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2017年12月4日

冨田麻衣 (39歳)
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バンプと冬の午後

あるくもり空の日

「記念撮影」のミュージックビデオのライブ版がアップされたというので、さっそく見てみました。
あいかわらずのバンプのかっこよさに目が釘づけになりました。
いつもそうですが、私はバンプの映像を見たり、音楽を聴いたりすると、本当にあほのようになって動けない。
本当に、ボーっとなる。
そしていろんなことを考える。
バンプの音楽はいろんなことを喚起させる。
生きるということを考えさせる。
今日の午後、ひさしぶりに独身時代のようになってバンプの音楽を聴いた。
というのも、私には今、2歳9か月の息子がいて、いつも息子が一緒にいるから、だ。
でも、今日は、母が息子を散歩に連れ出してくれて、ひさしぶりに一人きりで音楽を聴いたのだ。
一人で音楽を聴くのもだいたい2年9か月ぶりなんて、こどもがいない人には想像できるだろうか?
独身時代は、自分のあなぐらのような部屋で、枕元にあったCDデッキから流れる音楽を布団にもぐりこみながら聴いた。
いつもそうだった。
この世に救われる場所はここしかない、とでもいうように、ふとんにうずくまりながら、ひたすらに好きな音楽を、目をかたく閉じて聴いたものだった。
そういう、自分と音楽しかこの世に存在しない、というような聴き方を久々にした。いつも、息子の存在を気にかけながら聴くのとは違う、感情を全部音楽に傾けていいのだ。
でも、それは、ちゃんとしたCD再生機ではなく、スマートフォンで再生した、YouTubeの音だったのだけど。

夕食の支度がひとだんらくしたので、ふっと力を抜いてイスに座った。そして、そういう気になったのだ。ちょっと聴いてみよう、と。
そんな気持ちになったのも久しぶりだった。
とりあえず、最近好きな、「宇宙飛行士への手紙」。
そして、「記念撮影」ライブ版。
机につっぷして聴く。音楽と自分だけになった。
思い出した。まあ、今でも基本は変わらずそうなのだけど、あの頃は自分のことでせいいっぱいだったこと。すごく孤独だったこと。自分のことだけで頭をいっぱいにしていてもよかったこと。
今は息子がいるので、そんなことはしていられない。
立ち止まってはいられない。毎日を、進めていかなければいけない。どんどん人間らしく育っていく息子がいるのだから、思考を停止させている場合ではない。息子のことを考えなければいけない。親だから。
息子は好きだ。愛している。いなくなったら気が狂いそうになるだろう。そういう存在だ。それは本当に本能だ。親になってわかりました。
そして、私は今、家族がいて息子がいて孤独じゃない。
「死ぬまでなんて 嘘みたいな 事を本気で思うのは」(宇宙飛行士への手紙)
思ってもいいと思う。というか思いたい。そういうふうにできるって信じたい。それが、感情を持って生きている物の「生きている意味」なのだと思う。そうじゃないと、生きている甲斐なんてないでしょう?
私は親になってこのことを本当に思うようになった。ものすごく大事な失いたくないものができて、わかりました。あの頃とちがうのは、自分が親になった、ということだけです。

息子が、「ただいまー!」と元気にさけんで散歩から帰ってきました。私は息子の上気した頬を両手ではさみ、「おかえりー!寒かったでしょう?どうだった?」と迎え入れます。
息子はあったことをつたないながらもいっしょうけんめい話してくれます。手には、黄色やオレンジ、赤が微妙に混ざり合い美しく紅葉した葉っぱを一枚持っていました。

バンプの世界は、自分が子供だった頃のような、いつも憧れている、とりもどしたいと願っている世界だ。
その音楽を聴くと、いつでも戻ることができる、こころのふるさと。
私は、息子もバンプを聴くようになってほしいなあ、と思いました。

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