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2017年10月6日

海 (20歳)
74
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私がaikoを選ぶのは

「可愛い」に隠れて生々しい、唯一無二の彼女の歌

恋愛のことを歌う女性歌手なんて数えられないほど居るにもかかわらず、なぜaikoが私にとって特別な存在なのだろう。

その答えは、aikoの曲が作り出す、絶妙な「生々しさ」にあるのだと思う。

aikoの曲の世界には、とてもリアルな、私的な感情が渦巻いていて、それが聴く人の胸に強く刺さってくる。時には「自分は今こんな感情を持っていたんだ」と切なく気づかせてくれるし、またある時には「この気持ちになれて幸せだ」と感じながら、曲に耳を傾けることができる。恋をした時にaikoを聴きたくなる人も、きっと大勢いるだろう。

こんなに歌と一体になれるのは、aikoが決して一般論に擦り寄った想像で歌を作ることが無く、自分が経験した気持ちを大切に、正直に表現してくれているからなのだと思う。aikoの内だけに留まっていた感情を解放することで、結果的に、私達の中にただ存在している、普遍的な気持ちにもスポットが当たるようになるのだ。相手に触りたいと思う下心も、別れても好きだという未練がましい気持ちも、aikoのおかげで愛せるものになる。

そしてaikoがさらに凄いのは、これが女性だけに当てはまる事ではなく、男性も同じということだ。aikoのライブに行けば感じるが、aikoのファン層は大変広く、恋愛を歌う女性歌手には珍しいことに男性も多い。カップルでライブを楽しんでいる姿もよく目にする。

性別で一概には言えないけれど、男女の価値観はなかなか合わないものだというし、ましてや恋愛観なんて、合ってすんなり上手くいく方が奇跡だ。大概は、お互いの考えを許し合って、妥協も重ねて進んでいくものだと思う。なら、なぜ女性であるaikoが生み出す歌詞が、女性だけでなく多くの男性に支持されるのか。

それは、やっぱり、aikoの描く世界がとても本能的で人間くさいからだと思う。aikoの中に生まれる生々しい感情と、それを痛いほど繊細に表現する歌の中の人物の仕草が、性別なんて関係なく、ただの人間として誰かのことを想う時の正直な感情の動きを、私達に見せてくれるのだ。

“明日もいつも通りに”という曲の中に、こんな歌詞がある。

《だけど一生思うだろう/本当は大好きなの/キスする感覚を忘れても/指の間絡ませて繋いでたこの手が/大人な握手に変わっても》

aikoの曲は歌詞一言一言に目を向けても素晴らしいけれど、一曲全体に広がっている「世界」として、聴く人達はいつの間にかその中にどっぷり浸かってしまうものだ。だから、実際にこの上のような歌詞に忠実な経験が無かったとしても、もし自分が、誰か手の届かない相手を想う気持ちを心の中に隠していたなら、それはその世界の中ではっきりとみつけられてしまう。aikoの曲を聴いていて共感できる理由は、「現実的な動作や感情が自分に当てはまる」というリアルよりもさらに上の、「自分の中の生々しい想いをえぐり出して、リアルをぶつけてくれる」ということなのだと思う。

ポップな曲調の中に潜む愛らしい毒や、可愛い声にのって伝わってくる恋の苦しさ。aikoが歌う恋愛ソングは聴くほどにその生々しさを増していき、私達の中で、鮮やかな世界を作ってくれる。

だから私はaikoの書く恋愛ソングが一番好きだ。

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