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エクレアでも食べよう。

岡崎体育のエクレアを聴いて

岡崎体育。

今では聞き慣れた彼の名も、よく考えれば相当インパクトの強い名だ。
初めて彼を知ったのは小学6年生くらいの頃だっただろうか。MUSIC STATIONの次回予告に「岡崎体育」という名前が出たのをよく覚えている。
「オカザキタイイク?体育?スポーツマンかなんかなのかな?」と頭ははてなだらけになったものの調べることなどはせず、結局私は次回のMステを観るまで勝手に自分の中で「岡崎体育像」を創り上げていた。

そしてやってきた金曜8時。
「岡崎体育です。」と挨拶した彼は自分の岡崎体育像とかけ離れていて、画面を二度見したのをよく覚えている。たしか歌ったのは『Voice Of Heart』だっただろうか。最初は「へー、こんな曲歌う人なんだ。」と思っていたのも束の間、曲が2番に入ると不思議なことがテレビ画面上では起こり始めた。というかもはや歌ってすらいなかった。自分が何を見ているのかよくわからなくなり、小学生の自分にはキャパオーバーすぎる光景が目の前で起こっていた。私が抱いていた岡崎体育像はたった数分間のパフォーマンスでガラガラと崩れ落ちていき、よくわからないインパクトが頭に入ってきて終わった。

それから何年間かちょこちょこ彼をテレビで見てはいたものの、毎回クスッと笑い、「面白い人だな。」と思うだけで特に興味は持たず。
新しいMVを見ては「また変なことやってる笑」、ドラマに出る姿を見れば「この人演技もできるんだ、すごいな」と思い、私の中で岡崎体育は完全に「結構変わったアーティスト」となった。

しかし先日。再び「岡崎体育像」崩壊現象が起こった。
いつものごとくYouTubeを見ていると、おすすめ動画に「THE FIRST TAKE 岡崎体育」が出てきた。THE FIRST TAKEは大好きなチャンネルだ。チャンネル発足時から何度も衝撃と感動を与えられてきた。出ているアーティストはみんな歌唱力抜群で、一発取りならではのちょっとしたハプニングもあったりと、音楽的であり人間らしさも出る、そんな素敵な企画だ。

そんなTHE FIRST TAKEに岡崎体育。
失礼ながら「岡崎体育がTHE FIRST TAKE?大丈夫かな??」と内心思っていた。
(今考えればめちゃくちゃ余計なお世話だ。)

興味はあったので、とりあえず動画を見始めた。

一曲目は『YES』。
パソコンから流れる音源に合わせてリズムを取り、歌い始めようと息を吸ったと思いきや、まさかの歌わずにカメラに目線を向けてくるスタイル。
想定外の展開に笑い「次こそは歌うだろう」と思ったものの、歌わず。
何回このやり取りが自分の中で起こっただろうか。
結局彼は一曲のなかで一言、「YES!」としか言わなかった。

さすが、としか言いようがない。
THE FIRST TAKEという場でも岡崎体育は我を通し、岡崎体育節を炸裂していた。

そして2曲目。『エクレア』
次はどんなサプライズが用意してあるのだろうと、プレゼントを開ける前のワクワクに似た気持ちを抱いて待っていた。

「岡崎体育です。次に歌う歌はエクレアという曲で〜」
とMCをしていると途中でギターの前奏が勝手に始まり、これには彼も
「あっ、自分のタイミングで始めさせてもらえないんですね。」と一言。
12分40秒の動画の隅々までに散りばめられた岡崎体育エッセンスに感心した。

しかし私が衝撃を受けたのはここからだった。
彼が歌い始めた瞬間、場の空気が一変した。

「どうしようもない夜はこっそり缶ビールあけよう
 グビグビ飲めるわけじゃないけど 時間をかけて」

今まで見てきた岡崎体育が何だったのかわからなくなるほど、ひたむきで温かく、熱い思いの込もった歌いだしに戸惑った。

「いい曲はいい人と共に いい曲はいい人と共に
 いい曲といい歌はいい人といい場所で
 いい曲はいい人と共に」

ストレートすぎるその歌詞に自分の感情をぐちゃぐちゃにされた。
「いい曲はいい人と共に」
この一文にどれだけの気持ちが詰まっているのだろう。
当たり前のようで、当たり前じゃない。
当たり前だと思われすぎて誰も言ってこなかったこの一文にハッとさせられる。

「友達ん家のガンプラってなんかちょっとカッコ良く見える
 それとおんなじさ 人のものはなんでも良く見える
 魂を込めれば 魂を込めれば ちょっとくらいはカッコ良く見える」

人が抱きたくなくても抱いてしまう嫉妬や妬み、
人と比べたくなくても自然と比べてしまい感じる劣等感。
隣の芝生は青いように、人はいつも自分の持っていないものに羨ましがり、
ないものねだりをしてしまう。

だけどこの曲はそんな私達に
「持っていないものを妬んでも仕方がないのだから、今あるものに魂を込めよう。
そうしたらちょっとはカッコよく見えるだろう。」
そう語りかけてくれているような気がした。

日常の小さな出来事や感情に目を向けた歌詞はスッと自分の中に入ってきて、
抱えきれない日々の悩みや想いを吹き飛ばしてくれた。

「今日はおやすみ 明日考えよう」

と心に余裕を持たしてくれる。

『エクレア』は私の中の岡崎体育像を再び崩壊させた。
一体彼の真髄はどこにあるのだろう。
そう思いながら今日も私達は小さな幸せを噛み締めながら日常を生きている。

それはまるでエクレアを食べて感じる小さな幸せのように。

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