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2017年11月14日

あふろハイツ (19歳)
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傷口を見せる真の強さ

私のバンドの理想像はアルカラだった

ただひたすらにKAGEKIなライブだった。
私達はアルカラの虜だったし、アルカラは相変わらず、いやこれまで以上に音楽そしてライブを狂ったように楽しんでいた。

アルカラ 「KAGEKIにやってくれないかチュアー 」
11月1日仙台公演に行ってきた。
私としてはアルカラのライブは一年半ぶり、ワンマンライブではおおよそ2年ぶりであった。そして何と言っても今年はアルカラ結成15周年。いつも愉快な彼らだが今年はいつにもなくお祭り騒ぎの一年。スペシャルな企画も用意し、私達を楽しませてくれていた。

しかし、そのムードが一変。
予期せぬ出来事が起きた。
思いきり歪ませた音にロックンロール魂溢れるリフ、おもちゃ箱のような世界を支えるおちゃらけた音、狂気を孕んだ音で相手を突き刺すアルカラの唯一無二の武器、ギター田原さんの脱退だ。

これまで様々なバンドの脱退を耳にしたが、こんなに大好きなバンドが、ましてやそれがアルカラなんて、と信じられないまま心の真ん中を大きく抉った出来事は私に虚しさだけ残した。正直、しばらくアルカラの曲を聴く感情にはなれなかったし、あれほど楽しみにしてた久しぶりのアルカラのライブが怖くなった。

他に私が好きなバンドに関して言えば、私は普段その曲を作り出す人のインタビューを読み込み、作り出された曲と人柄を重ね合わせたり、そのバンドの歴史を曲で感じるようにして音楽を楽しむことが多い。人間味や、生活感が現れることで、よりリアルな感情で音楽を楽しめるからだ。
それに対してアルカラは、リアリティというよりは、爆音の音楽を頭にぶつけ、歌詞の響きを楽もうといった心持ちで聴いていたと思う。

しかしながら今回の出来事で、それができなくなった。歌詞が今のアルカラと妙に重なる気がしたからだ。その上どの曲を聴いても、長髪を振り乱しながら、もはや殺意すら感じる形相でギターを弾く田原さんの姿が目に浮かんだのだ。アルカラの曲でこんなにも感傷的になることがあるなんて思わなかった。

そんな状況の中参加した今回のライブ。
この悲しい出来事からまだそこまで日にちは経っていない。会場周辺に集まる他のアルカラファンは今どういう心境なのだろう、と開場待機列を眺めながらぼーっと考えていた。
前回参加した時とライブ前の雰囲気は全然変わらなかった。ライブが始まったらちゃっかり田原さんが立っているのではないか?もしかしたら15周年記念企画の一つでファンに対するアルカラ流のドッキリなのではないか?とある筈がない妄想がどんどん膨らむ。

開演予定時刻数分してライブが始まる。
 

いつものアルカラだった。

プロとして今まで通りパワー溢れるライブをするのが当然のことなのかもしれないけど彼らも人間だ。悲しみを自分の心の壺に押し込んで硬く蓋をしているのだろうか。彼らは途中で壊れてしまわないだろうか。そう疑問や不安を抱くぐらいに、力強く楽器をかき鳴らすただかっこいいだけのアルカラがそこにいた。

私はそんな彼らの振る舞いのおかげもあり、数曲で純粋に楽しいという感情だけになってきた。そして中盤になり、おしゃべり好きの稲村さんのMCタイム。これもアルカラライブの醍醐味だ。しかしこのタイミングで、私の心の傷にアルカラが貼ってくれた大きな絆創膏は、そのアルカラ本人によって剥がされた。いつもの愉快なあの口調でさらりと田原さんの話題を出し、しかもそれをすでに笑いに変えていた。こういうMCは、時効というのがあるだろう。5年後、10年後に掘り返して思い出話として笑い飛ばすものだと思っていた。みんな悲しんでいるのによく今この話ができるなぁ…と思った。今1番辛いのがアルカラメンバーだってことは十分分かってはいたけれど。

しかし、最近負った傷をみんなで突き合うことは、1人で痛み苦しむよりもマシなのだと思ったし、そしてさらに言えば、悲しみを笑いに変えることで楽しいという感情が2倍になった気さえした。衝撃だった。自分の負った傷を自らみんなに見せたアルカラは私の知ってるバンドの中で1番強い。

稲村さんは私の好きなフロントマンの中でかなりイレギュラーな人間だ。しかしそれと同時に私の思い描くバンドマンの理想像なのかもしれない。詞、メロディはもちろん、バンドマンとしての立ち振る舞いまでもだ。

「来世は一緒にバンドを組もうな」

アンコール最後の曲で稲村さんが叫んだセリフだ。普段、発する言葉の半分くらいがジョークの稲村さんが不意打ちにこんなにかっこいいことを言うのはずるい。突然みせるこのような言動に毎回新鮮にときめいてしまう。もちろん私は絶対にバンドを組みたいと思った。こんなに美々しいバンドマンは他にいない。彼とバンドを組んだらいったいどんな人生になるのだろう。

なんにせよ今世では一緒にバンドを組むことはできないから、今後も生み出されるであろうアルカラの曲たちを心待ちにして過ごしたいと改めて強く思った。

こっちをみながら身がちぎれるくらいKAGEKIなライブで私たちを喜ばせ、時には「そうきたか!」と喉を唸らせる、そんなアルカラのドラマを、無垢なCAOで見守りたい。フィクションを科学しながらアルカラについていきたい。

そう思わせる激しい2時間だった。

がんばれアルカラ。15周年おめでとう。

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