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“未完成な僕ら”の物語、第一部・完。

「monobright×MONOBRIGHT×モノブライト 2007-2017」を終えて

2017年10月1日。
わたしは思ったより冷静だった。
ただ「その時が来てしまったか」とだけ思った。
 
 

モノブライト、無期限活動休止発表。
 
 

発表があった新代田FEVERでのライブにわたしは参加していて、
直接知らせを聞いた。
 

メンバーが言葉を紡いでいく最中
周りから聞こえてくるすすり泣きに
事の大きさを感じたが、
不思議と涙は出なかった。
端から見れば薄情なファンに映っただろう。
 
 

会場で発表があったすぐ後、
公式HPからアナウンスがあり、
各メディアでニュースとして取り上げられた。
 

反応はさまざまあった。
 

「ヒダカトオル加入から変になったし、聞かなくなった」
とかいう意見をいくつか目にしたが、
そんなこと全くないのはライブを見続けていれば明らかで、
それまで4人が持っていることに気づいてなかったような引き出しを
バンバン開けてくれたと思っているので
「うるせぇ!知ったような口利くんじゃねぇ!」と正直思ったし、

「最近のライブ、なんだか辛そうだったし活動休止も納得」
なんてのもあったが、
少なくともわたしが直近2,3ヶ月で見たライブでは
そんなことは微塵も感じなかった。
逆に言えば何にも察することができなかった、のかもしれないが。
 
 
 
 

その日からは今までの出来事や思い出と向き合う日々となった。
 

ここで少しモノブライトとの出会いについて書かせてほしい。
 

2008年4月、
地元を離れてひとり暮らしを始めたわたしは
テレビは買わず、実家から持ってきたコンポと大量のCDとMDがお友達で、
家にいるときはひたすら音楽を聴く、というような生活をしていた。
 

「なんかいいのないかなぁ」と
近所のTSUTAYAのレンタルコーナーに行って
出会ったのが1stアルバム「monobright one」だった。
「”白ポロ眼鏡に黒スキニー””ひねくれポップロック”とかいう触れ込みで去年メジャーデビューしたとかいうのがこのバンドか!」
とCDジャケットを見てわかった。
 

もちろん早速レンタルして帰った。
聞いてみれば確かに一筋縄ではいかないサウンド。
「ひねくれ」と称される理由がわかった気がした。
特に「歌舞いた魚ディスコ」の
全員が好き勝手に自分のスキルやテクニックを押し出してプレイしているようにみえて
一曲としてきちんと成立していることにとても衝撃を受けた。
 
 

そのすぐあと、映画「アフタースクール」を見に行くことがあった。
エンドロールが流れるまで主題歌がmonobrightだと知らなかった。
「あの透明感と少年」の「♪フフッフゥ〜」のフレーズが頭から離れなくなり、
「何かに導かれているんだろうな」と思わずにはいられなかった。
 

それ以来新譜が出ると必ず聞いてはいたが、
ライブに行く機会はなかなか巡ってこなかった。
 
 

初めてライブを見たのは2011年1月。
ヒダカトオルとの結婚(加入)後の「ハネムーンツアー」と銘打たれたものだった。
 
 

そこで一気にわたしの心はもっていかれた。
 
 

「百聞は一見に如かず」とはまさにこのこと。

白ポロ眼鏡でちょっとなよっとしていた(失礼)気の弱そうな青年たちはどこへやら、
黒シャツにネクタイを締め、サングラスでキメたメンバーは、
見た目に違わぬマッシブな演奏でわたしを驚かせた。
 

かと思えばVo.桃野のMCは、
格好良い演奏とはうって変わって
噛むし、まとまらないし、
でも一生懸命で、ファンを楽しませようとしていて、愛おしくなった。
 

その日のライブ以降、
楽曲だけでなくメンバーそれぞれのことをもっと知りたくなって
過去のブログやツイッターを夢中で読み漁った。
どんどん好きになっていった。
自分の中での存在が大きくなってゆくのを感じた。
「次に近くでライブしてくれるのはいつだろう?」と
それだけを楽しみに生きていた。

その繰り返しで気付けば6年半が過ぎていた。
 
 
 
 

幸い、今回の活動休止前ラストツアーは
渋谷、名古屋、札幌の3公演に参加することができた。
 

渋谷では
「もう聞けないまま終わるかもしれない」
と思っていた曲のイントロが鳴った瞬間にこみあげるものがあった。
メンバーがはけても、追い出しのアナウンスが聞こえていても、鳴り止まない拍手に
「ほら、こんなに愛されていたんだよ」とファンでありながら誇らしかった。
 

名古屋では
今まで気にも留めていなかった歌詞が
ふっと心に入り込んできて何度も涙腺を刺激した。
桃野が最後に言った
「モノブライトのこと忘れんなよ!」という言葉に
「こんだけ夢中にさせといて忘れるわけないじゃん」と
むしろ腹立たしくなりながら、泣いた。
 
 

そしてツアーファイナルの札幌。
10分ほど押して開演。
「聞き慣れたSEも今日で最後か…」と思いながら
メンバーが登場してきたときには溢れる涙を抑えられなかった。
 

その後も「寂しい」と「楽しい」という感情が交互にやってきて、
特に「ハートビート」では
1番は楽しくノリノリで聴いていたのに
サビの最後の「いつまでも今日が輝いて」という歌詞が
まさに今日のことを言っているようで
2番からはステージも見れないくらいに泣き崩れてしまった。
 
 

この日も3人の持ち味はいかんなく発揮されていた。

桃野の
唯一無二の「桃野陽介」だとわかる声。
恋も愛もエロも孤独も故郷への想いも、
惜しげもなく晒し、うたい上げるソングライティング。
自ら「名曲しかないよね」と言ってはばからないが
本当にその通り。
 

松下の
情緒に富んだギタープレイ。
「顔で弾くタイプ」とわたしは呼ばせてもらっているが、
「20th Century Lover’s Orchestra」の間奏のギターソロはその代表だと思っている。
たまに顔を出すお茶目なキャラも素敵で、
「空中 YOU WAY」の間奏で
ファンに求められ嫌々ながら…と思いきや
ノリノリでシャウトした「ポゥ!」は
さながらマイケル・ジャクソンだった。
 

特撮好きとしても知られる出口の
「ベースを持つと変身したような、強くなったような気分になる」
と語るヒーロー感も健在。
落ち着きを払った『静』の立ち姿も、
フロアを煽るようにシャウトしたり、
ギリギリまで姿勢を低くしながら激しいフレーズを弾く『動』の姿も、
どちらもとても絵になる。
 
 

ツアーの公演を重ねるほど
3人ともとてもいい顔をしていた。
アイコンタクトを取って微笑み合う回数も増えていたように思う。
“終わりが近づいているからこその輝き”に切なくなった。
 
 

そしてライブも終わりに近づく。
メンバー一人ずつ挨拶を述べたが、
桃野が言った
「こんな僕についてきてくれたでーさんとまっつんありがとう」
という言葉に一番ぐっときてしまった。
 

専門学校で出会った、音楽のルーツもバラバラのメンバー。
わたしたちのあずかり知らぬところで
いろんな葛藤や衝突もあっただろう。
 

松下は今回の活動休止の理由について
「バンドや音楽の核をコマーシャリズムとか商業音楽といった外的要因から守りたかった」
「仲間や音楽自体を嫌いになりたくなかった」
と自身の連載コラムやMCで語っていた。
 

でも「モノブライトの末っ子・桃野」を
うまくあやして合わせる「長男・出口」「次男・松下」という関係性こそモノブライトだよね、と思っていたし、
そんな3人がわたしたちに聞かせてくれる音、見せてくれる世界・景色が大好きだった。
言い方は変かもしれないが、
桃野のこの言葉で一つの物語が完結した気がした。
 
 

最後に演奏された「アナタMAGIC」は
まさにわたしにとって「泣き笑いのダンスミュージック」だった。
涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま、体はリズムに合わせて踊り続けた。
アウトロにさしかかり「終わらないで」と思うけれど
最後の一音が鳴る。
 

終わってしまった。
 
 
 
 

全会場でセットリストを一切変えなかったのは
「今のモノブライトのこれが全てです」
「伝えたいことはこの曲達の中にあります」
という意思表示だろうと今振り返れば思う。
 
 

桃野は「アイデアやユーモアが全く浮かばなくなった」と綴っていた。
これまで様々なサプライズや仕掛けで
(D10の公約宣言、ヒダカトオルとの結婚離婚、ライブレコーディング、9週連続対バンライブ、「やりたいからやる!」と実現させたZeppTokyoでのワンマンライブ、なんといっても二度の表記変更etc…)
私たちリスナーを何度も驚かせ、いい意味で裏切ってきた。
そしてたくさん振り回されてきた。
 

でもそんなことはさして重要ではなくて、
振り回されたって構わないし、
そこにメンバーがいて、音楽を奏でていてくれればそれでいい。
それがわたしのシンプルな願いだった。
過去形になってしまったけれど。
 
 

ただ出口は
「解散しないための、これからも続けていくための活動休止だ」
と語った。
 

だからまた「おはようございますモノブライトです!」が
聞ける日を夢見て。
ひとまず、おやすみなさい。
 
 
 
 

“あなたに会えてよかった
ココロの鼓動が駆けてく
またいつか会おう”
(ハートビート/MONOBRIGHT)

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