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2017年3月21日

クミ (21歳)

大丈夫

クリープハイプの曲をランダム再生した末に見つけたもの

日曜日の午後、大切な人と一緒に過ごしていた。一緒に服を買って、オシャレなカフェでケーキを食べて、夜は焼肉を食べた。でもずっと、その横顔に笑顔は無かった。仕事がうまくいかなくて、悩んでいるらしい。こんな時、私が気の利いた人なら的確なアドバイスの一つや二つできただろうが、「やるしかないよ、がんばって」などと根拠のないことしか言えなかった。がんばっている人にがんばってと言うほど、残酷なことはない。
 まともにアドバイスもできない自分の情けなさに落ち込みながら電車に乗って帰った。いつも通り、クリープハイプの曲をランダムに再生して聴いた。クリープハイプの曲はその時の感情によって感情移入する曲が変わるから、その曲を探すようにランダム再生で聴いている。どんぴしゃな曲が見つかれば、時に泣いてしまうことだってある。

《大丈夫、あたし今日は暇だから/あんたの側に居てあげるから/大丈夫、あたしに電話くれたら/もっと大事な物あげるから》 (“大丈夫”) 

いつもなら感情移入することのない曲が刺さった。この曲は、弱っている男の人の側に強い女の人が寄り添って男の人を奮い立たすように励ます曲だと解釈していたから、男の人が聴いて励まされる曲であって、女の私が感情移入することは無いと思い込んでいた。でも今回は違った。私はこの”大丈夫”という曲の中の女の人に感情移入した。曲中の女の人は強い。

《大丈夫、だれかに騙されても/あたしずっとずっとずっと信じててあげるから》

 《大丈夫誰かに怒られても/あたしちゃんとちゃんとちゃんと謝ってあげるから》(“大丈夫”) 

私はこんなに強くない。でも、私もこんなに強く支えられる女性になりたいと思った。この曲なら、「がんばって」なんてうわべだけの言葉ではなくて、私の中にある本当の気持ちをそっくりそのまま伝えられると思った。
私はこの曲を大切なあの人に、悩んでいたあの人に、贈ることにした。曲を贈るなんて気恥ずかしいけれど、これが私の気持ちのすべてだから仕方がない。
 あの人はもう聴いてくれただろうか。

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