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白ポロ眼鏡で張り切った彼らは、やがて満面の笑みで活休へ向かった

モノブライトのアーリガートウ!を待つ

中学の時にSISTER JETが好きだったのだが、最近は聴く事がなくなっていた。ある日何気なく聴き返した「SAY YES」はやはり格好良かった。この曲、何もかもいいのだが、私はケンスケアオキの叩くドラムが好きだ。そんな訳で、職場で先輩とSISTER JETの話をした。何となくツイッターを開いた。私が好きなモノブライトのアカウントからライブ後のメンバーの写真が載せられていた。そこにはライブのサポートとして一緒に写るケンスケアオキの姿があった。

本気で聴き出したのはここ数年の事で、それ以前にも確かに知っていて好きだったモノブライトは、北海道を自ら離れてある種「孤独」だっただろう私の心を動かした。正直な話、あまり好きではなかった北海道だがそこから生まれた人々が作った道産の音楽に親近感を感じた。牧場育ちの桃野陽介が作るメロディはどこか寂しさが漂い、それに乗る詞は優しさが滲んでいる。時々、軽快な曲調の中に出てくる辛辣な言葉は、温かみのある歌声が冷たさを浮き彫りにしてみせる。それは自分に対しての甘えであるという。それは後悔してもどうにもならない事だという。白ポロ眼鏡で張り切る初期の彼らの音楽は、淫靡テーションな曲が多い。ただ、好きな子とあんな事してなんて・・・といった破廉恥な妄想だけではない。時には真っ直ぐに孤独を歌う。別れを歌う。諦めも歌う。でも、あの子ともし、こんな事になって・・・えへへ・・・なんて歌って魅せるのが堪らなく良いのだ。

やっぱ、そういう事考えちゃうよなあ・・・

と思えてしまうのだ。
「おはようございまぁぁす!モノブライトでーす!」

いつもの元気な挨拶だった。彼の裏返る声が、安心と愛しさを呼んだ。一人で延々と喋り続けるMCに、隣でずっと爆笑する出口博之。桃野が曲の出だしでグダれば、

「はい後で楽屋で怒りまーす!」

と笑いを誘う松下省伍。三人はこれから活動休止をする。けれど、この上ない位に楽しそうに音楽を届けてくれた。会場に行く前、私はきっと泣くだろうと思っていた。が、いきなり演奏を止める。制作された楽曲は7億4曲あると言い出す。オーディエンスの盛り上がりにオーダーをする。盛大に言い間違えて下ネタを叫び出す。楽しすぎるあまり最後まで一滴の涙すら出なかったのだった。11年の間に、沢山の音楽を届けてくれた。音楽を届ける為に、様々な挑戦をして驚かせてくれた。ヒダカトオルと結婚していた時代、テレビで演奏していた旅立ちと少年2。ギター3本で跳び跳ね続けるグラサン達。白ポロ眼鏡からガラリと変わった姿に、物凄く衝撃を受けた。そして学生の自分はどの演奏の何が凄いかなんてのは分からなかったが、モノブライトがとんでもなく格好いいと確信した。やがて彼らは白ポロ眼鏡をやめた。でもやっぱりまた白ポロ眼鏡になった。私はこの、

おい!?

と言わんばかりの予測不可能な展開が彼らの個性であると思っているし、彼ら自身が、

「もうね、11年目で1年目並みのMCするっていうね、それがモノブライトですよ(笑)」

と言っているので、もう彼らが作り出す旨味である。そんな彼らが演奏する姿は本当に幸せそうで色気があり、観ている者を圧倒する。ギター3本で作ったWONDER WOULDも、かつて滝谷翼が叩いた未完成ライオットも、酸いも甘いも色んな時を経た三人の音楽として昇華された。卓越した歌唱力。桃野の歌声が、モノブライトの歴史を表すように深みを増した。そしてこの日、サポートで参加していたケンスケアオキ。滝谷翼の後に続いたのは彼だった。彼のドラムもモノブライトとしての音楽の一つだった。モノブライトは何時までも未完成だ。それが良いのだろう。彼らは完成を望んではいないのだから。

私は桃野陽介というミュージシャンが好きで仕方がない。彼の歌声を聴くと、どんな表情で歌っているのかが自然に頭に浮かんでしまうのだ。これ程に表現力に富んだミュージシャンというのを私は殆ど知らない。頭に浮かんだ彼の姿は、私の心を動かす。私もまた、彼の様に歌いたくなってしまったり、笑ってしまう。何だか嬉しくなってしまうのだ。以前、ライブ後の物販で彼がファンに対して本当に温かく接していた姿は、人柄の良さを表していた。限られた時間の中、私が渡した言葉にもしっかりと返してくれ、

「あ、あのね僕ね、大通公園の近くに住んでたんですよ!」

と当たり前の会話に繋げてくれた優しさを私は忘れない。
洋楽に憧れたが英語を歌う事が出来なかった為に、どうにか空耳で日本語にして歌い、やがてそれを起点に生まれたモノブライトの音楽。私はこうして素敵な音楽を聴く事が出来て本当に幸せだと思う。彼らの音楽から受け取った沢山の思いも、綺麗な言葉も、一生かけて大事にしたい。

ライブの冒頭で旅立ちと少年2を演奏したのは、

「ここで終わりじゃない」

という、三人からのメッセージである気がした。そう考えれば、寧ろこれから何か楽しい事でも始まるんじゃないかと思えてしまう。数年後、また何事もなかったかの様に活動再開しては、1年目並みのMCをするのかもしれない。その時を待つしかない。

-もう一度君に会えるかな-

きっと会えると信じている。

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