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2017年11月15日

まあ (28歳)
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探求者たちと見つけた宝物

BUMP OF CHICKENツアーPATHFINDERに参戦して

強い風が吹いていた。橋を越えた先にある川沿いのライブハウスに向かう人々の髪を煽る。しかし、人々の表情は明るい。
BUMP OF CHICKENツアーPATHFINDERの待ちに待った新木場STUDIO COASTでの公演があるからだ。
私は20周年記念ライブ以来の参戦である。ライブハウスは2011年のGOOD GLIDER TOURの今はなきZepp Sendaiぶり…
スタジアム規模でのライブができる実力のある彼らを、またライブハウスで見れることに私は興奮していた。

人々に埋め尽くされるフロア、ステージ上のスタンドマイク、彼らの愛用するギターベースドラムを見て、ふと、瞼の奥に初めて見た彼らのライブの光景が浮かび上がってくる。一生忘れることはない、14歳の初夏の記憶。
なぜこの時、一番新しいBUMP OF CHICKENのライブの記憶ではなく、一番最初の記憶を思い出したのか。不思議だった。ライブハウスの雰囲気がそうさせたのかもしれない。

照明が暗くなり、腕に着けた PIXMOBが光だす。 PIXMOBと言われても私はピンとこないので、簡単に説明すると光るゴムバンドだ。これがとにかく大活躍した。ライブは観客と作り上げていくもの、とよく耳にするがこれはまさにそれを具現化してくれた。この幻想的な光景はここにいる一人一人によって作られている。
優しい音と色とりどりの光の線が会場内に走る。宙を仰ぎ人々が歓声をあげる。まるで流星群のよう。見事な音と光の共鳴の姿だった。

今回のセットリストは新旧の曲のバランスが非常によく、昔からのファンも、最近BUMP OF CHICKENを聞き始めた人も盛り上がれる内容だった。「知らない曲があったら新曲だと思って聴いて!」とチャマがMCで笑いを誘う。
でも、このセットリストの意図はそれだけではないだろう。探求者の名を掲げたツアーで歌われる新旧の曲の共演。
その内容に呼応するように、藤くんから語られる言葉は微笑ましい昔ばなしから、繋がる今への感謝の想いだった。
「チャリばっかりこいでた。着いてきてたヒロがすごい転び方してた」
「あの頃そんなだった自分がこんなにたくさんの人の前で、あの頃に作った歌を唄っている」
伝えたい想いがあった。ギターを手にしてそれを歌にして形にする事ができて、それを聴いてくれる人ができて…こんなにたくさんの人に聴いてもらえるようになって…本当に嬉しい。
「ありがとう」と、感謝の言葉が何度も何度も彼らの口から溢れる。
それに応えるように、人々は彼らの演奏に拳をあげ、一緒に歌を唄う。これがBUMP OF CHICKENのライブの完成形ではないのか。そう思ってしまうほど素晴らしい光景だった。
でも、きっと、そうだけど、そうじゃない。生きている限り進まなくてはならない。今は過去になっていく。とすれば、完成形という言葉は相応しくない。このライブは、探求し続け、見つけた宝物の1つとでも言えばよいだろうか。

ライブハウスを去る人々の手にはめられた PIXMOBがまるで名残惜しむように光を放つ。忘れないでほしい。でも、いつかは忘れてしまうかもしれない。忘れてもいい。できたら思い出して、また、会いにきてほしい。そんな言葉が聞こえた気がして橋の上から会場を振り返る。
多くの人々は明日にはこの特別な日を胸にしまって日常に戻る。そんな日常の中で、きっとそれぞれの人に響く歌がある。生きるために口ずさむ歌がある。願わくは今日聞いた歌が、BUMP OF CHICKENの歌が、その中にあってほしい。

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