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2017年10月13日

にわか嬢 (19歳)
45
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

『花火みたいになれたなら』

忘れらんねえよに出会えてよかった。

たぶん、このバンドに出会ってなければ、きっと私は一生を終えていた。
そう思えるバンドがある。
それは本当に、最近のことだ。
 
 
 

2017年1月。
恋人からあるバンドを紹介された。
名前は『忘れらんねえよ』。
マイナビバイトのCMソングならば、多くの人が聞いたことがあると思う。
しかし、私が忘れにはまったきっかけの曲はそれではない。
 

『外野なんか空気でしかないだろ 周りのやつとかどうでもいいだろ』
(世界であんたはいちばん綺麗だ)
 

まっすぐすぎる歌詞で始まるこの曲が、電話越しで流れた。
周りからの評価を気にしすぎていた私に、「この曲が一番聞かせたくて」と彼が言った。
 

『大丈夫だよ 心配すんなよ』(同上)
 

私が欲しかった言葉を、忘れはなんのことなく送ってくれたのだ。
その言葉がまっすぐ、そしてしっかりと、私の心をつかんで離さなかった。
がけっぷちにいた私を、助けてくれたのだ。
それが、『忘れらんねえよ』、そして邦ロックとの出会いだった。
 
 

2017年4月2日。
忘れらんねえよ 日比谷野外音楽堂 ワンマン公演
それが私の、人生で最初のライブだった。
(楽しみすぎて、髪も染め、服も新調し、物販の待機列には2番目に並んでました笑)

運命ともいうべきか、それは私にとっても、忘れにとっても、ターニングポイントだったのだ。
この公演は各所で「忘れらんねえよの第2章の始まり」と言われた。
今思えば、この時から忘れは確実に変化していた。

初めてのライブが、人生を変えないわけがなかった。

大きな会場。3000人のキャパシティ。
当日券ではあるがそれをSOLD OUTさせるほどの実力と人気。
私はどうしていままでこんなに素敵で大きなバンドを知らずに生きてきたのだろうか。
そう思わざるを得ないほどの景色だった。
大迫力のサウンド。
圧巻のライブパフォーマンス。
3000人の一体感。
オーディエンスの、感情溢れんばかりの顔つき。
それらは、今でも忘れられない。
 

UNIVERSAL MUSICにレーベル異動してからの忘れは、確かに変わった。
それまでは、「あのバンドが『Mステ』に出てて悔しい」だけで1曲書けたり、男の情けない部分を前面に出して、汗臭くて残念な男性像が強い曲が多かった。

が、『いいひとどまり』は、違った。

『愛すること 信じぬくこと 馬鹿にされても揺るがないこと』(いいひとどまり)

一言でいえば、綺麗なのだ。
歌詞、メロディ、そして言葉から浮かぶ情景が。
自然と心に響き、涙を流してしまう、新しい曲。
聞き終えた後には、「少しだけがんばろう」と一歩前に進めるのだ。

確かにそれは今まで柴田(Gt./Vo.)が否定してきた曰く「がんばれ応援ソング」の部類になる。
本人も、この曲を発表するにあたっては、かなり怖がっていたようだ。

でもそこにも、やはり「忘れらしさ」があった。
 

『憧れる 憧れるよ/僕はなんにも持ってないから』(同上)
 

この曲でも、やはり主人公は、ダメ男なわけだ。
MVを見てもらえばわかると思うが、好きな人にもアプローチできず、クラスのデキるやつに取られてしまったり、日常でも失敗ばかり、小学生にも笑われる始末。
 

『振り向かれない 大事にされない
気持ち込めてもまるで届かない』(同上)
 

あまりにもつらすぎるそれは、確かに自分と重なるところがあった。

それこそが、忘れの一番のポイントだと思う。
柴田本人も「ここにいるやつ、みんな俺にそっくりだよ。顔も似てる!(笑)」と言うくらい、
忘れの曲には、自分との共通点が見つけやすいのだ。
 
 

それが顕著に表れているのが、先月発売の、2年ぶりのフルアルバム『僕にできることはないかな』だ。
新曲8曲、アレンジ1曲を堂々と世に送った。
 

『夜が明けたらまた笑わなきゃ』(喝采)

『何かを探していたはずだったのに 今は逃げるようにして歩いてる』(東京)

『そんな自分自身が何より嫌いだ』(氏ね氏ね氏ね)
 

自己否定。
そんな言葉が浮かぶ。
実際、このアルバムタイトルも「僕にできることなんか、1つもないんだ」っていう気持ちも含まれていて。
いいひとどまりの『僕がそばにいるよ』も「俺なんかがいても」という否定もそうだ。

だけど、それじゃ終わらないのが、忘れらんねえよだ。
 

『喝采を送りたい よくやったと言いたい/それさえあれば僕らはもう一度立ち上がれる』(喝采)

『何かを見つけるまで歩いていくよ』(東京)

『うそうそうそ うそうそ ごめんね』(氏ね氏ね氏ね)
 

ただの鬱ソングじゃない。ちゃんと前を見ているのだ。
それこそが今の忘れらんねえよであり、柴田の今なのではないだろうか。
その前向きさに、「自分も後に続こう」と立ち上がれる人は多いはず。

さらには、曲調も変わった。
それまでは、それこそ柴田の大好きなパンクサウンドが多く見受けられたが、
今回は打って変わって、優しいのだ。
これには、梅津(Ba.)の助言があり、これまた大好きなMr.childrenやエレファントカシマシと同じ分類の曲調に挑戦したのだそう。
「柴ちゃんは、本当はそっちの方が得意な気がするんだけど」と。
二人の関係性が見える一言だ。
 

このアルバムの中で私個人が最も好きな曲が、リード曲『花火』だ。
確かにこの曲も「輝きたい」という思いのこもった曲だ。
しかし、それは「誰かのために」という思いの強いものだと思った。

柴田のコメントでは「僕が歌をうたう理由。人生で一番大きなそのテーマを歌にしました。
今なら、それに向き合って、ちゃんと表現できる気がしたから」とある。
 

『一瞬で消えていい 遠くにいても気付けるくらいの花火になれたら』(花火)
 

大きな音を立てて、パッっと夜空に咲く花火。
それは確かに遠くからでも見える。音も聞こえる。
それが、誰かの目印になる。勇気を与える。
もしそうなら自分もだれかの「花火」でありたい、と思うのは、柴田自身が本当に強い人間だからだと、私は思った。
でなければ、輝く勇気も消える勇気もないだろうから。
 

『花火みたいになれたなら』(同上)
 

このタイトルにした理由もそうだ。
この曲を聴いて、私がそう思えたからだ。
花火になることは、強くなって誰かを助ける、ということだと解釈したから。
私も、そんな人間でいたいと、強く思ったから。
輝けるようなものは何もないけど、私にできることは何もないけど、
それでも、誰かのそばにいて誰かの助けになりたい。

そしていつか、その一瞬だけ、輝いてみたい。
 
 

柴田がTV番組に出演した際に、自分たちの音楽は「心の処方箋」だといった。
その通りだと思う。
まっすぐに届いて、チクチクしたり、ぎゅーっと苦しい心を、やさしく治してくれる。
このアルバムもシングルも、誰かの心の傷に、今も届いているのだろう。
 

ほかにもたくさん書きたいことはあるが、それは是非、これを読んでいるあなたに、『忘れらんねえよ』のこれまでとこれからを、先入観なく感じてもらいたいため書かないでおこうと思う。
 

≪ロックバンドとかパンクバンドやってる人間は、
言いたいことを言うのが仕事なんだけど、
言った後は無防備の素っ裸みたいな気持ちになって、
かけられる全ての言葉が超怖くて超腹立って超嬉しくて

生きてるって感じがする≫
(2017/10/11 22:46 Twitter@wasureranneyo)
 
 

まずは聞いてみて欲しい。
そして、情けないところも、汚いところもさらけ出した第1章と、
それでも誰かを応援する、一緒に進む、勇気を出して決意する第2章を、
知ってほしい。
そして、めいっぱい今あなたが感じている、その感情に浸ってほしい。
その複雑な感情は、きっとあなたを強く、優しくするから。

泣いた後は、きっと一歩前に進めるはずだから。
笑った顔は、きっとだれよりも美しいから。
 
 

≪怖いけど間違ってるとは1ミリも思わないな。たぶんわかるでしょ、聴けば≫
(ROCKIN’ON JAPAN JULY 2017 VOL.485より)
 

この10か月、私は忘れと共に過ごしてきた。
毎日忘れの音楽を聴き、イベントがあればできる範囲で行き、
親からライブ禁止を食らうほど通い、
聞けば聞くほど大好きになった。
手紙も送った。
そして今、こうしてこれを書いている。
前の私なら、きっとこんなことはできなかった。
それもすべて、忘れが変えてくれたのだ。

私は、酒田(旧Dr.)のいた時代を知らない。
第2章からの忘れしか知らない。
だからこそ、知らないことがあるからこそ、
もっと知りたい、もっと会いたい、そう思えるのだと思う。

忘れらんねえよが大好きで、ばかになってよかったと思う。
これからも、最後の一人になるまで追いかけ続けるし、知らなかった去年までの分も、もっともっと愛していきたい。
 

最後に。

『忘れらんねえよ』に出会わせてくれた恋人に、
邦ロック好きの仲間に、
これを読んでくれている方に、
このサイトにかかわっているすべてに方に、
そしてなにより『忘れらんねえよ』の2人と関わるすべての方に。
感謝の言葉を送ります。
サンキューセックス!!!!!!

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