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2017年2月28日

ひとみ (16歳)

クリープハイプに恋をして

1度目はときめき、2度目は確かな好き、そして愛になる。

中2の春、クリープハイプと出会う。気になりだしたきっかけは今も鮮明に残る「余計なお世話だよ、ばあか。」この強烈な言葉。彼らがNEWS番組ZIP!の春フェスに参加した時の映像が、早朝のリビングで流れていた。社会の窓、そう、この曲が流れていた。どうしようもなく心が揺さぶられた、あの高い声に、捻くれた歌詞に。出発の時刻が迫っていたため、何て名前のバンドが、何て曲名なのか確認する余裕もなかったけれど、その日の夜、私はすぐにまたクリープに出会えた。あの強烈な歌詞を検索ワードに入れたら、すぐに現れてくれたから。MVを見ても歌詞を見ても、尾崎世界観が見ている 世界観 はあの時の私にはまだわからなかったけど、激しいギターやドラムやベースの音に乗せられた彼の言葉1つ1つがどうしようもなくかっこよくて、心地よかった。だからあの時の私には 意味 なんてものは必要なかったんだ、クリープの曲を聞く意味も、彼が歌詞に込めた意味も。それからは、なんとなく聞きたくなった時に再生して、飽きたら止めて。そんな感じで、私の音楽の世界にクリープハイプは、ふよふよ浮かんでいた。
高校生になって、色んな事に変化が起きる。ずっと親友だと思っていた友達と高校が離れ、なんとなく心がすれ違って、連絡を取り合うのが面倒になった。ずっと同じクラスだった子とは、高校も同じになって、仲良しの振りが続けられなくなって自分から縁を切った。一緒に頑張ってくれてると思ってた人から陰口を言われてた。1人ぼっちからスタートしてやっと作れた友達は、今も全然信用できずにいる。大人が口にする綺麗ごとが吐き気がするほど嫌いになった。周りには決して言わないし、見せるつもりもないけど、私は変わった。そしていろんな感情を殺しながら、こんなもんだろって生きてる。冷めてるな、大人びてるな、「つまらないな」。分かってる、そんなことは自分が1番分かってるんだよ。捻くれてなきゃ、こんな風に、世間に、周りに対して卑屈にならなきゃ、生きていけないくらい弱いんだよ。なんか文句あるか。
あれ、どっかで聞き覚えのある感情だ。何に対しても不安で怖くて、初めて彼らと出会ったときとはかけ離れてしまった私は、再びクリープに出会った。
片っ端から聞きまくった。今まで聞いたことがあるはずの曲も、全く別の曲に聞こえた。こんな歌詞だったんだ、捻くれてんな、でもなんでだ。尾崎さんは、カオナシさんは、ゆきちかさんは、拓さんはどうして、つまらなそうじゃないんだ。どうしてこんなにも卑屈な曲をそんなに堂々と歌えるんだ。心が震えた。涙がこぼれた。私がずっと胸に押し込んでた思いを受け止めて、代わりに叫んでくれてるような気がしたから。
クリープの曲は、つまらない私をヒロインにしてどうしようもなく素敵に歌い上げてくれる。尾崎さんの描く世界観は相変わらず難しいけれど、今なら少しずつ聞くたび聞くたび分かってくる。まあ、それも私の単なる想像でしかないんだけれど。クリープの曲は単刀直入に答えを出してくれない、遠回りを何度もしながら結局伝えたいことを言わずに終わる。
10人聞けば10通りの捉え方があるような曲だ。

ある日、誰かに言われた言葉。
何がいいの?聞きづらいし、意味わからない。
-それがいいんじゃない。だってつまらないでしょ。誰にでも共感できる音楽なんて。

きっとクリープハイプというバンドが、世間一般に言われる、誰からも愛されるような名曲を生み出すことはこれから先もないだろう。でも、誰より素直に、綺麗ごとでは済ませないことを歌っている彼らの曲は、私にとっては全て名曲なのである。

叶うなら、もっと前に彼らに出会っていたかった。人を好きになる度、いつも思わずにはいられない。一番苦しかった時の痛みを知らないのに、好きなんて言っていいものか。1人になってもクリープハイプを守り続け戦ってきた尾崎世界観という男は、儚げで繊細で誰より強い。そして弱い。だからこそ、できることなら2001年から、10年の下積み時代をクリープハイプと共に歩みたい。そのとき、私はこの世に誕生したばかりなのだけれど。

1度目はときめきだった、何の意味も知りたいと思わなかった。
2度目は確かな好きだった、全ての意味を知りたいと思った。
そして愛になった、できることならずっと彼らと生きたいと思った。

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