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スーパースターになっても

back numberの東名阪ドームツアーに寄せて

東名阪ドームツアー。国民的な人気を誇るドリカムやミスチルの話ではない。デビュー八年目を迎えるback number。彼らが挑む次なるステージは、なんと日本三大ドームである。
 

私がback numberを知ったのは五年前のこと。ドラマ主題歌の『青い春』がきっかけだった。こんないい曲を歌うバンドがいるんだ!と一気に恋に落ちた。

センチメンタルロックバンドと称されていたback number。今や恋愛ソングの名手なんて言われているけれど、当時は身をえぐるような失恋ソングが大多数を占めていた。

リアルな情景まで浮かんでくるような生々しい失恋ソングの中で、「スーパースター」 というアルバムに収録されている『スーパースターになったら』という曲は、明らかに異彩を放っている。

優柔不断さと口だけな所 (その他にもいろいろ) に愛想をつかされた主人公は、当然のごとく彼女に振られてしまう。じゃあ彼女を取り戻すにはどうしたらいいか、というのがこの曲のテーマである。作詞者であるボーカル清水依与吏の出した答えは、こうだ。

「スーパースターになったら 迎えに行くよきっと 僕を待ってなんていなくたって 迷惑だと言われても」。

別れた彼女との思い出をうじうじこねくり回して、傷口をえぐるような失恋ソングとは訳が違った。未練タラタラなことに間違いはないけれど、「迎えに行くよ」 とまで男らしく言い切っている。
 

五年前、back numberの名を知る人はほとんどいなかった。当時高校生だった私は、友人とカラオケに行くたびにせっせとback numberを入れては布教活動に勤しんでいた。みんな彼らを知らないどころか、バンド名すらまともに読めなかった。

ばっくなんばー?って何?バンドの名前なの?といった感じの知名度であった彼らは、彼女の心を取り戻すためだけにスーパースターになると言っているのだ。「君がどこの街に住んでいても 遠くからでもよく見えるような光に」 なって迎えに行くと吠えているのだ。

マイケル・ジャクソンか矢沢永吉か、彼らがどの程度のスーパースターを想定しているかは知らないが、少なくとも名の売れていないバンドが簡単にたどり着けるものじゃない。

無謀だ、と思った。
だけど同時に、back numberなら出来るかもしれないとも思った。

いつか、十年後かもっと先かわからないけれど、その声で、その音で、誰もかもを見返す日が来る。こんなにも素晴らしい歌を届けてくれるバンドが売れないなんて絶対におかしい。back numberがスーパースターになるその日まで応援し続けようと決めた。
 

ひそやかに誓いを立てたわずか五年後。私の大好きなバンドは月九の主題歌に抜擢され、いくつものタイアップをこなし、ついに東名阪ドームでのツアーを決めた。もうback numberを知らない人のほうが少ないぐらいで、イルミネーションに彩られた街を歩けば、どこかから『クリスマスソング』が聴こえてくる。

スーパースターへの階段を着実にのぼっていくback numberは、それでもまだずっと謙虚なままだ。

「俺たちを見つけてくれてありがとう」。私が過去に参加したどのライブでも、ボーカル・清水依与吏はそう言った。市民ホールで、フェスの野外会場で、アリーナで。時に涙で声を詰まらせながら、いつだってそう言ってくれた。

「スーパースターになって 君の事ずっと大事にするんだ 口だけじゃないから」 という言葉は曲中の彼女に宛てたものだけれど、売れてもリスナーを大事にしてくれるからこそ、会場が大きくなろうと遠くなってしまう感じがしないのだろう。

どれだけ売れても地に足をつけたまま、ドームに立つようになっても六畳一間スケールの歌を届けてくれるback numberだから、ずっと応援していたい。

スーパースターになっても、追いかけさせてよ。ずっと。

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