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2017年10月16日

おみそしる (23歳)
82
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扉開けたその先で

sumikaと磔磔の夜

『2016年は大阪に24回行けました!』
 

その回数を見聞きする度に、2016年は確かに神奈川県出身の彼らが関西との絆を築き上げに、関西にたくさん足を運んだ年だったのだと感じられた。
 

2017年10月13日、京都のライブハウス磔磔。

開演時間の19時となり、照明が暗くなりSEが流れる。
さぁ、sumikaの奏でる”魔法の時間”の始まりだ。
 

指揮を振るような動きをした、ボーカル片岡健太の合図で1曲目が始まる。その合図と同時に演奏を始めるsumikaと共に歌うオーディエンス。
1曲目からオーディエンスと一体感を作り上げるsumikaは本当に魔法使いのようだ。
 

序盤からアップテンポな曲が続いた後、MCで片岡健太が語ったことに、関西出身の私は度肝を抜かれた。
 

『僕たちsumikaは神奈川県から来たんですけど、実はこの京都磔磔への応募数は僕たちのホームである神奈川の横浜FADの公演よりも多かったんです。』

『だから今日はここが僕たちのホームだと思って歌います。』
 

横浜FAD公演は3連休の最終日。しかし京都磔磔公演は平日だ。にもかかわらず応募数が殺到したのだ。
 

『画面越しではなく、実際に足を運んで顔を合わせることに理由がある。』

ボーカル片岡健太がよく口にする言葉だ。

やはりsumikaとそのオーディエンスが築き上げてきた関西での絆は確かなものだった。そんな公演に参戦できた私は既に幸せに包まれていた。
 
 

──────────

魔法のような時間はあっという間に過ぎてゆくもので、気づけば最後の曲をやるであろう時間に。
 

そこで片岡健太はまた語り出す。
 

『小学校の時の校長先生はよく「君たちの可能性は無限大だ。」と言っていた。でも僕は子どもながらそれを胡散臭いと思っていた。』

『子どもながらもこの人には才能があるだとか自分との差が分かるじゃん。でも子どもの頃に可能性は無限大だと言われてたやつはどんどん選択肢を狭まれていった。』

『人生ではたくさんの選択を迫られる。学校の卒業式とライブが被って、ライブを取ったら親は泣いた。ばあちゃんが死んだ時とライブが被って、ライブを取ったら、初めて親父が泣いているところを見た。大切な人に音楽と私どちらが大切なの。と聞かれて音楽を取って泣かせた。』

『でも俺は音楽を取ったことを後悔していない。音楽を辞めずに続けて良かったと思っている。別に音楽中毒にならなくても良い。音楽は必要な時、後押ししてもらいたい時に聴いて、その時に力になれば良いと思う。』

『つらい選択を迫られる時もある。でもその時に目を閉じてsumikaの音楽が聞こえてきたら、みんなを、いやもうみんなとは言わない。あなたを後押しできるような歌を俺らは歌います。』

『失敗ばかりしてきた俺らだから。あなたの辛い気持ちも分かることができるんです。だからドアを開けていってらっしゃい、と言ってあげられると思うんです。』
 
 

私は既にこのMCで泣いていた。
曲もまだ始まっていないのに。
でも周りを見るとたくさんの人が泣いていた。

心なしか、片岡さんも鼻をすすって目を潤ませていた。
 
 
 

時刻は21時。磔磔の外に出ると、少し肌寒い京都の夜はもう夏へ振り向くことなく秋から冬へ歩き出しているようだった。

私だってそうだ。心の充電は満タンだ。
もう振り向くことなく前を向いて歩き出せる。
そんな勇気をsumikaにもらった京都の夜だった。
 
 
 

振り向いたら 負けな気して
足跡見物我慢し
扉開けた その先で 水たまりを見れば
理想の自分だろう (Door)───

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