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4度目の出会い

私にとってのエレファントカシマシ

私が初めてエレファントカシマシというバンドを知ったのは、中学時代に雑誌によってだった。
モノクロ1ページで載っていた彼らのバンド名を見て、変な名前だな、とありきたりな感想を抱いたのを覚えている。

次に出会ったのは数年後、雑誌のレビューを読んでCDを買ってみた時だ。
「生活」と言う名のアルバムは、高校生の私には難解で重苦しく感じられた。
(全ての曲を聴き終わった時には体力をすっかり消耗した気分になった)
その時はこれはもう少し大人になってから聴くべき音楽だ、と自分を納得させたように思う。

その何年後か、「悲しみの果て」を偶然耳にした私は、これがあのエレカシ?と驚いた。
わかりやすい言葉で書かれた歌詞とシンプルで短い曲は、まるで別のバンドのようだったのだ。
何故彼らの曲調が変わったのかという疑問はさておき、
私はドラマの主題歌にもなっていた「今宵の月のように」のCDを購入してみた。
心に優しくすっと入ってくるような、多くの人に愛されるのも納得の名曲だった。
その後彼らの姿をテレビで度々見かけるようになったが、洋楽に夢中だった私は彼らを深く追うことはしなかった。

またそれから数年が経った。
時代はインターネット全盛で、国内・海外問わず様々なバンドの曲に気軽に触れられるようになっていた。
そんな中、ある日たまたまエレカシの「ハロー人生!!」という曲に出会ったのだ。
私はやり場のない苛立ちを感じさせるようなその曲に衝撃を受け、彼らがまた激しく変化していることに混乱した。
一体彼らに何があったのか、そして現在の彼らはどうなっているのか。
そしてほとんど曲も知らないのに、衝動的に日比谷野外音楽堂でのライブのチケットを取ってしまった。

迎えたライブ当日。
1曲目「「序曲」夢のちまた」の出だしの宮本さんの力強くのびやかな声に私はすぐに心を捕まれた。
ライブでは想像以上にバラエティーに富んだ曲が混在しており、客席はとても暖かい雰囲気だった。
(初参加のライブなのに、不思議と懐かしい気分になった)
一緒に行った主人と共に興奮して聴き入ること約3時間、4度目の出会いで私はエレカシにすっかりはまった。

その日彼らは新曲(半年後に発売になる「俺たちの明日」)をとても嬉しそうに2回演奏していた。
ちょうどレコード会社を移籍し、新たなスタートを切るタイミングのライブだったのだ。
会場に漂っていたなんともいえないポジティブな空気感は、そのせいもあったのかもしれない。

東京から地元に戻った私は、少しずつエレカシのアルバムを集め始めた。
彼らのアルバムはそれぞれ違った味わいがあり、どんな精神状態の時にも必ず自分にフィットする一枚があった。
そして一枚一枚に必ずエレカシらしさのようなものが存在しているのだ。

私は宮本さんの本を読み、彼らの曲調の変化には理由があったことを知った。
葛藤の日々を経てヒット曲が生まれたこと、ずっと応援し続けてくれたファンがいたこと、
レコード会社に契約を切られてもメンバーは離れていかなかったこと。
変わらぬ信念を持って活動し続けているから、彼らは多くの人に愛され、リスペクトされているのだと思った。

それからは、30歳を超えてほとんどライブに行かなくなった私も、
エレカシの年に一度の野音と地元でのライブだけは参加していた。
周期的にあまり音楽を聴かなくなる時もあったが、必ずエレカシの曲に帰ってきた。

ある年の野音で「いつものとおり」を演奏していた彼らを見たとき。
数十メートル先に居る彼ら4人が、自分とは全く異なる空間に居るように思えた。
派手にステージ上を動き回ることもなく、丁寧に彼らが奏でる音のひとつひとつは美しい結晶のようで、
ぼんやりとした頭で眺めていた私の目には自然と涙が浮かんでいた。

何故私はそんな気分になったのか。
その理由は彼らから、私自身に欠けている真摯さや誠実さが滲み出ていたからだと思う。
私が感じるエレカシらしさというものは、その二つなのかもしれない。

ライブ以外では映像作品『扉の向こう』やインタビューなどでの彼らの姿しか私は知らない。
しかし彼らが音楽に真正面から向き合い、困難を乗り越えていく姿は強く美しく、
時折見せる少年のようなたたずまいはとても眩しく見える。
上手く表現できないが、自分にとってエレカシは特別なバンドなのだ。

私はこの一年間、個人的に色々な事がありすぎて、心も体も身動きが取れずにいた。
同時に、いい加減に生きてきたつけが回ってきたのだと自分でわかっているつもりだった。
でも今振り返ってみると、ずっと進行形で周囲に甘えていたことを私は全く自覚できていなかったと思う。

そんな私にもエレカシの曲は優しかった。
心がざわついて仕方ないとき、「武蔵野」を聴くと気が楽になった。
「風と共に」を聴きながら涙を流した後、勇気をもらえた気がした。

エレカシはハードなスケジュールの中、全県ツアーをし、30年目に初めての紅白出場まで決まった。
それに比べて自分はこの一年、何をしてきたのか。
まだ半歩しか踏み出せていない。
次回のライブには胸を張って参加できるように、
自分自身でエンジンをかけてRESTARTせねばならないと思っている。

エレファントカシマシの皆様、紅白出場おめでとうございます。
大晦日はテレビの前でエレカシの出番を楽しみに待ちます。
そして今年一年間、本当にありがとうございました。
これからも良い曲を聴かせてください。

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