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真心ブラザーズ ライブレポート

FLOW ON THE CLOUD

今年の9月に発売された真心ブラザーズのニューアルバム「FLOW ON THE CLOUD」のリリースツアー、ツアータイトルもアルバムと同じである。その東京公演へ。
まず予備知識としては今回のアルバムは今日のバンドメンバー、真心のふたりYO-KING、桜井秀俊に、ベース岡部晴彦、ドラム伊藤大地の4人(Low Down Roulettes))で作り上げた。しかもモノラルで録音しており、途中のMCでも言っていたが、あえて、リハスタなどには入らず、大喜利的にレコーディングを進めていったという。前作でも少し感じたが、ボブ・ディランとザ・バンドがかつて地下室で作ったあのアルバムの感じを出したいのではないか、などと推測してみるが、どうなのであろう。このメンバーではその前作とカバーアルバムを制作しており、ここ数年はライブも数をこなしているので、息もぴったりなのはわかるが、それにしても凄いアルバムを作ってしまったのだ。そのツアーを目撃しないわけにはいかない。
四人が出てきて、まず鳴らされたのは、ファーストアルバムからの曲「きいてる奴らがバカだから」。思わず、ふふふ、となる。きいてる奴らがバカだから凄い人たちが浮かばれないよと歌う。 当時はもちろん違うと思うが、今ではこの凄い人達に自分らも入っているのではないか。そう、もっと売れるべきなのだ。特に今回のアルバムは!ちなみに今日のYO-KING、アルバム「Do Sing」のジャケットで被っていたような(もしくはそれそのもの)帽子着用で、カントリー歌手のようなまたは焚火名人のような出で立ちであった。
続けて、去ってしまった者に捧げる「高い空」。この2曲で、バンドが凄いところに到達しているのがわかる。もし、グルーヴ感ってよく聞くけど、実際よくわかっていない。という人がいたら、このバンドを観ればいいと思う。
曲が終わり、軽く挨拶した後、いよいよ新譜から、まずは「雲の形が変化をした」。普段、YO-KINGがCDではなく、レコードで聴いてるであろう、きいてる奴らがバカだから、で言うところの、まさに凄い人達を挙げていくといった歌だ。続けて「光るひと」。桜井が紡いだ優しく切ない歌詞をYO-KINGがその通りに歌い上げる。
ここで新譜から少し離れ、「上手な眠り方」へ。桜井ボーカルだ。この曲は間奏がなく、桜井は歌いっ放しとなる。正確に言うと、最後に一節歌うので、その間が間奏といえば間奏なのだが、そこではYO-KINGが格好いいギターソロを決めた。
ここでMC。桜井が、YO-KINGの帽子を褒め、次の曲のために準備したバンジョーを肩から下げると「オレもバンジョーが似合うようになりたい」「似合ってるよ!ピエロみたいで。あれでしょ?最終的には大きい玉に乗って弾くんでしょ?」「なんでそういう命の危険がある提案を…」などとお客さんを笑わせつつ、その桜井のバンジョー弾き語りから始まった「いい天気」へ。いい天気を表現するのに、雲ひとつないとか、青色とかを一切使わず、こんな日に飢え死にしてる人や人殺ししてる人がいるなんて信じられないと歌うこの対比が格好良い。
「まさかのもう一曲歌います!」と桜井が宣言してからの、新譜から「けんかをやめたい」(アルバムではYO-KINGが歌っている)。個人間の喧嘩はもちろんやめたいし、もっと言えば現在の世界情勢を憂いて、または平和を願っている曲だと思うが、なるほど、そう考えるといい天気からの並びが素敵だ。
さらに新譜からの曲が続き、「その分だけ死に近づいた」ではYO-KINGが最後にその歌詞を叫ぶ。今までも曲に死生観が表れていたものはいくつかあったが、今回は一曲まるごとやってしまった。
新譜では最後の曲に位置する「黒い夜」では、YO-KINGがいつもの声の出し方とは違く、消え入るような、かといって伸びがないわけでもなく、丁寧に丁寧に歌う。バンドの音数も少ないアレンジなので、YO-KINGから放たれる、言葉がぽっかり宙に浮かぶような錯覚に囚われる。次は桜井が作った同世代への応援歌「戦の友」をこれまたYO-KINGがしっとりと歌い上げる。さすがに頑張れ!とは歌わないが、もうこういうテーマも皮肉ったり、ギャグにしないで歌えるところに真心もいるんだなと思う。
これで4曲続けて新譜からの曲の披露となったが、ここで、ワンクッション。「セカンドアルバム勝訴から…」とYO-KINGが言うと会場からちらほら笑い声が。「ん?何がおかしい?」と桜井。しかしYO-KINGは「まあ、勝訴だからね、絶対売れる気ないよね。しかもCDに付いてた帯に魂の地獄突き!って書いてあったからね」と言うや、桜井は「で、その時のツアータイトルがジャイアントシリーズ」と、オールドファンかプロレファンにしかわからない掛け合いをみせていた。肝心の曲は「かべ」。当時では絶対に聴けなかったであろう、ブルージーなアレンジで、この4人で、昔の曲を再構築するという遊びをやってのける。
曲が終わるや否や、伊藤の高速ドラムから始まった「アイアンホース」桜井の鉄道愛が詰まった新譜のロックンロールナンバー。もちろん桜井が歌う。途中、YO-KINGの見せ場、ギターソロの後ろで桜井と岡部が同じアクション(片足を伸ばし歩いたり、ネックを左右に振ったり)をしていたので、曲終わりでYO-KINGが「俺こっちまできて、こんなんなって頑張ってるのに、3人に1人くらい俺を見てなかった」「(この後のツアーの)どっかで桜井足つらねぇかな」とまた会場を笑いに包む。ちなみに曲の最後にYO-KINGがギターでチャーン×4と鳴らすのだが、これは踏切の音を再現しているような気もする。
さらに新譜から「凍りついた空」。演奏やメロディー、歌唱が素晴らしいのはもちろんのことだが、この曲は何と言ってもYO-KINGの詞が凄い。一見、言葉遊びのような(もちろんその側面もあるだろうが)気もするが、意味がわかってくると、し、詩人だ!!となる。勝手な個人の解釈なのだが、まさにYO-KINGが書いた詞や歌の、旅立ちの歌なのだと思う。
解き放れた文字の 雫は川になり海になり
水蒸気になり 雨になり 樹海を静かに濡らすだろう
そう歌われた通り、会場をその粒子で包んでいた。
続いては1999年にシングルカットもされた「Flying Baby」。さらには新譜の一曲目に入っている「レコードのブツブツ」。この音の良さにずっと耳を傾けていたくなる。アウトロでアドリブ合戦とかしてくれないかな?などと思っていたら、レコードのブツブツから、曲が繋がり、「人間はもう終わりだ!」へ。この4人でやれる遊びは全部遊び尽くそう!そんな感じがバンドからしてくる。
最後の曲は「愛」。これがえーとなんというか、つまりその、ヤバイのである。このヤバさをヤバイ以外の言葉で形容できないのが申し訳ないが、今の真心を観ないで真心の歴史は語れない、と言っても決して過言ではないように思う。
会場中が圧倒された余韻の中、アンコールでは「ENDLESS SUMMER NUDE」。生で何十回も聴いている曲だが、色褪せない上に、進化までしている気がするのは気のせいではないはずだ。さらに「JUMP」。これは普段10人編成(MB’s)の時に演ることが多いので新鮮であった。桜井のギターとホーン隊でのやりとりを、今日はベースとドラムでやっており、それがまたいちいち格好良いのである。YO-KINGのハープも決まり、まさに4人で遊び尽くして大団円。と思いきや、ダブルアンコールで「空にまいあがれ」。会場中に両手が上がり、まるでみんなで万歳三唱(丁度サビが3回)といった終わりであった。

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