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【風に吹かれて】に救われて

もしもエレファントカシマシがいなかったら

「もしもエレカシがいなかったら」

どうやって生きてきたんだろう。

大袈裟かもしれないが、私にとってはそのくらい大きな存在になっている。

初めてエレカシを知ったのは中学生の頃、いくつかの音楽番組で“再デビュー”バンドとして紹介されていた時、【悲しみの果て】だった。
宮本さんの独特な声に惹かれたのを覚えている。
その後【今宵の月のように】がヒットしたけれど、一番聴いたのは【風に吹かれて】だった。

「輝く太陽はオレのもので きらめく月は そう おまえのナミダ」

この歌い出しが印象深くて、何度も聴いた。
かと言って、当時の自分はファンというほどでは全くなく、いくつか聴くバンドのひとつ。宮本さんの人柄に対しても、「何か変わった人」という印象だった。

高校生になり、主に通学時にMDウォークマンで音楽を聴く日々。
いわゆる“つまみ聴き”をしている中にも、エレカシはあった。
時折、強烈に宮本さんの声が聴きたくなる時があって、鞄の中にはエレカシの入ったMDを必ず入れていた。
この頃も、まず聴くのは決まって【風に吹かれて】だった。
それでも当時、ライブ=ケガをする
と思い込んでいた私は、そうまでして生で聴きたいと思うバンドもなく、エレカシに関しても同様、まさか10年後このバンドファンクラブに入り、ライブに足を運ぶようになっているなんて想像もしていなかった。

高校を卒業して、音楽を聴くよりも映画を観るようになり、聴く音楽もsoundtrackが増えたりとウォークマンで音楽を聴く時間が少なくなって、エレカシからも離れていた。

25歳の頃、生活や仕事の転換期が重なり不安でいっぱいだった時、久し振りにMDを引っ張り出して、エレカシを聴いた。
この時聴いた【風に吹かれて】を、私は一生忘れないと思う。
斜に構えて生意気だった中高生の頃にはわからなかった何かが、一気に染み入ってきた。

「あたりまえに過ぎ行く毎日に 恐れるものなど何もなかった」
「本当はこれで そう 本当はこのままで 何もかも素晴らしいのに」

この時以降、この言葉に幾度となく助けられている。

あぁこの人は、ただただ真っ直ぐで、一所懸命なだけなんだ。

「変わった人」だった宮本さんの印象が、次元ごと変わった瞬間でもあった。
そして未だどこか中途半端な自分を、とても恥ずかしく思った。

それから初期を遡って聴いた。
追っていなかった時期を聴いた。
新譜は勿論、PAOに入りライブに行くようになった。
ケガをしてでも宮本さんの咆哮を生で浴びたいと思ったのだ。
(実際は全く危なくなかった)

私にとって初めてのライブは、“悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~”が出た直後のzepptokyo。
一曲終わるごとに、死ぬんじゃないかと思わせる宮本さんとメンバーがそこに居て、4人の放つ凄まじいエネルギーと音に圧倒され棒立ちになった。
それからライブでその姿を目の当たりにするたびに自分の甘さと向き合い、「襟を正す」気持ちになる。
それがバネになり、彼らの音楽を堂々と聴きにこれるようにまた頑張ろうという気持ちになる。

そうして7年が経った今年、年頭からスランプに嵌まっていた。向かうべき方向はわかっていても、勇気がなかった。
そんな状態を、9月の野音で頬を叩かれ、11月の大宮であたたかく包まれた。

北とぴあも八王子も取れず、唯一取れた大宮が2階最後方という座席に衝撃を受けていた自分を恥じた。

バンドとオーディエンス、10代のままのメンバーがそこに居るような錯覚に陥ったり、50代とは思えないパフォーマンスが繰り広げられるステージを一望でき、30周年を祝福するという気持ちは勿論、それとはまた別で、今までとは違う感情でライブを体感した。

久し振りに聴いたあの時のように、【風に吹かれて】が染み入ってきた。
一曲一曲が、染み入ってきた。

同じだけど違う。
何回でもリスタートできる。
何回でも生まれ変われる。
そうやって続けてきたこと。
全身全霊、身体の隅々まで伝わってくるライブだった。

唯一取れたのが大宮で、この座席で良かった。心からそう思った。
その夜は、今までにない穏やかな気持ちで帰路についた。

職人的な今の仕事に踏み出せたのも、うまくいかなくて挫けそうな時も逃げずにやってこれたのは、あの時の【風に吹かれて】があったから、エレカシの音楽があったからだと思っている。

憑依型のヒリヒリする曲も、腹の底から響く真骨頂のロックも、弾き語りも、壮大なバラードも、応援歌も、あげたらキリがないほど大好きな曲はたくさんある。

その中でも【風に吹かれて】は、10代で出会い、20代で聴き返し、30代を支えてもらっている、大切で、特別な曲だ。
聴けば聴くほど、好きになる。

そんなエレカシの一曲が、ファンの誰しもの心の中にあるんじゃないかと思う。
そしてそれは、宮本さんとメンバーにとって、この上ない幸せなんじゃないかと思う。

一日でも長く、宮本さんの歌が、エレカシの音楽が鳴り続けますように。

エレカシの未来に幸多かれ!

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