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2017年10月16日

雨が降っても槍が降っても好きな音楽と共に (21歳)
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sumikaの空間

いつでも帰ってこれる、そんな住処と家族に出会った話。

動画サイトに挙げられていた1曲のMV
正装の装いに、外の日の光に照らされてキラキラと光るシャンパンを片手にパーティムードのエキストラ。
そんな幸せな空間の中で奏でられる音楽は
振り回されながらも一生愛し抜くと誓う恋愛ソング
「Lovers」である。
(この段階で私がsumikaの音楽に出会ったのが最近であることは明確だが、正確な時期の説明は省かせていただくことにしよう。)
幸せそうに奏でられる音楽の中に含まれる多彩な音に私は惹き込まれた。
すぐさま、他の曲を、媒体を、調べた。
そこに広がっていたのは、単なる幸せな空間ではなく、
感情に溢れ、音に溢れた、温かい一軒家。
私はその空間に触れた時、ワクワクとも、ドキドキとも違う何か心地いいものを実感した、それが私とsumikaとの出会いだ。
その出会いから一転し、私は一曲に込められる感情に深く触れたいと、そして空間に感じた心地いいものの正体を知りたくなった。
たくさんの曲がある中で、現在行われているツアーでも関係の深い
彼ら全員の初となる1stフルアルバム『Familia』を紐解いていきたい。

1.Answer
個人的に、1曲目にしてこのタイトルは攻めたなぁと感じた。
しかし、聴いてみればそれも納得。
1:30と短い曲の中で、心の中の思いを全て歌と詩で表現するという、今から見せられるものの決意表明とも捉えられる詩と音にはやくもグッとくる。
疾走感のある軽快で多彩な音楽が序章のワクワクとドキドキを助長しているように感じていると、次の

2.春風 に進む。
一転してイントロから颯爽と風が駆け抜けて行くようなギターに耳を澄ましてしまう。
一行目。「ねえねえ、朝よ。もう起きて」この一文でこの曲には2人いるのだと知る、日常があると知る。どの詩にも言えることであるが、作詞を手がけている片岡氏(Vo.&Gt.)は素人目からしても1行目の表現がとても長けているように思う。

3.Lovers
これは冒頭でも少し述べたが、多幸感に溢れる音が、幸せを誓いたい男の思いを前向きに見せていて、ピアノの音を効かせつつもsumikaになれることを一瞬にして証明した曲でなかろうか。それだけではなく、コーラスワークの効かせ方が、多幸感に結びつき1人だけで伝えているわけではないsumika全体でメッセージを届けられていることを強調しているようにも理解できる。
また、曲調と歌詞との感じ方が何度も聞くと変化するのも魅力の曲ではないかと考えている。主観にはなるが、曲調に魅せられ、歌詞を取り込んで行くと想像以上の人間味にまた魅せられた。

4.KOKYU
異常なまでの中毒性。正直これを聴いた時にはすんなり入ってくる前に衝撃を受けた。
音楽性がないとできない一曲だ、同じフレーズを飽きさせずに奏でる。聴き手にも乗っかっていける余地を作り出す音の空間。

5.Someday
一気にまわりの世界のテンポが落ちる。
真昼間のテレビジョン、手回しで挽くコーヒーの描写がより一層情景を具体的にしている。
どうにかしようともがく様はなく、勝算のない想いを挽いた苦いコーヒーとともに午後に持ち込むような、10代の頃には知り得なかった大人の恋事情。

6.アネモネ
イントロの少ない音と片岡氏の声から、一気に音が増える瞬間でこの曲が前を向いていることを悟る。愛した人を「アネモネ」と表現することで美しく、そして勝手に綺麗になっていってしまう距離感も表現されているように思う。そしてアネモネはとてもカラフルな花を咲かす、自分が咲かせたいと願う心と、水だけじゃなく太陽になれるようにと無条件な愛も欲しいと願う愛の大きさを知る。
花言葉は「はかない恋」「恋の苦しみ」「君を愛す」「真実」であり、いつかは。と君に恋している様が真実味を増していく。

7.ここから見える景色
テンポ感と音の優しさが、焦らず歩いている様を表現していて、温かくも幸せな音楽がここにある。
この曲にも言葉のマジックが散りばめられている。
『惚れた腫れたのはとうに過ぎたが 「離れたくないや」がきっと近かった』『幸せとは?考えた時分母が増えていた事に気付く1/1から2/2つまり今の僕は1/2』明確な年月は記されていなくとも、今までの長い月日を超えて、自分の人生には2人がいいと共にいたいと主張し、
『僕じゃないものの幸せも』君と一緒に愛していくと君といる日常への温かくも優しい決意で締めくくられているのがとても心地よく、大切な人を思い出させる。

8.ピカソからの宅急便
ここまで、歌詞や込められた思いについて重きを置いてきたが、ここで、音だけでここまで表現できるのかというほど世界が広がる。
草木は生い茂り、夜には宴が始まり、街を歩くと笑顔と挨拶が飛び交うような空間。
これを序盤ではなく真ん中へ入れてきたことが第2章を予感させてワクワクとドキドキがリセットされる。
次のステージのためにカラフルなステージを用意しているようなそんな感覚でこの曲を聴いていく。

9.MAGIC
新しく設置されたステージには、また、音楽の魔法がかかる。
ピストルと剣を持つ戦士の気分、この音楽を両耳に纏えば最強なのである。つらい現実が待っていてもここにいる間だけは魔法にかかったように本能のままに。
この曲を聴いた後は、心がすっきりして、足取りが軽くなる。働きたくないなぁなんて思うような時代だからこそ生きる音楽で、同じ時代を生きているバンドだからこその説得力なのだとも実感する。

10.アイデンティティ
この曲も、イントロと、歌詞の1行目で世界観が入ってくる。
ギターが入るタイミングで足を蹴って進み出した。「タントンと響いた」駆け出しているリズム感が聴き手にも同調する。
しかし、特別ではない、うまくいかなくて笑われて、世の中でもがいている。1人でも走りぬくんだとしたところから仲間が増える、ここでのバスドラムの音が力強く、貫けばそこは逆に1人じゃないんだと教えられるみたいに。sumikaが唄う自己は、孤独ではなく共鳴、共存を呼ぶ。

11.Summer Vacation
生温い風が吹く夏の夜。ベースラインが心地よい風のように皮膚を撫でる。
キーボードから奏でられる輪郭のぼんやりした音が時が遅くなったように思いふける隙を与える。
個人的な解釈だが、「夏」といえば焦がれるような熱い想いを思い描くが、生温さが胸のどこかに潜むリアルな感情を刺激する。
温いアイスティーの表現が、会いたい気持ちは昼の陽だまりに落としたフリしてと夜が始まる寂しさを修飾するように描かれていて、いとしさだけでは終わらない夏の恋に惹き込まれる。

12.まいった
sumikaの中でここまでのローテンポの曲は初めてだ。
音が多彩だ、と上で述べているが、多彩な音を鳴らすことのできる人たちが奏でる研ぎ澄まされた音、という感じがしている。少ない音とこのテンポ感だからこそ1つ1つ音が繊細かつ重みを増して身体中の血液に染み渡っていくような感覚に陥る。
イントロの、ギターから始まって、キーボードとベースが同じタイミングで入るあの瞬間にスイッチが切り替わりドラムの音で時間が進み始める。
この曲に限らないが、こだわったと言うだけあって、片岡氏は「」の使い方が抜群である。思わずポロっと口に出してしまう本音にまいったの感情が重なって空を仰ぎたくなる。歌詞カードを見ながら聴くと、解釈がまた変わって良い。
アウトロのギターが白い息と共に宙に浮いた言葉が薄くなっていくように夜の空に消えていくようだ。

13.「伝言歌」
前身バンド時代からある曲の1つ。
片岡氏が学生時代に友人が想いを伝えられるようにと手がけた曲という背景を知るとより真っ直ぐさがこちらにも、伝わってくる。
具体的な相手の仕草、癖、容姿を歌い、この大切な人がいる日常がもうすぐ終わってしまうんだとした時に、ただただこの想いを伝えたいとしたこの歌に刺さるものがあるのは、今側にいる大切な人に伝えられていないことがたくさんあるからだろうと自分に問いかけさせられる。
フロアでステージから伝えられる思いが熱く優しく、こちらからも全てを伝えたいとぶつかる瞬間は届いた感動と伝えさせてくれた感謝とで胸がいっぱいになる。
曲もsumikaも真っ直ぐに、伝えてきてくれる、そんな曲。

14.Door
最後の曲とするには彼ららしい。この居場所から外へ出てまた歩いていく、未来へ向かっていく、そんな曲だ。
止まっている聴き手に歩くリズムをくれる曲。
扉をノックしての時にピアノでノックのような音の表現があるのも細かいが心地よく足を踏み出せそうな気になる。
この詩で、雨風吹かせているが最後には、「水たまりを見れば理想の自分だろう」と雨が上がる。そして、太陽の光で映った自分は理想の自分になれていると扉を開けて外に出たからこそわかる、
また歩き出せそうな気分になる、そうしてアルバムが終わっていく。

アルバムを一通り自分の中に取り入れると、感情に溢れていて、その表出の仕方が多彩な音ともにいろんな角度から散りばめられる。
いつでも帰ってこれる場所と表現したのは、
片岡氏の言葉を借りているのだが、ステージで彼はこんなことをフロアの私たちに投げかけてくれる
「辛い時しんどい時、いつでも帰ってこられるように扉は全開にしておきます。心置き無くいってらっしゃい。」と。sumikaの曲を聴いた時に感じた心地よさの正体に腑に落ちた。辛い中どれだけ笑顔で振りまいて威厳を保っていても、玄関をくぐると押し寄せる感情や安心する涙が、sumikaが作り出すステージや音楽にはある。
sumikaは留まらせないのだ。私たちは、私たちの人生を歩めば良い、でも帰ってきたい時にはいつでも帰っておいで、と。温かいご飯や布団で寝る心地よさ、その力が音楽にあると知った。
彼らが好きな音楽を思いっきり楽しんでする答えが聴き手の感じているこの感情ならば、私はこれからも共に過ごす空間を暖かく人間味のある家であるように、たくさんのことを外で体感して、なるべく多くこの家に帰ってきて家族と笑い合いたいと思う。

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