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宮本氏と私。

エレファントカシマシへの手紙

私は、音楽が好きだ。初めてエレファントカシマシを知ったのは、ロッキング・オン・ジャパンだった。高校の頃だったと思う。文化に閉鎖的な田舎で帰りにやる文化的な事と言えば、図書館で本をひたすら読むか、町に2軒しかない本屋で新刊をチェックするかの二択しかない現実。都内にはアクセス出来ても往復3時間の道のりは高校生には果てしなく遠い旅だった。そこに一冊しか入荷されないロッキング・オン・ジャパンの中でもひたすらに攻撃的な文章と荒々しい写真で宮本氏は載っていた。当時のインタビューや紙面を読む限り、この人はどこか頭がおかしい人なのだと思った。その頃、下北沢シェルターで不定期ながらもライブをしていると知り、どうしても観たくて、それまで行ったことのない下北沢を目指し、伝説のバンドを見ようと学校に自ら電話をして休み、制服と着替えを持って隣町まで1時間も自転車を漕いでシェルターに向かったのであった。初めて1人で行った東京はとてつもなく恐ろしく、また無機質な表情の人達を見て、エレカシは、何故、厭世感のある曲を歌うのか分かった気がすると青い勘違いをしたままシェルターまでたどり着いた。狭い地下に常連のように慣れた足取りで入る年上の客を見て、ここで舐められたら宮本氏にステージから指摘されるに違いないとまで思い、田舎者根性丸出しのまま、キョドりつつ素知らぬ顔で後ろの方で人の影に隠れるように観ていた。その当時の宮本氏は、今以上にキテレツな感じで、MCも私から見れば暴言の様だったし、客も「宮本!」などと呼び捨てなので、ロックを好きな人達とは死んでも仲良くできないと感じた。今でもそこは大して変わらないけれども。そのくらい、エレカシのライブは怖かった。ギラつく目で睨む様に歌いながら客を見てくるし、歌い出すと声の迫力が凄まじく、まるで怒鳴っているかの様に叫んでいるし。演奏するメンバーも淡々とした感じで、その淡々とした佇まいが宮本氏のステージでのギャップと重なると余計に恐ろしくて、まともに宮本氏をみられなかった。
その後、エレカシの快進撃は続き、連日テレビやラジオでも年中見かける様になり、ロッキング・オン・ジャパンなどでも表紙を飾り出してから、宮本氏は人が変わった様な気がするほど大人の振る舞いになった気がした。そして、大学進学と共に都内近郊に引っ越した頃には、武道館などでライブをするほどの人気となり、私も他の音楽も聴くようになると、エレカシから足が遠のいた。昔、田舎で雑誌でしか見る事の無かった文化たちに選んで触れられるようになったせいもあって、人気が出たエレカシの音楽は好きになれなかった。
その後、何となく就職をして、また田舎に暮らしている頃に、ネットのニュースで見たエレカシのトミさんの病気の件を知り、懐かしさもあって次の年の新春を観に行った。今のユニバーサルの移籍前の新春だったろうか、当日券で、すんなり入れたZeppで正直、落ちぶれたおじさんバンドだと感じた。ささくれた演奏で、惰性的な宮本の歌声は、若い頃に観たシェルターの雰囲気とは違い、やさぐれた感じがした。昔の曲をやっていたのはとても嬉しかったが、同時に落胆した。その時に新曲と言って最後に歌った曲が「俺たちの明日」だと思う。ノートか何かを持って、弾き語りで歌っていたのを覚えている。それを聴いて、この人達を応援したいと思った。ただのしがない若者だが、このバンドを強く応援したいと思った。私は、その当時から酷い扱いや誤解をされる事もあったが、そんな私の事情もエレカシの現状とかぶった気がして、誰よりも応援して、私も今よりももっと大きい人生のステージに立ちたいと思った。

それから、10年くらいの時間が経った。私は、クソ酷いブロガーとして、世に憚ったりもしたが、ブログを通して知り合った面々と自分の夢のひとつでもあった音楽を軸とした文化的な事柄を含んだ同人誌をひっそりと世の中には出す人になれた。これは、宮本氏の成功とはスケールが違うが、私の中での成功だと思っている。その同人誌を買った人の中には、1000円を置いてくれる人もいた。それを知った時、嬉しくて涙が出た。宮本氏は、今年の年末を彩る番組に出演する。夢が叶ったというMCをしたとネットを見て書いてあった。私も酷い目に遭ったが、あの時エレカシを全力で応援したのは、間違っていなかったとつくづく思う。
宮本さん、10代の頃に好きですと素直に書いてファックスしたら、まんまと読まれてしまい貴方にバカにされた少女は、今でもあなたの事を尊敬していますし、貴方と同じ様に自由な表現をしたくて同人誌まで作りました。
これも、宮本氏の曲のお陰です。
こんな人にした貴方に責任を取れとは言いません。笑。あの頃のモラトリアムな閉塞的な気持ちの壁をぶち抜いてくれた宮本氏には10代の頃の様な淡い恋心なんて無礼過ぎて抱けません!
奴隷天国万歳!珍奇男万歳!
30周年、おめでとうございます。

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