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2017年3月21日

オースズ  (32歳)

一生ガンズ・アンド・ローゼズします

チャイニーズ・デモクラシーのその先へ

 2017年1月28日さいたまスーパーアリーナへほぼオリジナルメンバーのガンズ・アンド・ローゼズのライヴに行ってきた。まずはグッズ売り場へ。ガンズの場合はグッズを買うのもライヴの一部でしょう。2時間ほど並んでお目当てのグッズをゲット。この待ち時間も楽しめるようでなくてはガンズファンはやっていられない。16時過ぎに開場。18時開演なのでそれまでにサポートアクトのマン・ウィズ・ア・ミッションが出て来るのかと思ったら、マンウィズが18時からなのね。時間通り18時からマンウィズのステージが始まる。メンバーのジャン・ケン・ジョニーさんも「俺が生きている間にほぼオリジナルのガンズが見られるとは思っていなかった」と言うようにやはり今回のライヴは特別な体験になるという期待が高まってくる。30分程で会場を盛り上げて彼らのステージが終わる。会場の期待も最高潮でガンズの登場を今か今かと待ち望んでいる。それから1時間程した19時30過ぎ、約30分遅れで会場が暗転して前方スクリーンの映像が彼らの登場を知らせる。もうこれくらいの遅れはもはや全く気にならないから不思議だ。「It‘s So Easy」で開幕。当たり前だけど、改めてアクセル、スラッシュ、ダフが同じステージに立っているということを確認して鳥肌が立つ。そしてアクセルの声もよく出ている。しかもライヴが進むにつれてどんどん調子が良くなっていくようにさえ感じた。アクセルの声さえ出ていれば、たとえアクセルの見た目がダフやスラッシュに比べて老けていようがイジー、スティーブン・アドラーがいなかろうがそれでよいのである。「Mr.Brownstone」「Chinese Democracy」を挟んで必殺の「Welcome To The Jungle」へ。この曲のときのアクセルの楽しそうな笑顔やファンに手を振る様子は印象的だった。アクセルがご機嫌なのはアンコールの「Don‘t Cry」のときにかわいらしい帽子をかぶっておどけてみせたりしたところからみても間違いないだろう。それだけ今バンドの状態が良いことが伝わって来て嬉しくなる。ライヴはその後もダフ、スラッシュのソロ等も挟みつつヒット曲の乱れ打ちであっという間にアンコール最後の「Paradise City」まで駆け抜けた。「Paradise City」が終わって一度下がった後メンバー全員で戻ってきて肩を組んで一礼。やっぱりバンドっていいなと思える瞬間だった。アクセル自身がかつてスラッシュとの共演はと聞かれて「Not In This Lifetime 俺が生きている間はない」と答えた程ありえなかったはずの今回の再結成を自分が生きている間に見られて本当に良かった。
 そして今回のライヴで一つ気になったことがある。それはアルバム「Chinese Democracy」の楽曲である。言わずもがなこのアルバムはスラッシュ、ダフのいない時期にリリースされた作品である。なので、私は今回の来日でこのアルバムの曲はあまり期待していなかった。もっと言ってしまえば演奏しなくてもいいやくらいに思っていた。しかしこの日も含めて今回の来日で毎回3-4曲演奏されている。アクセルだってそういう風に考えるファンがいるだろうことはわかっているだろうし、今回のツアーだけを考えれば代わりに演奏できなかった黄金期の曲、この日なら「My Michelle」や「Yesterdays」等を演奏した方が盛り上がっただろう。それでも敢えてセットリストに組み込んできたところにアクセルの心意気を感じる。つまり今回の再結成が一時的なものではなくこれからも続いていくのだという意思表示だろう。このメンバーでこのアルバムの曲を演奏し続け、さらに新しいアルバムを作るという通常のバンドがするような活動を続けていくことで確実にこのアルバムの持つ意味はいい方向に変わってくるはずだ。「Appetite For Destruction」や「Use Your Illusion」とは違う文脈でガンズにとって必要なアルバムであったという風に。アクセルもそれを望んでいると思う。私が前回彼らのライヴを見たのは2009年の東京ドームだったが、当時のメンバーでの演奏より今回のメンバーでの演奏の方が思い入れ補正を抜いても一体感があったと思う。スラッシュ、ダフもこのアルバムの曲を演奏するのはきっと複雑な気持ちがあるだろうが、演奏自体には手ごたえを感じているのではないだろうか。こうなると今回演奏されなかったこのアルバムの他の曲も聴いてみたくなる。「Shackler‘s Revenge」や「Street Of Dreams」あたりなんて良いのではないだろうか。リリース当時はあまりにも唐突にリリースされたような印象があったし、ガンズの作品の中では評価が定まっていない作品だと思うが、真価が定まるにはまだもう少し時間がかかりそうだ。
 しかしアクセル・ローズという人は本当に不器用な人だなと思う。アクセル・ローズ=ガンズ・アンド・ローゼズであり、切り離しては考えられないのだろう。そうでなければオリジナルのメンバーが自分だけになっても解散をせずにガンズ・アンド・ローゼズの名を背負って活動を続けるということにはならなかったはずだ。他の名義やソロ名義で活動するというような器用さがあれば、きっとあんなに長いこと活動が停滞することにはならなかったと思う。私の好きなテレビ番組に「水曜どうでしょう」という番組がある。タレントの大泉洋、鈴井貴之にディレクターの藤村忠寿、嬉野雅道を加えた4人で旅をするのが基本で北海道のローカル番組ながら熱いファンが多い番組である。その中でこの4人は「一生どうでしょうします」と誓いファンもそれについていくという現象があるが、アクセルの中ではまさに「一生ガンズ・アンド・ローゼズします」なのだろう。そうであるならば、我々ガンズファンも一生ついていきますよということなのだ。少なくとも今回の来日公演を見たガンズファンはきっとこれから何があってもガンズをそしてアクセルを応援していくはずだ。そしてスラッシュやダフもそんな面倒くさいアクセルのことをよくわかっているからこそ今また一緒に活動しているのだろう。
 それにしてもDJアシュバや他の旧メンバーには悪いが、バンドというのはメンバーによって同じ曲でもこれ程までに違うものなのかと驚かされた。DJアシュバや他の旧メンバーだって技術的には高いレベルを持っているはずである。それでもオリジナルのメンバーが生み出すグルーヴには勝てないのである。本当に魔法と言っていいと思う。先程アクセルの声が出ていれば、イジーやスティーブンがいなくてもいいやと書いたばかりだが、これはもう是が非でも残りのオリジナルメンバーも揃った完全版の現在ガンズが見てみたくなった。案外その日は遠くないのではないかと思っている。なにしろ「Not In This Lifetime」は実現されたのである。もう何が起きても不思議ではない。

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