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GRAPEVINEと私の20年、そしてこれから。

20歳の私が「同い年」のバンドに魅せられ続けている理由

GRAPEVINEというバンドをご存知だろうか。1997年にミニアルバム「覚醒」でメジャーデビューして今年で20周年を迎える息の長いバンドだ。
そして同じく現在20歳の私がGRAPEVINEというバンドに出会ったのは15歳の時である。当時GRAPEVINEはデビュー15周年を迎え、初のオールタイムベストアルバムの「Best of GRAPEVINE 1997-2012」をリリースしていた。当時一番最初に聴いたのもこのベストアルバムだったように思う。ポップでキャッチーであるのに一筋縄ではいかないグルーヴ、オリジナリティのあるメロディライン、そして作詞を担当してるボーカル田中和将による奥深い歌詞。曲から感じられるその全てが、当時高校一年生という多感な時期であった自分に刺さった。何より、こんなに最高なバンドが自分が生まれた年にデビューしていたことがたまらなく嬉しかった。

“今 限界を超える そのくらい言わないと 描き出すもの 愛も欲望も全部絡まっていて” (超える)

“いつも通りの道を そう いつもと同じ風 違うな 今ならわかるだろ” (Everyman, Everywhere)

“君や家族も 傍にいる彼等も この街も あの夏も すべてはこの腕に抱かれていて” (here)

“嘘もいい 苦悩もいいが 言訳してると大抵不幸になったよ 放浪フリーク 片道で いつだってうまく言えやしない” (放浪フリーク)

いくつか歌詞を抜粋してみた。はっきりとわかりやすい歌詞はないかもしれないが、どこか力強さや優しさ、そして時には言葉にはし辛い感情のようものが感じられる。そしてそれらの言葉が、彼らの鳴らす音楽に乗った時に初めてほんとうの意味を持つのである。それらが持つものの全ては分からないながらも、当時持っていた心に抱えていた鬱屈や迷いなんかを彼らの音楽に重ねていた。少し年月が経った今でもそれは同じなのかもしれない。

そしてGRAPEVINEは今年、15枚目のアルバム『ROADSIDE PROPHET』をリリースした。20周年を特別に華々しく祝うわけではなく、あくまでもいつも通りに、いいアルバムを作ろうというコンセプトの元で制作されたらしい。
アルバムタイトルの『ROADSIDE PROPHET』は「道端の預言者」という意味であるが、その名の通り、道を歩んで行く中で、そっと希望を与えてくれたり、肩の力を抜かせてくれたりと、歩みを見守ってくれるような、そんなアルバムだ。
先行シングルになった「Arma」では今の彼らが感じている想いが如実に歌われている。

“このままここで終われないさ 先はまだ長そうだ”

と今後もGRAPEVINEとして音を鳴らしていくことを高らかに歌い上げたかと思えば

“疲れなんか微塵もない とは言わないこともない けど”

としっかり茶化すことを忘れていない。すこしくたびれたような表現が聴き手の心をくすぐって離さないのだ。

“武器は要らない 次の夏が来ればいい”

タイトルのArmaというのはラテン語で武器という意味らしいのだが、彼らはこの一節で武器は要らないと言い切っている。確かに、彼らに今更新しい武器など必要ないのかもしれない。何故なら彼らが20年間生み出し続けてきた音楽そのものがGRAPEVINEにとって「武器」であるからだ(そして余談だが、次の夏が来ればいいというフレーズに、『風待ち』『ナツノヒカリ』『放浪フリーク』などの彼らの夏の名曲達が頭をよぎった往年のリスナーも多いのではないだろうか)。
他にも、現代社会をシニカルかつ軽やかに歌った「Shame」や「聖ルチア」、洗練されたバンドアンサンブルとワードセンテンスの融合がたまらない「ソープオペラ」や「レアリスム婦人」、キャッチーなメロディと多くの人が心を動かされるであろう詞が響く「Chain」や「こめかみ」など全11曲それぞれが粒立った、今のGRAPEVINEが凝縮されたアルバムである。
GRAPEVINEと同じく今年で20歳を迎えた私は、現在大学三年生であり、将来について本格的に向き合わねばならない時期を迎えている。GRAPEVINEの音楽はそんな自分が歩んで行く道の「道端」から、時にはそっと背中を押し、時には寄り添ってくれるのだろうと思う。
そんなGRAPEVINEは先日の12/1の東京国際フォーラムでの公演にて、およそ2ヶ月の全国ツアーを終えた。私も11/24の大阪NHKホールでの公演に赴き、『ROADSIDE PROPHET』の世界観と、20年間の集大成が入り混じった素晴らしい時間を存分に味わってきた。公演中、Vo.田中和将は終盤のMCにて「20年間ありがとう。この先20年もよろしく。」と残した。そんな彼らに私はこの言葉を残したい。
「こちらこそありがとうGRAPEVINE。この先20年もよろしく。21年目も頼んだぜ!」

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