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第3回 入賞 | 2017年2月27日

ゆずかへ (18歳)

私のロックスター

 [Alexandros]というバンドは身勝手だ、ワガママだ。
乱暴だし、飼い馴らせないような音楽を作る。
正直に言えば彼らの音楽性に統一性はない、
なのに彼らの楽曲全てを”彼ら以外の誰のものでもない音楽”
と感じるのはなぜか。
何故こんなにも愛おしいのだろう。

 このバンドに出会ったのは中学二年生の時だった。私の何もない日常に、ダイナマイトを投げつけられたような感覚だった。
衝撃だった。
ただただ惹かれたし、胸が高鳴った。
こんなに素晴らしい音楽を知らなかったという後悔ばかりが頭の中を巡った。
同時にこれから彼らの作る音楽の、夢の先までついていってやろうと強く思った。
 

 当時の私はツイッターなどのSNSを利用していなかった。彼らの情報を手に入れることの難しい環境にいた。だから地元のCD屋さんにあるフリーペーパーを片っ端から集め、ROCKIN’ON JAPANをはじめとした音楽雑誌を読みまくった。
家のパソコンもあまり使えなかったため、学校の授業中にこっそり公式サイトを何度覗いたことだろう! 自由にパソコンを使っていいという先生の許可をもらえた時は、ヘッドホンを使い、かじりつくように彼らの動画を見た。
初の武道館ライブでは私の大好きな曲を演奏してくれたことが嬉しかった。その場にはいられなかったが、擦り切れるほどそのDVDを見た。その時にボーカルの川上洋平さんが使用した黄色いレスポールに憧れた。高校で同じ物を購入しバンド活動を行なったことは言うまででもない。私もロックスターになってやるんだと、そんな強い意志で下手くそなギターを鳴らした。弾き方や立ち振る舞いを真似した。技術もないくせに、気持ちだけは他の人に負けたくない一心だった。

 私は、彼らに追いつきたい一心で必死にもがいていた。例えて言うなら、日本にThe Beatlesがやってきて老若男女が歓喜していたものと同じだろう。彼らのことを考えただけで胸が高鳴るし、曲を流せば狂ったように踊る。発言一つに対しても、黄色い声で叫ばざるを得ない。それは私にとって彼らは憧れであり、ロックスターだからである。
 

 そんな大好きな彼らが2016年、多くのメディアに取り上げられたことを心から嬉しく思う。アルバム『EXIST!』がオリコンランキング1位になったことも本当に嬉しかった。やっとこのバンドの良さに世間が追いついたかと、勝手ながら自分の鼻を高くしてしまった。相変わらずではあるが、ワンマンライブのチケットの人気は高く、今回のツアーも競争に負けてしまった。まだまだ彼らの勇姿を拝める日は遠いらしい。悔しいが、仕方ないとしか言えない。だから私はまだまだ死ねないし、彼らにもずっとずっと音楽を続けてほしい。目標の先の夢を見させてほしい。
彼らは私が出会うずっと昔から、「世界一になる」と公言し続けている。その一歩として確実にもっと前に進んだこと、そんな彼らの今をファンとして応援できていることが一番の幸せなのである。
 

《オンリーワンじゃクソ食らえだ /ナンバーワンが良い》(“You’re So Sweet & I Love You”)

「誰でもない自分になりなさい」
学校の先生や、ある歌は言う。
この言葉は相手を思いやった発言なのかもしれないが、否定されているようにも感じる。
一番になりたい、他人よりも優れたいと思うことは恥ずかしいことだと言われている気がするからだ。それなのに運動会も学力成績も全部順位付けする。何が正しいか分からなくなる。しかし他人と競うことを、比べることを恐れたらこの世界はいつまでも狭いままで暗いままだ。他者を知ってこそ、己を知るのだ。時には否定され罵られても、這い上がることが人を成長させるのだ。
彼らのシンプルかつ大胆な「世界一」という目標は、私をそんなふうな考えにさせた。ぬるま湯に浸かってた私は喝を入れられたようだった。人間としての在り方、考え方が変化したのだ。

 彼らの音楽は、決してファンに対しても優しくない。「私は私、貴方は貴方。」という隔たりを感じる。彼らは私たちがどんなに辛い時でも、優しさで語りかけてこない。辛いなら泣いていいんだよなんて言わない。むしろ鞭を打たれるし、ここまで這い上がってこいよと煽られているようなのだ。

《「おう、聴いてくれてありがとな。でもこの歌を聴き終わってイヤホン外したらもうあとはお前の番だ。この曲は何にも助けてくれないぞ。」/川上洋平オフィシャルブログより》

 彼らの音楽は私たちを助けてはくれない、優しさや温かさを投げかけてはくれない。しかし確実に勇気を踏み出す一歩の力をくれるのだ。
 彼らは「世界一」というものを夢として見ていない、叶えられる現実として向き合っている。その姿を見せられるほど、私も彼らに負けないように生きてやろう、素晴らしい生き様を見せてやろうと思わされるのである。
 

 彼らは私のロックスターだ、
何にも変えられない心の一部だ。
好きという気持ちは言葉にしたくても、上手く伝えられない。言葉が気持ちについてこない。理由とは所詮目的のために付け足して作ったものだから、そんなものはクソ食らえだ。ここに彼らの音楽と、私の気持ちさえあればいつだって無敵なのだ、最強なのだ。

 油断をするとすぐに見失ってしまう、
常に全力で走り続けなければ彼らには追いつけない。彼らの”今”を知りたい、いつだって”今”についていきたい。
いつだって彼らは私のロックスターだから。

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