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2017年11月13日

松本日花里 (17歳)
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RADWIMPSからの光と開花宣言

3月11日Human Bloom Tour@大阪城ホールで学んだ生き方

人間開花。今まで私は開花した瞬間はあるだろうか。その瞬間、私はなにを夢見ていたのか、何をもって開花したのか。そのあまたの瞬間のいくつかにRADWIMPSがいた。初めては貰ったばかりのラジオから流れた “DADA”。リズミカルなスネアとラップに乗せて淀みなく放たれる言葉から始まる曲に衝撃を受けた。その後、高校受験の時には “会心の一撃”が合格に導いてくれて、映画「君の名は。」の時には “前前前世”や “スパークル”で感動させてくれた。これら全てが新しい私に出会えた瞬間、開花した瞬間だ。
そして今日、3月11日(土)に開花した人間はどれほどいただろうか。少なくとも私は大きく開花した。RADWIMPSに出会って約7年の私は本ライブが初めての彼らのライブだった。このあまりにも長く変動の多かった隔たりを経て始まったのは “lights go out”。目の前に広がるのはぽつぽつと瞬く星。決してメンバーの姿は見えない。ただ、RADWIMPSの音はどこまでも広がった。徐々に音数が増える様に胸が踊る。これが終わり、メンバーの登場に期待をしている会場についに姿を現した。映画「君の名は。」のオープニングで使用されている“夢灯籠”に合わせてスクリーンが徐々に上がって行く。会場が歓声をあげる。ステージには確かにテレビや雑誌で見るいつもの元気で、雲の上のような存在のRADWIMPSの姿があった。私が状況を飲みこめない間に “光”の明るいギターが洋次郎と桑によって掻き鳴らされた。これまでのRADWIMPSのアルバムの中でも今回のアルバム『人間開花』にはこれからのRADWIMPSの未来を照らす光が存在している。だからこのライブでも冒頭から最後まで光が効果的に使われ、まるで開花しようとしている私たちにとっての太陽のようだ。 “AADAAKOODAA” “アイアンバイブル”と洋次郎が踊りながら曲を体で表現する姿はカリスマそのものだった。 “O&O”では武田がベースを手放して音を奏で、 “アメノヒニキク”の歌い出しでは洋次郎のみに一筋のスポットライトが当てられていたものが、終盤では雨が凄まじく降る映像に合わせて表現され、その雨に巻き込まれていった。そして、次の曲はファンに向けて作ったという “トアルハルノヒ”。

《ロックバンドなんてもんを やってきてよかった》
と繰り返されると同時に私は「RADWIMPSなんてもんを 好きになってよかった」と思った。

そして、ドラマ主題歌にも決まっているあの曲のコードをピアノで弾きながら洋次郎は言う。「いざ自分が大人になったら、大人も子供も変わらない。結局みんな同じなんだ。」と。そして、彼は今までの人生を全て込めて、まっすぐにピアノに向かって、本ライブのどの曲の歌い出しより何倍も力強い歌声で
『僕は人間じゃないんです ほんとにごめんなさい』
と歌う。そう、この曲は “棒人間”。 最初、ラジオでこの曲を聴いたときはただただ棒人間のことを歌っているという印象しかなかった。何の意図を持ってこの曲を作っているのかが分からなかった。しかし、この日ようやくそれが分かった。大人も子供も失敗しながら生きる姿は同じなのだ。まさに高校生という大人と子供の狭間で生きている私にこれからも胸を張って生きる勇気を与えてくれた瞬間だった。 “Bring me the morning” “三葉のテーマ” “スパークル”と主に君の名は。からの曲が続き、感動的な空気に包まれた空間ができた後「こんにちは!」といつもの桑の元気な挨拶が響き、会場は再び暖かな笑いが起きた。洋次郎の「まだまだこんなもんじゃないでしょ!」というシャウトから繰り出されたのは “DADA”。ツインドラムの軽快なビートが導く洋次郎のラップにアリーナ席、スタンディング席関係なく手を挙げて飛び跳ねた。ここから会場のボルテージが限りなく上がる。 “セツナレンサ” “おしゃかしゃま”ではグラフィックなライトによってエレクトリカルな空間が生み出された。“ます。”の間奏部分では桑と武田が花道に走ってきて飛びながら楽器を弾くという無邪気な様子が微笑ましかった。ここであと2曲という宣告がされる。時間が経つのは本当に早いものだ。ここで日本全体を見ても知らない人はほぼいない去年を彩った1曲 “前前前世”が披露された。待ってましたというようにオーディエンスは体を揺らす。最後に披露されたのは本アルバムの最後に収録されている “告白”だった。
アンコール明け、サブステージには洋次郎とピアノとギターがあった。そして、今日限りといって弾き語りで披露されたのは “春灯”。なぜ今日限りなのか。それは3.11という数字の並びを見たらほとんどの人が想像するであろう東日本大地震の発生日だからだ。この “春灯”という曲は毎年3月11日に出してる曲の1つで、震災からちょうど5年経った2016年に発表された。本ライブの冒頭でも洋次郎は「今日は特別な日なので声が枯れるくらい歌います。」「生きている僕らがはっちゃけないとね。」と、今日という日に特別な意味を込めていた。世間では東日本大震災で亡くなられた方に対して粛々と3月11日を過ごす人もいる。もっと生きたいのに亡くなられた方はたくさんいる。言い換えると生き残った私たちは幸福なのだ。だから、私たちは生きていることの喜びを認識して、亡くなられた方の分はっちゃけて楽しまなければならない。私はこのように洋次郎の言葉を咀嚼してあと少しのライブを今以上に楽しもうと思った。これと “週刊少年ジャンプ”は洋次郎のピアノ弾き語りで、オーディエンスみんなの心に響いた。会場が感動に包まれたあと、メンバーが加わって1,2,3,4の合図で始まったのは “いいんですか?”。メンバーと観客の距離がより近くに感じられた。そしてついに最後の曲。その曲を決めていなかったのか、メンバーがステージの中央に集まって耳打ちをする。ついに終わってしまうという悲しさが一気にこみ上げたが、1番踊った。その曲は“有心論”。最後にメンバー全員が手を繋いで前に出てきて一礼をしたとき、こちらも頭を下げそうになった。メンバーが捌けた後のスクリーンには、開場時にはなかった星がきらきらと光っていた。
この日に私は開花した。もっと懸命に生きようと決意した。世界では毎日命を落としている人がいる。生きたくて、生きたくても死を余儀なくされる人もいる。そんな世界で私は毎日学校に行って、家に帰っている。これは当たり前のことであるが、それはいたく幸せなことである。そのことを胸に秘めて今日も生きていく。そして、開花していく。

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