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2017年12月6日

AZM (52歳)
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度肝を抜かれた日

エレファントカシマシに胸を打たれる理由

今年の夏、深夜に放送されていたライブ番組。それをたまたま観たことが私とエレファントカシマシとの出会いだった。

それまでのバンドのイメージは、宮本さんの何を言いたいのかわからないトークと、大袈裟な身振り手振り、それをただ後ろで黙って笑って見ているメンバー、そんな感じのものしかなかった。

でもそのライブ番組のエレファントカシマシは、そのイメージと全然違っていた。

宮本さんが一曲一曲にともかく全力を尽くし、ステージを動き回りながら振り絞るように声を出し、観客に懸命に「歌」を届けようとしていた。

以前どこかで聴いたことのある「今宵の月のように」は、宮本さんの声が伸びやかで美しく、哀愁がありながらも明日を夢見る力強い希望の歌に聴こえた。

テレビのコマーシャルで流れてきた時、「このバンドは現在進行でこんないい歌を歌っているのか」と驚いた記憶のある「桜の花、舞い上がる道を」は、大きく手を広げ、胸を張って歌い上げる宮本さんの姿が圧巻だった。

私はそんな宮本さんからつい目が離せなくなり、眠気もいつの間にか吹き飛んで、結局最後までそのライブを観てしまっていた。

ライブでサビしか知らなかった歌の全貌を聴いてからというもの、エレファントカシマシの他の曲が気になりだし、ライブ映像を片っ端から観たり、新しいCDから順々に遡って曲を聴いたりして、どんどん彼らにのめり込んでいった。

古い雑誌の記事を読んだり、ラジオの対談を聞いたりして、バンドの歴史を少しずつ知るようになり、激しくがなりたてるロックのイメージばかりではない宮本さんの曲に込められた想いと、様々な表情を持つその声に魅せられ、どうしてもエレファントカシマシのライブに行ってみたくなった。

しかし30周年ツアーのチケットはすでに入手困難で、何とか取れたライブは遠方の金沢公演のみだった。

一人で参戦する勇気が無くて、どうしようか迷っていたら、ライブ好きの友人が一緒に行ってくれることになり、わくわくしながらライブまでの日々を過ごすことが出来た。

毎週末に行われていた30周年ツアーのライブレポを読んだりして、自分なりにライブのシミュレーションをしながらその日を迎えた。

けれどそんなものが全く役に立たないくらい迫力あるステージが、目の前で次々に展開されて行った。

「度肝を抜かれる」

初めて体感したエレファントカシマシの生のライブはこの言葉そのものだった。

矢のように胸に突き刺さるドラムの音と、それに追い討ちをかけるようなバンドサウンドが鳴り響く中、強烈なスポットライトの光を浴びて、全身全霊で歌う宮本さんの姿を瞬きも忘れて追いかけていた。

「宮本浩次」という類いまれなるボーカリストの印象しかなかったバンドが、「エレファントカシマシ」という確固たるグルーヴを持っていたことを目の当たりにして、拳を上げずにはいられない衝動にかられた。

そしてCDで聴くのと、ライブで体感するのでは、印象が大きく変わる曲が多いことも知った。

ファン歴の浅い私が、それまで苦手としていた「ファイティングマン」や「花男」であんなにも心躍らされるとは!本当に驚きだった。

「楽しい!楽しい!!楽しい!!!」

アンコールでは立ち見の観客も含め、会場全体が手を振り上げ、跳び跳ねるような高揚感に溢れていた。

陰と陽の両面を真っ正直に曲に込め、一曲入魂で歌い上げる宮本さん。それをバックから、時に力強く、時に包み込むように演奏するメンバー達がいてこその「エレファントカシマシ」なのだと、その日のライブを観て強く実感した。

何故あんなにもエレファントカシマシの曲に胸を打たれるのか?

それは半端ない練習量が感じられる分厚いバンドサウンドと、宮本さんの全力疾走のパフォーマンスで、嘘のない歌をこれでもかというくらい浴びせられるからだ。

デビューから30年、決して登り坂ばかりではない人生であったにも関わらず、泣き崩れてもまた立ち上がり、輝きを求めて歩み出すパワーを、ずっと持ち続けて来たバンドだからこそ、同じくらいの年月を歩んで来た自分が、こんなにも今、心惹かれてしまうのだろう。

エレファントカシマシをほとんど知らずに、付き合いでライブに来てくれた私の友人をも、すっかり虜にしてしまう魅力が、今のこのバンドには確かにあるのだ。

来年のツアーファイナルのチケットを確保しておいて本当に良かったと、金沢公演が終わったあとに強く思った。あの例えようのない幸せな興奮をまた味わえるかと思うと今から楽しみでしかたがない。

ファン歴の浅い私には、彼らの曲に重なる思い出というものがまだ無い。

けれどこれから先、ますます進化する「エレファントカシマシ」と言うバンドと共に、時を重ねながら、明日を夢見るように歩んで行きたいと、今心底願っている。

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