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2017年11月6日

yuuto (30歳)
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AWAKENING―「奇跡」を歌うための覚醒―

次世代を担う王道スタンダードロックバンド『Lenny code fiction』との邂逅

日夜新しいバンドが生まれては消えていく。フェスやイベントに行けば到底見きれないほどのたくさんのバンドがいて、聴き切れないほどの音楽で溢れている。SNSや動画サイトで誰もが気軽に情報を発信できる今の時代、アーティストもオーディエンスも誰もが気軽に音楽にアクセスできる。そんなたくさんの音楽で満ち溢れる世の中で、自分にとって良いと思えるアーティストに巡りあえることは本当に幸せなことだ。
 

最近…と言ってももう1年以上も前のことになるが、私はそんな幸運を偶然にもつかむことができた。
 

昨年8月31日にメジャーデビューを果たした滋賀発のギターロックバンド『Lenny code fiction』だ。デビューして1年も経たないうちにリリースされた3作全てがテレビアニメの主題歌に起用され、国内最大級のロックフェス “ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017” に出演を果たす等、新人ながらも快進撃を続けてきたこれからが楽しみな4人組。
正直まだまだ知名度は高いとは言えず、音楽好きな方でも知らない方が多いだろうと思う。 “ハートの数字” が伸びないのも承知の上。しかし『音楽文』という音楽好きが集うせっかくの素敵なコンテンツがあるのだから、少しでも多くの人に彼らを知ってもらうきっかけになってもらえたら…と思い、筆を執ることにした。
 

-Lenny code fictionとの出会い-

彼らとの出会いは2016年8月11日。別に目当てのバンドが出演するということで参戦した大阪城音楽堂でのイベントであった。初めて彼らを観た時の印象は、正直「抜群の歌唱力に引き込まれた!」と思ったわけでも「感動するようなライブだった!」と思ったわけでもない。「なるほど。こんな音楽を鳴らす “イケメン” バンドがいるんだな」という感想しかなかった。初めての出会いなんてそんなものだ。

知らないのも無理はなかった。彼らはまだメジャーデビューしていなかったのだから。第一印象はそこまで強烈に印象に残ったわけではないのは確かなのだが、その後、ふとした時に彼らの音楽を思い出す自分がいた。自分の好みかというとそうでもないような気もしたが、耳に残るキャッチーなフレーズ、ラウド系を想起させつつも美しいサウンド。音源こそもう一度聴いてみようと考えるまでにはずいぶん時間がかかってしまったが、「もう一度彼らのライブをしっかり観てみたい」と希求するようになっていた。
 

次に彼らを観るチャンスはすぐに訪れた。音楽好きなら誰もが知っているであろう “ミナホ” という通称でおなじみの “FM802 MINAMI WHEEL 2016” だ。前2日間の参戦を決めていたものの、よりにもよって彼らは3日目の最終日。しかも19時からと翌日仕事の身である関東民泣かせのタイテに見に行くかどうか葛藤していた。当日は大阪で行われる別のアーティストの学祭ライブを観てすぐに帰る予定であったのだが、どうしても気になった私は、結局学祭ライブが終わるや否や心斎橋FANJ twiceへと戻り、彼らのライブを観た。

2度目の彼らのライブ。ライブハウスで見たそれは、1度目に見た彼らとは全く違う雰囲気で、これまで観てきた他のバンドには感じたことのないLenny code fiction特有の “かっこよさ” に胸が高鳴った。
片桐航(Vo/Gt)の持つ他を寄せ付けない圧倒的なオーラ、kazu(Ba)から溢れ出る色気と鋭く輝く眼光は観るものを惹きつけ、ソラ(Gt)の掻き鳴らすギターはまるで彼の感情が憑依したように表情豊かな音色を発していた。そして、KANDAI(Dr)の的確なリズム感と確かな演奏力は楽曲を引き締め、バランスのとれた音楽がとても心地よかった。クローズアップされがちな “ルックスの良さ” だけではない、4人の圧倒的な演奏力にただただ息を呑んだ。
 

「いいバンドに出会ってしまったのかもしれない」
 

昨今のミュージックシーンは、 “踊れるロック” 、 “騒げるロック” がトレンドのように見える中、ここ最近では珍しいスタンダードロックで勝負するバンドに出会うことがなかったからとても嬉しかった。いつもは退屈な新幹線の車中も、その日は爽快な幸福感に包まれていた。
 

-初ワンマンライブ/初全国ツアー-

2016年11月13日。ソールドしていた彼らの初ワンマンライブに当日券が出るという情報を聞きつけ、ギリギリ滑り込みでライブに参戦する事に決めた。
ミナホで感じた漠然とした「いいバンドに出会ってしまったのかもしれない」という “感覚” を、「いいバンドに出会ってしまった」という “確信” に変えるべく、原宿ASTRO HALLへと足を運んだ。
 

3度目のライブで感じた衝撃。それはイベントやサーキットフェスという短い時間ではわからなかった、スタンダードロックに縛られない楽曲の多様性だった。ガレージロックを想起させる躍動感あふれるアグレッシブな楽曲で会場のボルテージを一気に上げたと思いきや、これから迎える冬にぴったりなしっとりとしたバラードで切なさや寂しさを観衆と分かち合い、そして、これからの自分達が実現していきたいバンド像・未来への決意を感じさせる希望に満ちた楽曲で観る者の心を引きつけた。
 

「広い深い世界に今から行くけど 僕ら一緒にいて どこまで行けるかな」
 

瞬く間に初ワンマンライブが終わって、残ったのは心地よい高揚感と爽やかな感動だった。しかし、そう感じた時ですら、どことなく自分の中で「このバンドは、まだまだこんなもんじゃない」という”根拠のない期待”が強く心に残った。
 


 

11月のワンマンライブ以降、少し時間が空いてしまったが、2017年2月17日に彼らの初の全国ツアーとなる『LIVE TOUR 2017 “Non-fiction”』に参戦した。前回の初ワンマンライブから4ヶ月。冬フェスや対バンを経て成長した彼らに会えることが楽しみで仕方がなかった。

発表されてからずっと心待ちにしていた彼らのツアー初日は、今はなきclub Lizard YOKOHAMA。直前までメンバーとツアーの細部を詰め、練習を重ねたと言った片桐航の言葉を証明するかのごとく、初ワンマンの時とは比べることができないほど、想定以上、想像以上、期待を遥かに上回るパフォーマンスに心を掴まれた。
 

2017年3月23日。全国6カ所のライブを経ての代官山UNITでのツアーファイナル。ファイナル独特の緊張感が見ているこちらにも伝わってくるほど、片桐航の歌には強い気持ちが込められていた。全身全霊で心を届けようと、声を枯らすほどの激しい気迫を感じるライブがそこにはあった。ソラのギターも、kazuのベースも、KANDAIのドラムも、4人の誰もが主役のように目立っているのに、音楽として調和がとれていると感じるのは彼らの絆の強さ・目指すべき未来への意志の強さであろうか。片桐航が1人フロントに立って熱唱している後ろで、3人が楽しそうにセッションしている姿もどことなく “Lenny code fiction” らしさを感じ、観ていて微笑ましかった。
 

「いつかまた今日の日を思い出し 種に水をやる 夜は明けても
 ほら消えそうになる火は 両手で守らなきゃな」
 

とても初めての全国ツアーとは思えないほどの完成度と感動、そして急速にスピードをあげた成長がこのツアーにはあった。やっと “根拠のない期待” が、 “確信” へと変わった時であった。
 

「きっともっとLenny code fictionは大きくなる。もっとたくさんの景色を見せてほしい。」
 

普段他者に多くを望まない自分が、そう望んでしまうほどの魅力と実力と無限に広がる可能性がこのバンドにはあると確信した。
 
 
 

「…片桐航にしか見えていない世界があるのかもしれない。」と思う魅力的なナンバーがある。

<世界について>という美しい世界観が心に響く1曲。
 

『幸せを苦しい事より少しだけ 多く作っているこの世界に』
 

初めてこの曲を聴いた時、冒頭のこのフレーズに巡り会った時、自分の発想にはなかったコペルニクス的転回とも言える “世界” の捉え方に大きく衝撃を受けた。

「こんな発想を持てる人って果たしてどれほどいるのだろうか?」この世には幸せな事も嬉しい事もたくさんあるけれど、どちらかというとその少しの幸せや喜びを手にするために苦しみや辛さを我慢することの方が多いと自分は思っていたから。
 

『本当は大切で だけど上手く言えなくて それでも心でずっと想ってる事が
 君に届く様に 音は鳴り空を繋げた 離れても 同じ様に』
 

メジャーデビューをして初めての全国ツアー。ツアー中、片桐航は正直にライブをして、正直に心に思っている事を話してくれた。ソールドアウトが出来なかったことへの悔しさ。ライブへ来てくれた人への感謝。これからも信じてついてきてくれる人を決して後悔させないようなバンドになるという決意。彼の語る言葉一つ一つが、心から想っている事だと伝わってきた。誰だって、心を本気で見せることは怖いし勇気がいる。それでも伝えようとしてくれた。

99%は心の内を見せる事が出来た一方で、それでも見せられなかったあと1%を鍛え上げて帰ってくるという彼の言葉を、この歌詞が証明しているように思えた。
 

Lenny code fictionはどうしても “スタイリッシュ” だとか “華やかな容姿” という表層的な部分にフォーカスが当てられることが多い。しかし、初ワンマンライブ、初全国ツアーを通して、彼らの音楽に対する “誠実さ” や “意志の強さ” を改めて認識し、見えていなかった “泥臭さ” や “苦悩” 、 “葛藤” を知り、そして “『Rebellious』の精神” といった本質に近い部分に触れることが出来た気がした。

時には訪れるどうにもなりそうにない逆境に対しても、ちゃんと乗り越えて行く強さがこのバンドにはある。『Lenny code fiction』の魅力は音楽だけじゃない。彼らの人柄・人間性にもあるから強い。人として魅力的だからこそ、人を魅了する音楽が作れるのだと思う。
 

「未来はすぐに雲を作って 行く先にまた雨を降らすけど
 構わない 僕らはまた火を灯して 何度でも夜を越えた」
 

ROCK IN JAPAN FESTIVAL、SUMMER SONICといった大型夏フェスを経て、デビュー1周年を迎えた彼らは今、自身2度目となる全国ツアー『LIVE TOUR 2017 “AWAKENING”』の真っ最中である。
 
 

いつか、片桐航が語っていた想い。
 

「 Lenny code fictionとして、オレは奇跡を歌いたい」
 

今はまだ “可能性の萌芽” の段階でしかないのかもしれない。けれど、様々な経験を積み重ね、彼らの持つ類稀なるセンス・感性を磨いていけば、いつかは大きく花が開き、きっとアリーナやドームクラスでライブをすることが当たり前の大きな存在になるだろう。
 

今ツアーファイナルは、片桐航の24歳の誕生日となる2017年12月24日恵比寿LIQUID ROOM。これまで彼らが積み重ねた歴史、歩んできた『過去』に、『現在』の『Lenny code fiction』が新たに生命の息吹を吹き込み、『未来』の姿へと孵化していく旅路の終着点。彼らにとっては極めてチャレンジングなライブとなるが、初ツアーで見せられなかったあと1%の心を見せられるようになるために、彼らが歌いたいと願う奇跡を歌うバンドへと『覚醒』していくためには必要な通過点となる。全国9箇所を回り、さらなる成長を遂げた彼らに恵比寿で会えることが今からすごく楽しみである。
 
 

…末筆となるが、私も本心を見せよう。
 

どれだけのこの文章が人に見てもらえるかどうかわからないが、こうして『Lenny code fiction』という大好きなバンドを広めることで、たくさんの人に彼らの音楽が届き、大きくなっていくことは正直手放しで嬉しいとは言えない。自分だけが、彼らの良さを知っていたい。これからも自分だけのモノにしておきたい。いつでもバンドが大きくなっていくのはどこか置いてきぼりにされた感じがして寂しい気がする。けれど、片桐航が言うように、『Lenny code fictionの音楽』はいつでも一対一で語りかけてくれる。どれだけ大きいバンドになったとしても、きっとその心を忘れないでいてくれると思う。だから、もっともっとたくさんの人に彼らの音楽が広がって、どんどん大きくなって、今こうして彼らがメキメキと成長していく過程が観て取れる”大切な時”に立ち会えたことが誇りになるような、誰もが知る日本を代表するロックバンドになって欲しいと強く願っている。
 

「羽ばたくように駆け出してゆく 先へ進むほど風に乗って
 見せたいんだ 喜びの花を」
 

先日、横浜アリーナで『現在』の邦ロックシーンを牽引するミュージシャンらのライブでオープニングアクトを務めた彼ら。きっと近い未来には『次世代』の邦ロックシーンを担う存在として自分の足であの大舞台に立つことであろう。

メジャーデビュー2年目を迎えて、なお一層追い風に乗って先に進んでいく『Lenny code fiction』がこれからどんな景色を見せてくれるのか心から楽しみだ。

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