも聴けるのが素晴らしいと思う。家事をしているときでも、車の運転中でもいい。ここまで人の中に強く入ってくるものは、そんなに多くはない。

BUMP OF CHICKENを好んで聴くようになったのはメジャーデビューからかなり後になってからだった。
2009年に働いていた飲食店でよく流れていた、同年リリースの『R.I.P.』でBUMP OF CHICKENに興味を持ち、シングルを買った。しかし、家や車内で繰り返し聴いて、それで終わってしまう。かなりの年月が経ち、何かの拍子にまた『R.I.P.』を繰り返し聴き始めた。初めて発売日に買ったものは、デジタル配信されたシングル『パレード』。この曲は2014年リリースになっている。これをきっかけに、それ以降の新しいものや彼らを知らなかった頃のCDを購入して今に至る。調べると彼らは同い年で、それにも驚いたし、同い年の人の作る音楽にも興味が湧いた。

BUMP OF CHICKENのいろいろな曲を聴くようになってから初めて、『天体観測』は彼らの曲だと知ったことに衝撃を受けた。いつからなのかははっきりとわからないが、あちこちで『天体観測』が流れていたころから、サビの一部が、ときどき唐突に頭の中に流れていた。その現象がなぜなのかはわからなかったが、その曲を作ったバンドと、やっと出会った。

BUMP OF CHICKENは、わたしが今まで好んで聴いたものと大きく違うところがあった。
BUMP OF CHICKENはバンドであり、メンバーの声と演奏だけで楽曲を完結させることもできる。
BUMP OF CHICKENの歌詞は、リスナーへ強く強く訴えかけてくる。
今までに聴いていた人は、ボーカルでギターも弾き、それ以外の音は打ち込みやバックバンドで楽曲が完成している人たちだったので、新鮮だった。作詞作曲も自分たちでおこなうが、歌詞がリスナーひとりひとりへ訴えるものかというと、少し違った。
その人たちの作る音楽も大好きで今も聴いている。ただ、BUMP OF CHICKENの作る音楽は、自分が必要とすることのできるものだと感じる。
BUMP OF CHICKENの曲を聴き、ライブに行くようになって、「この人、なんなんだろう」という言葉を、ボーカルの藤原さんに対しての気持ちとして思った。ふざけているわけでも、けなしているわけでもない。BUMP OF CHICKENの作詞作曲をする藤原さんの存在、聴く人へのメッセージ、熱意……それらを受けての気持ちをうまくまとめられるような、素晴らしい言葉が見つけられず、ここまで雑な言葉になってしまった。大好きなバンドのメンバーに対してこんな言葉を選んで、本当に申し訳なくて顔をあげられないが、この言葉がわたしの気持ちに近い気がする。

つい先日、デジタル配信でシングル『Gravity』がリリースされた。うれしさも強くあったが、「発売されたし、ひとまず軽く聴いておこう」という、文字通り軽い気持ちで当日の昼頃に購入して再生した後、寝るまで繰り返し聴いていた。
「この人、なんなんだろう……」
また、この言葉が頭に浮かんだ。
初めの数回はラブソングに聴こえた。あとで映画の主題歌になっていたことを思い出した。それも理由かもしれない。BUMP OF CHICKENにほとんどないと思われるラブソングが今作られても素敵なんじゃないか……ぼんやり考えながらリピート再生していると、メンバーの姿や、BUMP OF CHICKENの音楽を求めてライブ会場にやってきた、たくさんのリスナーの姿が浮かんできた。「2番のサビはライブそのままじゃない」……。

BUMP OF CHICKENのライブには、2016年のスタジアムツアー『BFLY』から足を運んでいる。
藤原さんはライブで、今までライブを観に行った人たちと違う発言をした。初めて参加したBUMP OF CHICKENのライブが終わるときに、「風呂入って、あったかくして寝るんだよ、いいね」と言われ、正直言うと、ちょっと目が点になった。目が点になってから、笑顔になってしまった。藤原さんのこの思いやりの言葉。そんなことを言われるライブは過去に経験したことがなかった。
あるときは、「君たち……」と言った後、「君たちじゃない、君だ」と続けた。藤原さんの、自分たちの音楽をリスナーひとりひとりへ届けるという気持ちが伝わる。
また、別のライブの最後には「僕たちの音楽は、君が気づかなくても、必ず君の側にいます」と藤原さんはリスナーに強く伝えた。
このとき、『天体観測』が長い間わたしの側にいたことに気づいた。

『Gravity』を聴くと、藤原さんの低くあたたかい声と深い音が心に流れ込んでくる。BUMP OF CHICKENには、藤原さんの想いを汲んだ、増川さん、直井さん、升さんの演奏があり、それは『Gravity』も同じだ。打ち込みの音も心地よく重なっていき、次第に胸を押さえたくなる。いろいろ、思い出す。考える。
BUMP OF CHICKENの昔のことをわたしは詳しく知らない。でも、きっと彼らの想いは、メジャーデビューの頃から、もしかしたらそれより前から、ぶれていないのではないか。
愛車を運転しながら『Gravity』をずっと聴いていた。デジタル配信で歌詞カードがない。何度も何度も聴いて、歌詞の言葉について考えた。目の前の、夕日に薄く照らされ始めた雲を見ていると、藤原さんの『泣きそうになったよ』とやさしく歌う声がして、「泣きそうになったのはこっちだ」と心の中で返した。

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