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2017年2月28日

たなかあみ (17歳)
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sumikaの魔法

彼らの音楽に隠された素敵な音の魔法とは

みなさんは“魔法”というものを信じるだろうか?音楽の魔法、言葉の魔法。日常生活の中で“魔法”という言葉はよく耳にする。魔法という言葉に現実味があるかないかはさておき、「とりあえず魔法ってつけとけば素敵に聞こえるだろう」という浅はかな考えから、最近魔法という言葉が、根拠もなく使われることが多くなってきたように思われる。以前の私はそんなものを信じていたわけもなく、音や言葉はただのツールでしかなく、それ以上でも以下でもないと思っていた。
しかし、私は2年前の秋の日、sumikaとの出会いで音楽の魔法というものを思いがけず、知ることとなったのだ。

 中学三年の秋だった。その日はたまたま、家から少し離れた難波のタワーレコードに、一人で来ていた。これまで聴いていた音楽とは違った何か新しい音楽を求め、ふと邦ロックのコーナーに立ち寄ってみると、黄緑の芝生の上に、白いお家がのっているジャケットのCDが目に留まった。sumika|IcoYと書かれたそのCDの、ジャケットの可愛さに目を惹かれ、視聴機に手をのばした。そして、再生ボタンを押したその瞬間、私は彼らの魔法にかかったのだ。まるで全身に雷が落ちたみたいだった。何かを聴いただけで、こんなにワクワクして興奮が止まらないのは初めてだった。「これだ。このバンドだ。」私は何かを確信した。1曲目に収録されていた「ソーダ」は1音目から最後まで、爽やかでポップで、なのにどこか切ない歌詞で、すごく綺麗だと思った。聴き終わって、ヘッドホンを耳から外し、難波店のイベントスペースにいくと、今後のライブ予定が書かれていた。そこには、丁度1週間後、sumikaがここでインストアライブをするという貼り紙が貼られていた。私は即決で「絶対行く。」と決意した。
 1週間後、私はお母さんと一緒に、再び難波店を訪れた。しかし、1週間前の私はフラッとCDショップに立ち寄るだけの予定だったので、CDを買うお金を持ち合わせておらず、sumikaのCDを買えずに帰ってしまった。だから、このインストアライブに参加した時の私は、sumikaの事を何も知らない状態だった。「ソーダ」を一回聴いただけ。sumikaというバンドがどんなバンドで、何人メンバーがいて、どんな人が歌を歌っているのか、全く何も知らなかった。何も知らなかったけど、「このバンドは絶対いいバンドだ。」という確信と、sumikaへの多大なる期待感だけは持ち合わせていた。
 初めて見るsumikaのライブはそれはそれはワクワクするものだった。アコースティック形態のライブを見るのも初めてだったし、なにより、お客さんとの距離が近いことに驚いた。優先観覧エリアではなく、フリー観覧のエリアにいた私でも彼らとの距離がすごく近く、楽器の音や声がすごく近くで響いていたことを今でも鮮明に覚えている。そして、ライブを見て、sumikaに感激されたのは私だけではなかった。横で見ていたお母さんもまた、sumikaの魅力に取りつかれていた。もちろん、お母さんも、私が「どうしても難波に行きたい。」と言って、ついてきてもらっただけなのでその時はsumikaの事をなにも知らなかった。しかし、お母さんも初めて見たsumikaの音楽に一瞬で聴き惚れてしまったのだ。(今では私と一緒にライブに行ったり、通勤中にsumikaを聴いていくほど大のsumika好きになった。)
ライブが終わって、サイン会が始まった。CDを買ってなかった私は、参加できないと思い、帰ろうとすると、今からでも間に合うと言われた。「買わなくていいの?」お母さんがそう聞いてきた。私は迷わず「買ってくる!!」と言い、お母さんからお金をもらい、レジへ向かった。たった1週間前に出会って、今日初めて見たバンド、そして今買ったCDにサインしてもらうなんてなんだか悪い気もした。周りのファンはみんな常連さんみたいで、sumikaのメンバーさんと気軽に話していて、私が何も知らないのを見透かされている様な気がした。私の番が回ってきた。何を話していいかもわからない私にも、sumikaの皆さんは丁寧に話してくれた。私も何か返事をした記憶はあるが、正直興奮していてあまり覚えていない。帰り道、私の名前とメンバー全員のサインが入ったCDを見て、お母さんが「私がCD買ったんだから、私がサインしてもらえばよかった~」と言った。私は、お母さんも相当気に入ったんだなと思った。一度聴いただけで、こんなにも人の心と体を動かすsumikaの音楽は、まさに魔法のようだと私はこの時感じた。

 こうして私は、sumikaのファンになった。それから、新メンバーの小川さんが加入したり、ライブに行ったりアルバムを出したり、どんどん大きくなっていくsumikaを見るのがとても嬉しかった。
しかし、それは思いがけず突然、止まってしまった。ボーカルの片岡健太さんが喉の調子が悪いため、一時活動休止。それは、私が初めてバンド形態のsumikaのライブを見に行ったすぐ後の出来事だった。私は、頭が真っ白になった。ほんの少し前までそこにいた人が、いなくなってしまうのではないかと考えた時、すごく不安になった。こんなにすぐ近くにてくれて、私が落ち込んだ時、いつも元気や勇気をくれたのに、私は何もしてあげられないことに不甲斐なさを感じた。それはsumikaの活動が止まっている間、どこかでずっと消えなかった。ただ帰ってきてくれる日を信じて待つこと。それしか私にできることはなかった。だからその分、片岡さんが復帰した時は、心のそこからホッとした。数か月間、心のどこかで抱き続けた不安は、片岡さんの笑顔を見ただけですっとどこかへ消え去った。そのあと行ったsumikaの「Re:Birth tour」のライブの初め、片岡さんは大きな声でこう宣言をした。「sumika第二章、はじめます!!!」私はsumikaが一段と強くなったように感じた。強くなって、大きくなって、帰ってきたsumikaの周りには、sumikaが帰ってくるのを待ちわびていた、たくさんのファンがいた。みんな口々に「おかえりなさい!!」とか、「待ってたよ!!」と、片岡さんに言葉をかけていた。私はそのたくさんのファンの中の、たった1人でしかなかったけど、それでも心から「おかえりなさい。帰ってきてくれてありがとうございます。」という気持ちを込めて、最大限の拍手を送った。片岡さんの目に涙が浮かんだ時、本当に辛かったんだなあと心が痛んだ。この活動休止期間を経て改めて、私はsumikaのことが好きなんだという事を再確認した。そして、私たち以上に、sumikaのメンバーそれぞれがsumikaのことが大好きなんだという事を再確認した。sumikaの歌が聴けること、それを当たり前のことと認識するのではなく、幸せなことなんだと認識しなくてはならないと思った。

片岡さんが復帰してから、更に約1年の月日が流れ、2016年12月7日。sumika5枚目のミニアルバム「SALLY e.p」が発売された。そのアルバムトレーラーの初めに、こんな言葉が添えられていた。「かけ続けよう解けない魔法。」と。私は冒頭で“以前の私はそんなもの(音楽の魔法)を信じていたわけもなく、音や言葉はただのツールでしかなく、それ以上でも以下でもないと思っていた。”と言った。sumikaと出会う前の私は、音楽で世界が変わること、こんなにも素敵な音や言葉に出会えることを知らなかった。
そしてこの「SALLY e.p」の1曲目、「MAGIC」はこんな歌詞から始まる。
《パッってなるから/グッってなるから/瞬くたび自由になるから/パッってなるから/グッってなるからさ/音と音に乗せて/今を変える》
sumikaと出会ったあの瞬間を思い出した。まさに私のすべてが、音楽の魔法によって変わった瞬間だった。
《変わらない状況/変われない心に/とびきりのマジックを/かけてよ》
落ち込んだ時、悩んでいた時、いつも元気をくれたのはsumikaの音楽だった。sumikaの音楽が私の毎日を色付け、明かりを灯して導いてくれた。
 また、4曲目に収録されている「オレンジ」のサビではこんなことが歌われている。
《「ただいま」「おかえり」が/響き合い広がる/「当たり前」いや違うね/「有り難う」なんだよね》
片岡さんが復帰した時のことを思い出した。片岡さんが「ただいま」って言ったら、みんなが自然に「おかえり」って言える。そんなあったかい場所。それがsumikaだと思った。それを「当たり前」と思ってはいけない。そこに愛をもって「有り難う」と伝えられれば、きっともっとその人のことが好きになれる。sumikaのファンに対する愛。ファンのsumikaに対する愛。こんなにも双方が気持ちを伝えあえる空間は、sumikaにしか作ることができないものだと思った。

音や言葉はただのツールなんかじゃない。それは片岡さんがいつか仰っていた「言葉はいれもの、中身は自分次第」という言葉から分かるように、音も言葉もただ形だけあっても意味を成さない。中身が伴って初めて相手に伝わる。そして、それが音楽の魔法となる。sumikaの音楽はそういう意味のある音楽であるからこそ、人の心を動かし、笑顔にする魔法をかけてくれる。それは、根拠のない魔法なんかじゃない。私は身をもってその魔法を体感した。だから言い切れる。

sumikaの魔法は本物だ。そして、sumikaの音楽がある限り、その魔法は絶対に解けることはない。

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