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もうコピーバンドは組めない

サンボマスター日本武道館ライブにて

自らのファンのみならず、多くの音楽好きにさえも伝説と言わせしめたサンボマスターの初日本武道館ライブ。
始まりから終わりまで笑い、唄い、踊り、泣き、叫び、そうしてたまたま会場に居合わせた私たちはサンボマスターになった。

日本武道館という場所の客席に座るのは二度目のことだったが、それでもすぐに気が付くくらい、質素で飾らない、剥き出しのステージだった。スクリーンも無ければ派手なセットも見当たらない。それはまるで「俺たちは音楽で魂で、たったそれだけで挑むんだ。だから、キミも余所見しないで魂で、真っ直ぐぶつかって来いよ。」という宣戦布告のように思えた。

サンボマスターという愛と平和の音楽に初めて出逢ったのは、三年前、新入生歓迎会を控えた春だった。
私は当時、軽音楽部に所属するそこら辺の大学四年生で、サンボマスターのコピーバンドをするという男の子たちに「『世界をかえさせておくれよ』の女性ボーカルのところだけ出てくれない?」と適当に誘われたのだった。

「サンボマスター…?名前は聞いたことあるけど一曲も知らないよ。それでもいいなら、まぁ、やるよ。」
恥ずかしながら、情けないが、穴があったら入りたいが、当時の私はこんな応えを言い放っていた。
しかしそんななし崩しで参加したコピーバンドが、私の遅めの青春を最も象徴することになる。

サンボマスターズ、という名前のバンドだった。

結果的に、その新入生歓迎バンドは本家さながらの盛り上がりで大成功を納め、小さな大学のキャンパスで毎月のように愛と平和を叫び続け、儚い人気者となった。

十二月三日は日本武道館の熱狂がグングンと高まり続ける中で、いつしか大ファンになってしまった憧れのサンボマスターは、私たちに名誉ある居場所を与えた。

すると不覚にも、あの日一緒に愛と平和を奏で合ったサンボマスターズのメンバーには申し訳無いが、私はもう二度とサンボマスターのコピーバンドを組むことは出来なくなってしまったようだ。
少し遅めだった青春時代の想い出は胸にしまって、これからのしょうもない日々を堂々と生きる約束を交わした私は、四人目のサンボマスター。

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